torajiro "ならずものがやってくる" 2026年6月16日

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@torajiro
2026年6月16日
ならずものがやってくる
ならずものがやってくる
ジェニファー・イーガン,
Jennifer Egan,
谷崎由依
ピュリッツァー賞、全米批評家協会賞受賞作。 まったく知らない作品だったけどたまたま古書店で見かけてなんとなく気になり購入。よくわからないままに読み進めたが読んだことない類の作品で楽しませてもらった。 盗癖を抱える女性と、その元上司で音楽プロデューサーの男性軸に、二人の周囲の人物との関係が描かれていく。章ごとに誰の視点なのかと、物語の時系列が大胆に入れ替わる。誰の過去もしくは未来に、誰と誰がどのように関わっているのか入り組んだ構成になっているので読むのになかなか苦労する人も少なくないと思う。それは構成が入り組んだものになっていながらも、各章は基本的にそれぞれ単独で完結しているので連作短編集的にもなっているし、全体を通すと複雑な人間関係や時間を描いた群像劇にもなっているという二重性を受け取るのがなかなか難しいから。しかも各章で視点の中心として描かれる各人物はそれぞれの性質・性格や、人間関係、境遇などにさまざまな問題を抱えていて、単純にそれぞれの賞を読み進める中ではそれらの問題自体が主題なように読めてしまうからなおさら読み方が複層的になる。解説で「CDのアルバム」的と評されていたのはなるほどと思いました。同じアーティストにより全体としてのコンセプトやテーマはありつつも、収録されている一曲一曲はまったく異なる印象を持つさまざまな曲で構成されている。一枚を通して聴くと、素晴らしい余韻を味わえますし、印象的な曲(章)をもう一度リピートしたくなります。 簡単ではないだろうけど映像化してビジュアルや音楽の補足情報があれば構成の複雑さは理解しやすくなるだろうけど、この複雑さというか「あれ、この人はどの人で未来ではどんな人に囲まれて何してるんだっけ?」という健全な忘却感による戸惑いに向き合いながら読み進んでいくのが本作品の味わい方の魅力の一つなんだろうと思うので、その点では文学ならではの作品だと感じます。
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