
Santiago
@snows
2026年6月14日
けものたちは故郷をめざす
安部公房
本屋で見つけて気になり購入。
舞台は太平洋戦争終結直後の満州国、その地で生まれ育った少年、久木久三は未だ見たことのない日本への帰郷を目指す。
満州を南下する列車にて怪しい素性の汪と名乗る男と出会うが、襲撃により列車は破壊されてしまう。
やむなく2人は魂さえ凍てつくような酷寒の地を日本を目指して彷徨うことになる。
作品全編を通して言いようのない虚脱感と諦観がつきまとう。何に対しても状況は転向せず、やりきれなさという主題が嫌でも伝わってくる。その本質は戦中を満州で過ごした筆者の無常感に他ならない。
その無常感は、一隻の船で迎える結末へとつながってゆく。
「けもの」と「人間」を分かつものは何か、きっと檻の隙間から見えるだろう。