
巽
@Tatumi
2026年6月23日

羽羽
正木ゆう子
読み終わった
二百キロ離れもの言ふ寒さかな
冬泉湧き且つ流れ且つ奏で
肩甲骨体操つばさ無き春は
引力をすこしみて羽化の蝉
父母亡くてもうどこまでも寒の晴
寒星は瞬き惑星は瞠けり
春愁の果てよりこころ呼びもどす
遠山火深く思へば叶ふこと
夏炉かな火があればみな火を見つめ
星空のような水母を夢に飼ふ
サラダさっと空気を混ぜて朝曇
雷神のうち捨ててゆく荒野かな
萎るるに身を尽くしたる月見草
密やかに雲より出でず稲光
一花のみ揺るるは蜂のとまりたる
山裾を海に浸して明易し
恃むにはやさしきうさぎ年迎ふ
無味無臭透明にして夏の風
けふ母を死なさむ春日上りけり
尋常の死も命がけ春疾風
もうどこも痛まぬ鉢花に置く
ひとまづは昴へ向かふ魂か
かへりこぬ匂ひのひとつ日向水
こはれさうにこはれず浅黄斑蝶(あさぎまだら)とぶ
