
彩
@aya_toto
2026年6月20日

読み終わった
最高でした。
前巻ではフィリップの芸術仲間との会話が表面的で馴染まなくて、中巻では、腐れ縁とも言えるミルドレッドとのしがらみ(絆)から逃れられなかったフィリップにやきもき。
一転、下巻では、アセルニー一家と出会い、俗物的ではない、本質的な優しさに触れて、
本来の場所を取り戻したかのように、人生が好転していく。
デパートに勤め、叔父を看取り、再び医学の道へ。
海岸地方での臨時勤めをし、ホップを積みに行き、若い娘と結婚をする。
モームって、もっと皮肉屋で、観察力に優れていて、食えない狸親父みたいなイメージだったのだけど、
後半は特に、とても誠実で、優しくて、温かい視点を感じた。
ひとはどうしたって生きていいし、本当の人格的な素晴らしさは、どの時代でも変わらない。
フィリップと共に成長して、高次の視点から人生というものを見られるようになった。
まさに小説を通して、自分とは違う人の人生の前半を生きたような気持ちになり、
それは多分、小説を読むことの醍醐味のように思える。
私は嗜好的に、行方翻訳の中では、モームよりヘンリー•ジェイムズの方が好きなのかな、と思っていたのだけど、この作品を読んで、
やっぱりモームっていいな、持ってる視点がとても人間的だな、優しいな、素敵だな、と思えた。
こんな小説を読みたかった、と思える作品でした。

