
えい
@shibamoti
2026年6月18日
女の人差し指
向田邦子
読み終わった
エッセイ
@ 自宅
エッセイ集。向田邦子作品に触れたのは、昔国語の教科書に掲載されていた「父の詫び状」だけだったが、からっとしていながら味のある文章が印象に残っていた。改めて読んで、印象を再認識する。
昭和、戦争を経てテレビ全盛になり、高度経済成長に突入した時代。脚本家としての著者の、とてもエネルギッシュで良い意味で大雑把、おおらかでさっぱりした人柄が垣間見えるエピソードが多々。世界各地を旅するフットワークの軽さもすごい。今とは有り様が違うテレビの世界の裏側も興味深かった。
著者はこの時代の女性にしては珍しく未婚で、猫と暮らし、脚本と小説を書いて己の生活を営んでいた。キャリアウーマン、と言うのとは違うけど、その姿は当時生まれ始めた新しい女性の生き方だと感じる。それでいて、戦前のジェンダー観を体感した世代でもある。昭和の男という表現はしばしばあるけど、彼女を形容するなら「昭和の女」なのかもしれないと感じた。
50歳少しで亡くなってしまわなければ、もっとたくさんの作品を残したのだろう。エッセイの中には死の前年に突然亡くなった知己の人を悼む場面もあった。彼女自身もまた、きっとそんな風に惜しまれたのだという気がしてならない。