ちゅん "村上ラヂオ3" 2026年6月16日

ちゅん
@sayarino34
2026年6月16日
村上ラヂオ3
村上ラヂオ3
大橋歩,
村上春樹
P 156 犬も歩けば棒に当たる。 辞書を引いてみると、これはもともとは全く違う意味で使われていた言葉だったんですね。犬がウロウロその辺を歩きまわっていると、そのうちに誰かに「このやろう、あっち行け」と棒で叩かれることになる。だから必要のない事はなるだけしないほうがいいと言う意味だった。いろはかるたができたのは江戸時代でその当時は徹底した。身分社会だから「波風は立てず、家でおとなしくしている」というのが、一般の人々の生活の知恵だった。ところが日本が近代化されるに従って、人々の意識は「何でも進んでやってみろ」と言う方向に流れていった。だから「犬も歩けば棒に当たる」も、論理の詰めが棚上げにされたまま、ポジティブな意味合いのメッセージに変わっていったということです。ふーん P 172 お客が来れば、にこやかに「いらっしゃいませ」と挨拶し、常連客とそれなりに世間話もした。「こういうのちょっと向いてないよな」と思いつつ、生活のためと思って、まぁ一生懸命こなしていた。長くて退屈な話をする相手にもそういう人を結構いるんだよだよね。我慢強く、暖かく、相槌を打っていた。今から思えば、あの頃は僕にした異常に愛想を良くしていたようなと我ながら感心する。 でも、当時の知り合いに久しぶりに会うと「春樹さんは昔から本当に怖そうだったよね。ほとんどしゃべらなかったもの」とよく言われる。そう言われると、僕としては実に憮然としてしまう。おい、あんなに苦労して相性よく振る舞ったのになんでそんなことを言われなくちゃならないんだよと思う。それだったら最初から努力なんかしないで知のままでやってらよかったんだ。でもその時期に僕なりに愛想良くなろうと努力をした。感触は今でも僕の中にしっかり残っている。当時あまり高結果を出なかったみたいだけど、その感触の記憶が今の僕をうまく支えてくれている、と感じることがある。
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