
torajiro
@torajiro
小説、エッセイ、ノンフィクション、学術書に哲学など色々買ったり積んだりしております。
- 2026年8月12日
新版 禅とは何か鈴木大拙買った - 2026年8月12日
本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話岩内章太郎,稲垣みどり,苫野一徳買った - 2026年8月12日
ゾンビ回収婦小砂川チト買った - 2026年8月10日
研修デザインハンドブックボブ・パイク,中村文子読み始めた - 2026年8月9日
- 2026年8月9日
西瓜糖の日々リチャード・ブローティガン,R・ブローティガン,藤本和子読み終わった初ブローティガン。印象的なタイトルで気になっていた作品でした。 詩的で幻想的な小説。ジャンルは違うし時代も少し前だけどブラッドベリの『火星年代記』を想起しながら読みました。なんというか古き良きアメリカと言われる時代にはこういう幻想的な世界を描き、味わう文化というか感性があったんだろうなぁと、少しメタに外れた感想を持ってしまった。 アイデス(I Death)を始めネーミングや関係性、登場人物の言動、語られる歴史などさまざまなものが当時の社会のメタファーになっているのではないか、著者が現代社会に近いと感じていたコミュニティや関係性はむしろアイデス以外の方にあるのではないかと、色々な想像が生まれましたが、そのように噛んで味わっても良いし、詩的なリズムと言葉選びで描かれる西瓜糖と世界を眺めるだけでも良いし、いずれにせよ楽しい読書体験です。 - 2026年8月9日
いい子のあくび高瀬隼子読み始めた - 2026年8月8日
〈個〉の誕生坂口ふみ読み終わった素晴らしい書籍でした。 西洋文化における個人主義や責任概念の源流について考えたいという関心の中から読んだもので、正直理解度で言うと著者の苦労に応えるところには到底辿り着けていない気がしますが、それでも面白かったし、何よりこの一冊をまとめ上げたこと自体に尊敬の念が尽きません。 内容としては主にローマ帝国後期における公会議を中心に、キリスト教教義の変遷やその背景を、宗教、哲学、政治などさまざまな側面から掘り下げていきます。ローマ史、キリスト教思想、古代ギリシャ思想などについてそれぞれある程度の知識がないと詳しい議論についていくのはなかなか大変で、私はいずれも足りていないのだと思いますが、それでも非常に面白かった。 キリスト教教義における三位一体論の重要性もこの古代の議論を追うことでよく理解できたし、そこにはギリシャ哲学からの重要な影響・連続性があったり、世俗の権力がしばしば暴力も伴う形でも大いに影響していたこと(ローマの内部でも、侵攻への対応という外部的な意味でも)、東西ローマが分裂に至る前段階から相当なズレがあったことなどさまざまなことが影響していることがよくわかった。 三位一体論と個人概念の関係性自体について自分の言葉で語れるにはまだ遠いがそれでもこれを抜きにしては理解も説明もしにくいことが改めて感じられたのは良かった。引き続き勉強していこう。 - 2026年8月7日
「ふつうの暮らし」を美学する青田麻未audible読み終わった日常美学の入門書。わかりやすくかつ面白かった。 まず美学という学問分野が「美」についての学問というよりも「感性についての学問」である、という点が重要ですね。美学という言葉自体に「自分の美学を貫く」といった信念的な意味もあるのでなおさら「美」という極めてポジティブなものについての学問のような印象を受けてしまう。もはや感性学と訳を変えた方が良いのでは。 そしてその美学の対象は芸術美学、自然美学、日常美学の3つに分けることができる。本書はこの中でも比較的新しい日常美学を解説する。 家具などの機能に対する感覚、掃除・片付けや料理といった家事との関わり、家の周辺環境である地元、日常の中にあるルーティーンなど日常美学の視点に色々な角度から触れさせてくれて色々な気づきがあった。 まずは感性の学問ということで、ポジティブな感性だけでなくネガティブな感性についても洞察の対象であるという否定美学の視点はなるほどなと思ったし、「新規さ」と「親しみ」といったものも日常美学で扱われるというのも面白かった。 新規さと親しみは他の分野にも応用可能というか示唆に富むものだと思う。例えば対人支援においては受益者が経験しにくい新規さへのアクセスを支援する場合(例えば体験格差に対するアクティビティ機会の提供プログラムなど)もあるし、一方でそうした体験が「新規」であるということ自体に格差を見るという視点もあり得る(学習支援や居場所等のボランティアスタッフが話を聞いてくれてる存在として関係が持てるというのは当初は新規の経験だが、厳しい環境でなければ当たり前に得られていたであろうそのような関係に「親しんで(慣れて)」いくことが重要、など)ので、社会的プログラムの意義や価値判断とも日常美学というのは大いに関わり得る、学びかいのある分野だなと強く感じた。 - 2026年8月2日
西瓜糖の日々リチャード・ブローティガン,R・ブローティガン,藤本和子読み始めた - 2026年7月28日
「ふつうの暮らし」を美学する青田麻未audible読み始めた - 2026年7月27日
「ない仕事」の作り方みうらじゅんaudible読み終わったみうらじゅん氏が自身の仕事づくりの姿勢や考え方をまとめた書籍。「ない仕事」をつくる、はまったくの畑違いではあるけれどマイナーな業界で仕事をしている私としてはピンとくる言葉であり、共通点や参考になる点などあるかなと思い読んでみた。正直みうらじゅん氏のことは世代でもないというかテレビもそんなに見てきた方ではないのであまり知りませんでした。『見仏記』ぐらいしか知らなかったんだけど、見仏記も含めて趣味を仕事にする的なあれやこれやを業界の中でやってきている人なんだろうなと、そんなイメージ。読んでみてそのイメージはそうは変わらなかったですが、突き詰めたり突き抜けたりするまでやってる人なんだなというのはよく分かりましたし、なかなか面白かったです。企画も営業も接待も全部自分でやる「一人電通」という仕事スタイルの背景には、世の中にまだ存在しないものをどのようにすれば認識してもらえるか、という当たり前だけど大切な考え方がありますね。そして認識してもらう相手が仕事相手であれば営業や接待ということになるし、世の中の人であればさまざまなメディア(当時は雑誌等)で一斉に露出を増やすことやネーミングなど、感覚的に重要なことをやっている感じ。特にネーミングの妙はなるほどなという感じでした。マイブームやゆるキャラもみうらじゅん氏のネーミングであり仕掛けだとはまったく知りませんでした。相反する言葉やややネガティブな言葉をあえて使用するというのはあらゆる場面で使えるものではないけれど、覚えておけると良い視点だなと思いました。 - 2026年7月24日
「ない仕事」の作り方みうらじゅんaudible読み始めた - 2026年7月22日
audible読み終わった「世界一シンプルな」というタイトルはどうかとは思うが、進化論・進化学とは何で、どんな研究がなされてきて、何がわかってきているのかを概説するという点では具体例などもわかりやすく、そこそこの難易度で良い本かと思います。特に進化論と言えばということでダーウィンの主張を元に、ダーウィンが主張していたことのうち、どの主張は正しくなかったとされているのかを探るという構成は関心を持ちやすくて良いですね。本書ではダーウィンの主張を「生物は進化すること」「自然淘汰が主なメカニズム」「用不要説(よく使う器官が発達する)」「枝分かれ的な進化」「漸進的な進化」「進化は進歩ではない」の6つに整理しています。自然淘汰や進歩ではないという点が重要なのはもちろんのこと、用不要説なんかも感覚的な理解やイメージとは異なる部分もあって面白いですよね。 - 2026年7月19日
掌に眠る舞台小川洋子読み終わったナツイチで購入したもの。「舞台」をテーマにした連作短編集です。一口に舞台といっても単に演じる側と観る側というだけでなく、演じられる場所も演じる目的も観ることの意味もさまざま。独特というか奇妙な話が多いのは流石の小川洋子節といった感じですが、なんというか舞台というものと小川洋子さんの世界観はしっくりきすぎるぐらいに合ってるんですね。他の世界から切り離されたような箱庭的な空気感は演劇的でもありますし、身体性を意識させるような登場人物の造形も演技や演出と相性の良い部分だと感じます。近年小川さん自身が観劇に凝っていらっしゃるということで今後の作品にも「舞台」のモチーフがどう関わってくるか楽しみです。 - 2026年7月17日
民主主義の非西洋起源について(1011)デヴィッド・グレーバー,片岡大右読み終わった『万物の黎明』が有名な人類学者グレーバーの論文、というよりは評論。民主主義は古代ギリシャから続く西洋起源のものであるという説を問い直し西洋を相対化する。構成員の間での意見の調整や対話的な試みは洋の東西を問わずむしろ一般的なものであるというのは言われるまでもない話ですが、民主主義という言葉を使うときに、社会契約説やフランス革命以降に整備された諸制度により成り立つ仕組みを指しているのか、根本の理念のことを指しているのかによって話が変わってくるということでしょう。ややこしいのはフランス革命以降の諸制度によって成り立っているのが単なる仕組みではなく資本主義も合わさった文化にまで広まっていることか。 で、グレーバーは西洋を相対化してどうしたいかというと、それが副題にもある”「あいだ」の空間の民主主義”ということになります。人と人のあいだに権力は生まれるのだから、根元からもう一度考えようというのは、これだけ分断の流れが強い社会の中では重要なこと。ハンチントンをこき下ろしたり論の立て方が強くて面食らう部分もあるが、真っ当なことのように思う。日本でも超高齢化社会が進み、地域の過疎化も進んでいく中で私たちの暮らしをどのように決めていくかという際には、参考になる議論ではないかと思います。 - 2026年7月17日
〈個〉の誕生坂口ふみ読み始めた - 2026年7月17日
読み終わった「政治家とアイドル 日本にとって”メガチャーチ”とは何か?」(小峰ひずみ)を読むために。 推し活とファンドレイジングやNPOとの関係を考えたいという最近の私の関心を知った知人から教えてもらい読んだのだが、副題にメガチャーチと含まれている通り朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』の書評的な論考で、「サナ活」などの政治家を推すことの意味が考察されている。市民の声を代弁するカリスマ・偶像としてのアイドルとポピュリズム的政治家の共通性はまぁそうだよね、という感じだったが、興味深かったのは同作に登場する陰謀論者Tomoyoの考察。朝井リョウの俯瞰する視点から逸脱する存在というのも面白かったが、あの作品にNPOが登場するとしたら隅川のパートでありTomoyoの位置付けであろう。そのときNPO経営者なりファンドレイザーは何を語り、隅川をどこに導き、どこに辿り着くのだろう、とそんなことを考えた。 - 2026年7月14日
掌に眠る舞台小川洋子読み始めた - 2026年7月12日
永遠と横道世之介 下吉田修一読み終わった横道世之介シリーズがついに完結。ついに、とはいっても第一作の時点で世之介の結末は示されていたし、続編があるとも思っていなかったので、第二作、そして今回の第三作と続きが読めたこと自体、思いも寄らなかった幸運という感覚です。今回も読み進めて終わってしまうのがもったいなくなるような多幸感に溢れた読書時間を楽しませていただきました。 今回は世之介39歳ということで、今年40になった私としては時代設定はやや異なるもののほぼ同世代の話として自身へ重ねたり重ならなかったりしながら読めたのも楽しかったです。 「なんでもない日常に幸せはあったのだ」と、そう書くとなんとも陳腐になってしまい、この小説と主人公世之介の魅力を言葉にするのは難しく感じます。シリーズ全編を通して人生讃歌であることは間違いないのだけど、今作は特に病で亡くなった恋人であるニ千花とのシーンや、後輩のエバと咲子が子を授かることであったり、世之介の人生観というか死生観のようなものが言葉にされる部分も多く、人生の幸せをより明示的に感じさせやすい作品になっています。「永遠と横道世之介」というタイトルの回収も素晴らしく、シリーズの締めくくりに相応しいあたたかな終わりであったかと思います。映画化も進んでいるということでどんな作品になるか今から楽しみです。 それにしても今作の地の文もなかなか独特ですよね。ナレーション風の『国宝』ほどにはわかりやすくはないし目立ちもしないのだろうけど、時にメタ的な記述も含む独特な三人称視点の地の文が本作の雰囲気全体を支えていて、さすがの吉田修一でした。
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