しんたろう "ドールハウス" 2026年6月25日

ドールハウス
ドールハウス
姫野カオルコ
p209 「わたしが泣いたのは、きっと……、ただ情けなかったから」 眼をそらすような、尻をまくって逃げるような江本の無礼な後ろ姿が理加子を情けなくさせた。そして、「その人」の話をみずから理加子に伝えてくることに怒りをおぼえた。 「なぜ、その人のことを私に言うの。その人と江木さんの間に私は入れないわ。なぜ私と江木さんの間のことを言わないの。たとえ、結果的に二十分で終わっても、あとがつかえていないときに話をする時間を作ってほしい。ビザの配達頼むんじゃないんだから。そりゃ、わたしだって憂鬱だわ、話すのは。決まってるじゃない。こんな話、憂鬱じゃない人なんかいないわ」
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