
巽
@Tatumi
BLと短歌とファンタジー
- 2026年7月11日
- 2026年7月3日
- 2026年7月3日
象の耳: 嘴朋子句集嘴朋子読み終わった - 2026年7月3日
カミーユ大森静佳読み終わった曼珠沙華の白を両手にほぐしつつここに戻ってきてほしかった とても白い顔で母は泳いでいる 傷なのに 傷そのものなのに 見たこともないのに思い出せそうなきみの泣き顔 躑躅の道に - 2026年7月3日
句集 龍宮照井翠読み終わった三・一一民は国家に見捨てらる 三・一一神はゐないかとても小さい 唇を噛み切りて咲く椿かな なんで顔してゐるんだよ寒卵 酔ひて罵る霜のホームの全員を 雪が降るここが何処かも分からずに 曼珠沙華残りの弦で演奏す どうかして生きたい水母くつがへる 初蛍やうやく逢ひに来てくれた 花冷や海は途方に暮れしまま - 2026年7月2日
鈴を産むひばり光森裕樹読み終わった鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふで もこれでいいよねと云ふ ポケットに銀貨があれば海を買ふつもりで歩 く祭りのゆふべ 明日からの家族旅行を絵日記に書きをりすでに楽しかつたと 中吊りのない車内です。潮風です。二輔後ろ に母が見えます 花積めばはなのおもさにつと沈む小舟のゆく へは知らず思春期 ・・・・・・と云ふわけで私は此処にゐる よろしく、アンナ・シュバルツバルト もうゐないひとであるゆゑ此処にみて此処に ゐるゆゑもうゐないひと 王冠を被きてみたき衝動を押さへつけ押さへ つけ水に沈めよ 未来より借り物をするさみしさに書物なかば の栞紐ぬく ふゆあかねさす紫水晶(アメジスト )ひとことをいへぬがた めにわれら饒舌 いちにちの読点としてめぐすりをさすとき吾 をうつ蟬時雨 鳥の名で統一したるサーバーのひとつがやは り応答しない ドアに鍵強くさしこむこの深さ人ならば死に至るふかさか 青年の日はながくしてただつよくつよく噛む ためだけのくちびる - 2026年6月24日
- 2026年6月23日
夏至: 正木ゆう子句集正木ゆう子先づ土に固定をいそぐどんぐりぞ 抱き合へば滝の触れ合ふごとくなり 合ひたくて地団獣を踏む夏の鴨 骨に骨積むや遙かな雪崩音 れおなとはライオンの名ぞ花を食ふ 海はるかなれども海へ秋の川 - 2026年6月23日
羽羽正木ゆう子読み終わった二百キロ離れもの言ふ寒さかな 冬泉湧き且つ流れ且つ奏で 肩甲骨体操つばさ無き春は 引力をすこしみて羽化の蝉 父母亡くてもうどこまでも寒の晴 寒星は瞬き惑星は瞠けり 春愁の果てよりこころ呼びもどす 遠山火深く思へば叶ふこと 夏炉かな火があればみな火を見つめ 星空のような水母を夢に飼ふ サラダさっと空気を混ぜて朝曇 雷神のうち捨ててゆく荒野かな 萎るるに身を尽くしたる月見草 密やかに雲より出でず稲光 一花のみ揺るるは蜂のとまりたる 山裾を海に浸して明易し 恃むにはやさしきうさぎ年迎ふ 無味無臭透明にして夏の風 けふ母を死なさむ春日上りけり 尋常の死も命がけ春疾風 もうどこも痛まぬ鉢花に置く ひとまづは昴へ向かふ魂か かへりこぬ匂ひのひとつ日向水 こはれさうにこはれず浅黄斑蝶(あさぎまだら)とぶ - 2026年6月10日
- 2026年6月10日
空庭: 歌集黒瀬珂瀾読み終わったニューヨーカーが住む場所ゆゑにニューヨーク 冬晴れに輝ける冬空 おおここに高々と「無」が聳えをりグラウンド・ゼロ風吹くばかり 冬の朝鎖されて舌からめあふくちづけをやめないで、おとうと われら組織にあるゆゑ命より重き掟の舌に舐めつくされつ 捨てられぬ夢のため捨て去りしもの多くて春に狂ひ咲く百合 女から男に残すことづての花洋として海桐花(そびら)がひかる ああ僕を誰の代はりにして君は抱かるる朝の葉月の荔枝(れいし) 夏至の雨きらめき他人のものとなる悲しみをわが解放として 常福の最果てとして醬標窓を目に描きつつ手を放すかな 人ら等しくとらはれとしてひとやなる星にゐてまた星を眺めつ 男は殺せ女は奪へとぞ声の響く寝起きは耳を押さへて - 2026年6月3日
そら耳のつづきを湊圭伍ごめんごめん遠い世界のことでした 嘴の代わりについている絵の具 マグカップで壊せるような朝じゃない 風もなく火もないところにも会釈 まだ淋しくないと救急車の遠吠え きみの死をぜんぶ説明するしてあげる グレゴール・ザムザ一脚ずつ愛す 厩戸皇子に代わってもらいなさい 買ったばかりで溝に捨てるような青 - 2026年6月2日
水の聖歌隊内山晶太,笹川諒読み終わった椅子に深く、この世に浅く腰かける何かこぼれる感じがあって 静かだと割とよく言われるけれどどうだろう野ざらしのピアノよ 願うたび襞を重ねる油彩画のみずうみのよう 来なくてもいい 涅槃雪 ゆるしていたい人がいてその名前から許しはじめる 幸せの理性について(愛されて翼をなくす鳥を見ていた) 遠目には学番のようで紫陽花は死後の僕たちにもわかる花 近付きつつ遠ざかるひとの指先をこころの中でチェンバロに置く - 2026年6月2日
メタリック小佐野彈読み終わった病みたるは君ではなくて街なのだ 山手線はまはり続ける ふたりして歩けばどこも楽園の記憶ばかりで眠い 眠いよ 多様性多様性つて僕たちがざっくり形容されて花ふる その腕(かひな)もて抱きくれしことなどもあったねむかしむかしだけれど - 2026年5月18日
砂丘律千種創一アラビアに雪降らぬゆえただ一語サルジュと呼ばれる雪も氷も 深く息を、吸うたび肺の乾いてく砂漠は何の裁きだろうか 通訳は向こうの岸を見せること木舟のように言葉を運び 僕たちは狂気の沙汰だ 鍵は落ちて雪の深さへ埋まっていった 手に負えない白馬のような感情がそっちへ駆けていった、すまない 人生は途中で終る物語 むせかえるほど咲く栗の花 古本屋という湿地に飛来して5分もせずに次の湿地へ 舟が寄り添ったときだけ桟橋は橋だから君、今しかないよ - 2026年5月18日
離れ島: 石川美南歌集石川美南夜になれば移動する木々(まづは根を)(つづいて幹を)国境へと 最後尾は一万年待ち 謁見の叶はぬままに幾世代経ぬ 口移しで分け与へたし王国のさみしい領土浅き領海 (外は風)待たぬためではなかつたか「返信不要」と書き添へたるは 君の残す全てが手がかりのやうで落ち着け、これはただの指紋だ 酸の人アルカリの人向き合ひて水を飲むなり激論ののち 鳩に礼、冬空に礼、これからは寂しがらずに生きると誓ふ 語ることが何もないなら幽霊の資格はないと、静かに雨は 熱はない。あなたの額から指を離す、プールの靖蛤みたいに - 2026年5月14日
- 2026年5月14日
脳科学者の母が、認知症になる恩蔵絢子人は自己が脅かされると、保守化する傾向があることが知られている。この病気では、日々、忘れることが増え、失敗がどうしても増えてしまう。人前、家族の前で、小さなことだが、失敗してしまう。それによって、自尊心がどうしても脅かされてしまう。だから、自尊心をなんとか守ろうとして、「新しいもの」「知らないもの」「自分と違うもの」を排除しようとするのかもしれない。 正解だからといって、同じ場所にいつも行っていては、いつ餌がとれなくなって滅んでしまうかわからない。だから、間違う可能性を残しておくのだ、と考えられている。 正解から外れるのが、生物として生き残るために大事なことだというのは面白いことだ。 絶望的な状況の中で抱いた小さな明るい感情が、のちのち、自分を支える力にまで育つのである。一つの出来事に、どれくらい多くの感情を感じることができるか、それはこの世の中を生き抜く一つの知性である。 - 2026年5月14日
裏島: 石川美南歌集石川美南くうなぎになりたい貴方のためのプチうなぎレッスン初回二時間無料> まひるまの眠りゆらゆらたゆたへばうなぎさみしい、うなぎもとない 何度目の正直でせう正直な眼(まなこ)にはめるガラスふた粒 ベビーカーにハチドリ低く群がるを振り払ひ、振り払ふ幻影 急ハンドル切れば怒りて「この俺と心中なんか嫌だろ」と言ふ 眠たがる頭を床に打ちつけて悟りさとらぬさとらばさとれ 液体と気体を行き来するうちに恋に落ちたりするはずだつた - 2026年5月4日
夕桜菅谷弘子
読み込み中...


