
えい
@shibamoti
2026年6月22日

読み終わった
エッセイ
資料系
@ 自宅
明治から昭和を生きた著者による、明治時代の東京の風景を記した随筆。
蚊帳問屋や絵はがき屋など、ごく専門的でニッチな、令和の現代からは想像もつかない商売が幾つもある。行商も多く、個性的な呼び声をかけながらやってくるのが定番だ。時計は物珍しいもので、馬車が走り、船の行き来が盛んで、ようやく鉄道が走り始めるかどうかという風景。その様子はなんだか別の世界を見ているよう。
それでいて現代と地続きの地名や商売、今もある店なども見受けられ、東京という街なのだという実感もある。
そしてあとがきも印象深い。著者は昔を必ずしも賛美するわけでなく、便利になった昭和を素直に喜び、認めている。
反面、戦後の発展の中失われてしまった穏やかさやのどかさ、自然を懐かしんでもいる。まだまだ豊かな水郷、江戸の名残もあるような東京下町を暮らしていた人、その物寂しい望郷の想いを感じた。
