日の名残り

94件の記録
- ぐ@busy-lake2025年10月2日読み終わった面白い仕掛けの小説だと思った。 一人称小説の中でも特に特に視野が狭い。 主人公の語りだけで話が進むのは当たり前なんだけど、 ミステリーでもないのに見えるものが本当に少なくて、 長年屋敷から出ないし、価値観は固執してるし、 叙述ミステリーでもないのにこんなに視野が狭い小説って珍しい気がする。 主人公は実際には視野が狭いわけじゃなくて、 仕事と主人にしか興味がない。 執事の仕事と主人のことなら、誰よりも察しが良く、細やかな気遣いが出来る、何もかも見えているのだけど、 それ以外のことになると全く見えないんだ。 別に特別気の利く訳でもない読者が当然気付くことに、 主人公は全く気付かなくてもどかしい。 それも過去の回想だからどうにもならない。 そんなのがなんか面白かった。 この著者の他の小説も読んでみたい。 わたしを離さないでの冒頭を試し読みしたけど、 なんか似たような感じ?
- yassh@akr12172025年9月28日読み終わった35年ぶり再読 前回はイシグロ初読で大好きな作品だったが、今回、スティーブンスにイラつくこと多し。 でも最後の最後はすごく良くて、自分も年取ったことに気づいた。
- ぐ@busy-lake2025年9月24日読み始めたaudibleまだ読み始めたばかり。 紳士淑女しか出てこなくて凄いな。 主人公の細かさと気遣いが、 自分がうんざりしている自分の細かさと気が効きすぎる気遣いに重なって、 これを肯定できる世界線も存在するんだなあって思ってる。 主に家族や友達に向ける自分の気遣いが報われるかは、 受け手の度量次第なんだな。 ここに出てるお金持ちの紳士は、 自身とても有能で気が利く人たちなんだろうな。 そのくらい賢くないと、この執事の価値はわからないし使いこなせないわ。 わしの環境はわしを活かしきれているか。
- ススワタリ@lost_corner2025年9月21日読み終わったまさにイシグロマジック! 読んでるうちに「いやいやスティーブンス、それは違うでしょ!」とツッコミたくなるんだけど、同時に彼の語り口があまりに真面目で誠実だから、つい乗せられてしまう。で、あとから「あ、これって作者が仕掛けた“罠”だったんだ…」と気づかされる。 これがノーベル文学賞受賞者の実力かぁ。 今更ながらこの作品でますますファンになりました。
- おおしま@_carino_2025年9月15日読み終わった昭和史の間に挟むものとしては合ってるような気がする内容、時代だけ ズルズル昔のことばっかり考えてるしあんまりなんかプライド高い割に卑屈そうな執事だなって思ってたら終わり方綺麗すぎて一気にめちゃいい本ってなった、てか卿ことも含めて全部ラストのためにあるだろ!!てぐらいよかった。真面目な教訓挟んだ後ジョーク上手くなろうって前向くオチが超いい 訳すの大変だっただろうなあ、綺麗な英語を綺麗な日本語にしたんだろうなって感じ ミスケントンのことはわかっていましたよわたしは!
- kei@k32452025年9月5日読み終わったカズオ・イシグロ著「日の名残り」読了。 2025/9 3冊目 ◎サマリ ①古き良きイギリスの衰退 ②執事の品格とは ③変わることが正しいのか ◎書評 大英帝国の国力、文化の衰退を克明に描いた名作。 小説ではあるものの、学びの多い作品だった。 ① 古き良きイギリスの衰退 主人公は名門貴族、ダーリントン卿に仕えた執事、スティーブンソン。 ダーリントン卿は3年前に亡くなり、新たに屋敷の主人となったアメリカ人に仕えている。 そんな新たな主人からスティーブンソンは休暇をもらい、フォードに乗ってイギリスの田園地帯を走り旅に出る。 物語は大部分が過去の回想だ。 第一次世界大戦後から第二次世界大戦前夜にダーリントン・ホールで何が行われていたかがスティーブンソンの回想のもと描かれる。 しかし、古き良きイギリスの衰退はアメリカ人主人との日常のやり取りで色濃く描かれている。 スティーブンソンは新たな主人が飛ばすジョークについていけない。 過去のイギリスではこんなことはなかったのに…と苦虫を噛み潰すような思いをするわけだ。 イギリスの一級貴族の邸宅がアメリカ人に購入されていることで経済的なイギリスの敗北を描き、文化としても潮流はアメリカンカルチャーが中心となり、イギリス文化は古くは臭いものになっている。 執事としてのプライドもズタボロにされていくスティーブンソンは、過去の時代に取り残されている老兵ともいうべきだろう。 カズオ・イシグロはこのイギリス経済、文化の衰退を執事視点で暗に、時には鮮明に描き切っている。 ②執事の品格とは スティーブンソンが過去の回想をする際のひとつのポイントになっているのが執事の品格だ。 スティーブンソンは多くの執事仲間と執事とはどうあるべきかを論議し、その時代の立派な執事へと成長した。 その一方で、父の最期にも立ち会えない、女中頭の恋心にも気づけないような空虚化した存在になってしまったことへの後悔の念も描かれる。 極めつけは主人であるダーリントン卿が第二次世界大戦前に行なっていたことは、決して正しいことではないと薄々気づいていたものの、主人を信じるということを言い訳にダーリントン卿への進言を行うことは避け続けた。 結果、戦後ダーリントン卿は世間からの大バッシングを受け、失意のまま亡くなる。 正しい執事の在り方、執事の品格とは何か。 このテーマを追いかけることこそこの小説を楽しむひとつの鍵になると考えられる。 ③変わることが正しいのか ダーリントン卿が冒した罪とは、親ナチス派になってしまったことだった。 ダーリントン卿自身、古き良きイギリスが大切にしているものなど今の時代には合わないものだと自覚している。 しかし彼が求めてしまったものはヒトラーやムッソリーニといった過激な指導者だった。 確かに大きく世の中は変わるがこれが本当に正しいのか。そういった視点が抜けていたのだろう。 ここから変わることが正しいのか、改めて考えさせられた。 ビジネスの場でも変革、変革とばかり言うが、それは過去を全否定すべきものではない。 そういった大局観のようなものもカズオ・イシグロは読者に伝えたかったのではないだろうかと感じた。
- KaRo@hua_runchai2025年7月24日読み終わった車で旅路を行くのが牧歌的で良かった。 また、そんなゆったりとした雰囲気とスティーブンスの穏やかな語りが合っていて、最後のシーンは切なくなった。 私が、スティーブンスと同じくらい年齢を経た時に読むとどう感じるのだろう。
- kasa@tool2025年4月8日かつて読んだ素晴らしく丁寧な物語。 その舞台となるイギリスのリトルコンプトンやウェイマスの風景も素敵で(画像検索した)読みながら主人公のようにちょっとした旅行気分を味わった。 執事であるスティーブンスの信念には確固たるものがあるが、時々かいま見える人間らしさに一息つく。
- 夏しい子@natusiiko2025年3月6日かつて読んだ凄かった。 スティーブンスの不器用さ 執事としての執務への入れ込み様が 読んでいて切ないほどだった。 ミス・ケントン側の方からの物語も読めたらもっと、もどかしてく泣いちゃうような物語だったかもね。 辛くて、切ないのに読了後は「読んで良かった!」としみじみと思えた小説だった。
- 彼らは読みつづけた@findareading2019年5月9日かつて読んだ*読書で見つけた「読書(する人)」* 《「何をお読みになっているのかしら、ミスター・スティーブンス?」 「ただの本です、ミス・ケントン」 「そんなことは見ればわかります、ミスター・スティーブンス。何のご本ですの? とても興味がありますわ」》 — カズオ・イシグロ著/土屋政雄訳『日の名残り』(2009年8月11刷、ハヤカワepi文庫)
- pessimism@notimetosleep1900年1月1日かつて読んだ"The Remains of the Day"という原題の響きも美しいけど、日本語にしても趣深い秀逸なタイトル。英国紳士の旅のお供はフォードなのね。