"人間の絆 下 (岩波文庫 赤..." 2026年6月20日

彩
@aya_toto
2026年6月20日
人間の絆 下 (岩波文庫 赤 254-8)
最高でした。 前巻ではフィリップの芸術仲間との会話が表面的で馴染まなくて、中巻では、腐れ縁とも言えるミルドレッドとのしがらみ(絆)から逃れられなかったフィリップにやきもき。 一転、下巻では、アセルニー一家と出会い、俗物的ではない、本質的な優しさに触れて、 本来の場所を取り戻したかのように、人生が好転していく。 デパートに勤め、叔父を看取り、再び医学の道へ。 海岸地方での臨時勤めをし、ホップを積みに行き、若い娘と結婚をする。 モームって、もっと皮肉屋で、観察力に優れていて、食えない狸親父みたいなイメージだったのだけど、 後半は特に、とても誠実で、優しくて、温かい視点を感じた。 ひとはどうしたって生きていいし、本当の人格的な素晴らしさは、どの時代でも変わらない。 フィリップと共に成長して、高次の視点から人生というものを見られるようになった。 まさに小説を通して、自分とは違う人の人生の前半を生きたような気持ちになり、 それは多分、小説を読むことの醍醐味のように思える。 私は嗜好的に、行方翻訳の中では、モームよりヘンリー•ジェイムズの方が好きなのかな、と思っていたのだけど、この作品を読んで、 やっぱりモームっていいな、持ってる視点がとても人間的だな、優しいな、素敵だな、と思えた。 こんな小説を読みたかった、と思える作品でした。
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