
704h
@704h
2026年6月24日
幽霊塔
宮崎駿,
江戸川乱歩
読み終わった
読み終えた。
黒岩涙香の海外文学の翻訳を、江戸川乱歩がリライトしたもの。巻頭に宮崎駿のマンガが載っていて、本作の思い出と解説が語られている。
宮崎アニメに多大な影響を与えたということで満を持して読んだ。本作を読むにあたって、新潮文庫の短編集二冊と、三島由紀夫が戯曲のためにリライトした『黒蜥蜴』を読んだので、すっかり乱歩ファンである。
それでも前半は読んでいて少し辛かった。宮﨑氏も「通俗文化」と評しているが、雑誌の連載小説なので読者の気を惹くために、あの手この手で引っ張る。数ページ毎に「これが後に世にも奇怪な事件に繋がっていようとは、その時の私は知る由もなかった。」的な文句が出てくるので、通して読んでいると辟易してくる。(古典なので当たり前だが)現代の感覚で読むとストーリーもご都合主義過ぎて何だか笑ってしまう。家に虎は凄い。
しかし!後半は怪奇譚としての魅力が爆発していて、まんまと小説世界に引き込まれた。意外と時計塔の場面は少ないのだが、魅惑的な舞台と人物が次々に現れ、乱歩のサービス精神を感じると共に、想像力を掻き立てるアイデアが随所に盛り込まれていて、読んでいてワクワクさせる。
昨今の考察文化ではストーリー作りの巧みさばかりが取り上げられがちだが、アイデアやイメージの素晴らしさで勝負しているのが逆に新鮮に感じられた。難しく考えずに楽しめる。本来娯楽とはこうあるべきなのだと思う。