Yo "弔父百首" 2026年6月28日

Yo
Yo
@otsuki
2026年6月28日
弔父百首
弔父百首
平出隆
平出隆の父、1999年7月8日の入院から7月22日の逝去、四十九日頃の9月9日まで日記と並行に書かれた詩人による(現在まで)最初で最後の歌集。 かねて聞く死線超えしは四たびなり始めは青き竹藪の崖 汚れたる紫川を離郷への理由とせしがいまや澄みそむ 目閉ぢての畏まりたる挨拶はおのが葬儀に出でてゐるらし 吸入器ほのかに曇りまた透り今宵は父の息のよく見ゆ 枕べに無数の繊維ふりそそぐらしく目で追ふ手でふり払ふ 立ち去りてすぐにか父の事切れけむその想像の底なき感じ はらはらと死者の湯呑みは見甲斐あり浴衣の胸の蘇るほど 胸分けて見つつかなしもしんしんと山桃熟めば山の食すかな 常盤橋旧き木組みに直されて傘を日傘にひとは渡らむ みなかみに揺らぎてかすむ病院のなにを記念とせしかその名に アトリエの古ねし絨毯棄てむとて鋏入れては格闘めきぬ 過ぎにし人の臥床になほ下がる灯の紐さぐり引きぬあかとき
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