Aster "【増補版】シリア 戦場からの..." 2026年6月20日

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@aster
2026年6月20日
【増補版】シリア 戦場からの声
シリアのことを知るために買って積んでいた本。 一応アサド政権は倒れているので、今とは大分状況が異なるとは思うが、ジャーナリズムとは何か考えさせられた。 著者は命懸けでシリアに五度も渡航しこの本を書き上げたので、賞賛に値するし、賞も取っているし、勉強になったが、これが本当にジャーナリズムなのか、ということは個人的に疑問が残った。 というのも、著者はそれまで中東に興味がなく、アラブの春を機に興味を持って渡航したという経緯があり、国の背景について十分な知識を持って取材にあたったわけではないのではないか?ということがある。実際に、読んでいても深い知識に裏打ちされている文章には思えなかった。 また、女性を描写するときには容姿が美人だとかいう、内戦に関係ない描写が必ず出てくる。国境地帯で早く移動しなければならない状況に於いてフラフラの著者の手を引いてくれているYPJ隊員の行動を月夜のデートと称するなど、基本的に女性を下に見ている姿勢が透けて見えている点が非常に不快。ジャーナリズムは客観視が必要という自身の言葉はどこに行ったのか?女性が美人とか完全に主観だし不要な情報。 また、YPJ隊員に、ISに捕まったら酷い目に遭わされるのに戦闘に参加するのは怖くないのか、などと質問するわけだが、心を開いてもらえていないのか、彼女たちは捕虜になる前に手榴弾で自分たちの身体を肉片に変えて遺体をレイプされたり損壊されたりしないように自死する覚悟で戦っていることは教えてもらえないのである(コバニの戦闘に参加したYPG隊員のクルド人スナイパーの手記に書いてありました)。 戦場カメラマンとして随行した部隊の隊員とは親密になったようだし、彼らの本音(かどうかはわからないが)を引き出しているのはやはり評価に値するのだが、命懸けで戦っている彼らに「革命を始めなければ仲間や市民が死ぬことはなかったとは思わないのか?」と尋ねるのはあまりにも無神経というか…それはジャーナリズムではなくあなたの好奇心なのでは…深い地域理解、文化理解、国の成り立ちや背景を知っていてもなおこのような質問ができるものなのか?それがないからこんなことを訊いてしまうのでは?という不信感がこの本を読んでいる間中ずっと付き纏ってしまう。 革命を始めなければ、誰かの自由や尊厳、人生を踏みつけにしたまま偽りの平和の中で、それでも幸福だった筈だと、誰が言えるのだろうか。世界は自分だけ平和ならそれでいいようにはできていない。
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