
torajiro
@torajiro
小説、エッセイ、ノンフィクション、学術書に哲学など色々買ったり積んだりしております。
- 2025年11月23日
生きるとは、自分の物語をつくること小川洋子,河合隼雄買った - 2025年11月23日
シッダールタヘルマン・ヘッセ読み始めた - 2025年11月23日
野生のうたが聞こえるアルド・レオポルド,新島義昭読み終わった北海道に住むようになって四季の移ろいというのをとても強く感じるようになった。住んでいるのは都市部だけど、少し足を伸ばせば原生林が残っているところに住むようになり自然や環境に対する関心が増したこの数年はちょこちょこと自然の美しさを感じられる本に手を伸ばすようになった。その中で読んだ一冊。 20世紀前半に環境倫理学を提唱し、この分野の古典と呼ばれる本とのことですが、とても良かった。説教臭さやいたずらに危機感を煽るような雰囲気はまったくなく、著者が自然をどのように見つめ、何を感じてきたのかが表された美しいエッセイがまずあって、その流れで適切な自然管理・自然保護とはどのようなものなのかが述べられるのですが、エッセイが素晴らしくて、読者の目線や感覚を自然の方に向けてくれます。 熊をはじめとした動物との共生のあり方に関心が集まっている昨今ですので、ぜひこのタイミングで多くの人に読んで欲しいと感じる名著でした。 - 2025年11月22日
脳は耳で感動する久石譲,養老孟司audible読み始めた - 2025年11月21日
- 2025年11月21日
- 2025年11月21日
- 2025年11月20日
僕には鳥の言葉がわかる鈴木俊貴audible読み終わったシジュウカラの言語を研究し動物言語学を立ち上げた鈴木俊貴さんによるこれまでの研究成果と研究生活をわかりやすく楽しく紹介した一冊。話題になっているのは知っていましたが、確かに抜群に面白かった。シジュウカラや他の鳥類、そして他の動物のコミュニケーションにも興味が湧いてくる素晴らしい本なのですが、何より素晴らしいなと感じたのはシジュウカラの言語の意味を分類したり仮説を検証するための実験デザインの考え方をとてもわかりやすく面白く紹介しているところ。これを読むと鳥類や動物だけでなく、実験によってまだ知られていない事実を発見していく科学者という仕事の魅力に興味を持つ若い読者も多いのではないかと思う。個人的には社会科学分野での調査に関わりがあるので、なかなかここまでの実験デザインは制約上できないことが多いのだけど、美しいデザインを創意工夫していく話を読むだけでも楽しく刺激になりました。今回はaudibleで聴いたのですが、所々にシジュウカラの鳴き声の音声も使われており、とてもわかりやすかったし、最後まで読むとこれもシジュウカラ語の世界を伝えたい!という著者の図らいなのかなと楽しく想像できました。 - 2025年11月13日
僕には鳥の言葉がわかる鈴木俊貴audible読み始めた - 2025年11月12日
傷つきやすいアメリカの大学生たちジョナサン・ハイト,グレッグ・ルキアノフ,西川由紀子読み始めた - 2025年11月12日
audible読み終わったAI研究の発展と知能研究の交差や関係について物理学者の目線で語るという内容。昨今の生成AIの隆盛の中で開発に関わる技術者からの解説や、あるいはAIと人類あるいは社会との関係を哲学的な視点から考察するものなど、関連する書籍は多数あるが、本書の特徴はAI研究という意味で関連はしているけれど生成AI的なものを生み出すには至らなかった分野の物理学者として、これまでのAI研究の技術的な変遷などが俯瞰的に構成されていて全体像がわかりやすいという意味で新書として良い内容だと感じる。 知能とは世界をシミュレートするものであり、生成AIと世界シミュレーターだが、人間の知能とは異なるやり方でそれを実現しているのであり、生成AIによって知能が再現されたということをどう捉えるのか、という辺りの話はなかなか面白かった。生成AIの発展によって知能とは何かという問いに新たな発見や考察が今後も生まれてくるのだろうなという感覚を得られたのが良かった。今後が楽しみです。 - 2025年11月8日
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下)スティーブン・ピンカー,山下篤子読み終わった空白の石板仮説を上、中巻で丁寧に否定してきたことを踏まえて下巻では人間の性質が重要な論点となっている政治、暴力、性、育児、芸術という5つのテーマについて改めて個別に論じていく。育児では生まれか育ちか、について改めて遺伝要因と、環境要因の影響について解説がなされるのだけど、兄弟等で共有される共有環境と、それ以外の個別の体験や影響である非共有環境に分けることができ、共有環境の影響はとても小さいことや、遺伝要因は大きいけどとはいえ遺伝じゃない影響としての非共有環境の影響が大きいことが、直感的に理解しにくいけど重要なところだなと感じる。育児を、あるいは社会の仕組みをじゃあどうすればいいの?にシンプルな答えを示しにくいところも科学的な知見をそのまま受け止めにくく、空白の石板仮説に甘んじたくなるところだと思うけど、解説でも述べられた通り科学的な知見はゴールではなく議論の前提でありスタートとして、そこからどうしていくべきかを考えていくということを様々なレイヤーでの議論や対応に反映していきたいものですが、とりあえずピンカー節はそのままでは他者に説明がしにくいので、引き続き勉強を続けようと思います。 - 2025年11月4日
野生のうたが聞こえるアルド・レオポルド,新島義昭読み始めた - 2025年11月3日
卍(まんじ)谷崎潤一郎読み終わったやや久々の谷崎。卍というタイトルの通り、男女の入り組んだ関係が題材で、主要人物の一人である園子による過去の出来事の告白体、ほぼ全編が絡みつくような大阪弁の会話主体で構成されている、という辺りが特徴。解説では「変態性欲」とざっくり評されているけれど、個別の関係に倫理や常識を踏み外すものがあるのは確かだけど、『痴人の愛』のような倒錯感は感じないし、他のよりフェティシズム的な側面が強い作品に比べると「変態」感はむしろ感じなくて、それぞれの人物がそれぞれの弱さや執着の中で繋がっていくという意味ではそこまでドロドロはしていない印象を受ける。この構成や語り口で描きたいんだという谷崎のこだわりを強く感じるのも良いところ。 - 2025年11月3日
- 2025年11月3日
天冥の標(3)小川一水読み始めた - 2025年11月2日
audible読み終わった大学の頃によく読んでいた仲正先生。旧統一教会の元信者ということでXなどで色々やり合っていたのは知っていたのだけど、Xのタイムラインはもはやなるべく目に入れないようにしているので、詳しい文脈はまったく知らなかった。その仲正先生がこのタイトルの本ということで、そうしたご自身の体験も踏まえて俯瞰して今の社会の状況を論じているのかなと期待していたのですが、残念ながら期待した内容とは程遠かった。旧統一教会問題を中心に関連する話題を扱っているのですが、意見が異なる相手を(相手方も対話的とはとても言えない態度なのはまぁわかりますが)「連中」「◯匹」と投げつけるように呼び捨てる文章が続き、正直読むのが苦しかった。仲正先生が仮想的に置いている相手がこれをまともに読むはずもなく、かと言ってこの語り口や態度の文章では問題と距離を置いている大多数の方にも届きにくいはずで、誰向けに何を伝えたい文章なのかわからなかったのが色々過去の著作から学ばせてもらってきた方だけに悲しかった。 - 2025年11月2日
天冥の標(2)小川一水読み終わった天冥の標シリーズ第二作。 冒頭の世界観に、第一作の未来?と読み進めたらまさかの現代世界と未知のウイルスの戦いを描くパンデミック物でした。コロナ禍よりも10年前に描かれたものなんですが、作家の想像力ってすごいものですね。もちろん現実に起こったこととの違いはあるのだけど、世間のあり方や患者への目線なんかはリアリティを感じる。国としての対応という意味では異なる部分もあるというか、むしろ現実に起こったことの方が世間や空気に全乗っかりで対処していった感じがあって現実の方が現実離れしてた気すらしてくる。 シリーズとしては第一作とのつながりが見えるところも、第二作で新たに示された伏線的なものもたくさんあって、どうなっていくのか楽しみです。わくわくというよりは、この先どうなってしまうんだろうというずーんとした想像をさせられてる感じです。 - 2025年10月26日
卍(まんじ)谷崎潤一郎読み始めた - 2025年10月25日
文と本と旅と上林曉,山本善行読み終わった私小説家上林暁の随筆集。上林暁氏のことは作品も読んだこともなく、お名前も存じ上げなかったのだけど、古書店で偶然見かけてなんとなく惹かれて購入したものだったのですが、良かった。「文」「本」「旅」「酒」「人」にまつわる文章が選ばれたもの。小説家デビューする以前に文芸誌の編集者だったという経歴を持っていらっしゃり、大正から昭和前半の文壇の交流の様子が随所に描かれていて楽しかった。手元の初版本の帯には「じっくり噛み締めれば味が出る」という言葉が付されていて、確かにめちゃくちゃに感情を動かしてくる文章というのでは全然なくて、じっくり味わって読みやすい文章なのでふむふむと読み進めていたら、これは本人の自分の文章への評価で、編集も経験した人で私小説家としてどこか自分だけでなく自分の文章も俯瞰するような感じがあったのかなと味わいました。氏が『改造』編集記者時代に作家の元に原稿を取りに行ったという作品がたまたま我が家の積読にあったので次はその本を読もうと思います。
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