考えたい葦 "日の名残り" 2026年6月21日

日の名残り
日の名残り
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
「日の名残り」読了しました。 理想を維持するために認識を無意識に曲げて生きる様は儚く、そして悲劇的であると感じた。 スティーブンスの理想のために女中頭への自分の感情、卿のナチスとの交流について鈍感な態度を取り続けた。 これはきっと本人もなんとなくは気づいていたのだと思う。 けれど「偉大な執事」であるためにはそれは知らないふりをせねばならなかった。 少なくとも、そんな風に彼は感じていた。 だからこそ、彼はあの時にああしていたら未来は変わったのではないだろうかと深い後悔に苛まれる。 「偉大な執事」は「卑小な男」でもあったのだ。 ただ、彼の人生が無意味だったなんてことはない。 その努力が当時のイギリスの栄華の1部を支えた事実、名誉は決して失われることはないのだ。 いくら過去を悔いても仕方がない。 1日の中で1番美しいのは夕暮れ時なのだ。 これからの人生でその最後の輝きを、 日の名残りを後悔なく放てることを切に願う。
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