さくらゆう "抱擁、あるいはライスには塩を..." 2026年6月29日

さくらゆう
さくらゆう
@skryuh_
2026年6月29日
抱擁、あるいはライスには塩を (上)(下)巻セット
上下巻合わせて23章からなる物語は、1960年から2006年という46年の時を駆け抜けます。物語の中の「現在」という時間は46年分ですが、親子三世代に渡る物語は、第一世代が子供の頃のことも思い出話として語られるので、百年近くの厚みがあるように思います。 読み始めは、「一風変わった大富豪家族の物語」だと思いました。でも、ここで語られること、私が感じ入ったことは「過去にある美しいもの、暖かく幸福なものから、否応なく引き離す『時間』というものは万物共通」だということ。ただ、「過去の美しさ」は、その当時にも「幸福」以外の様々な感情が入り混じっていて生み出された時間だけれど、「過去」として振り返るとどうしようもなく「懐かしく、また会いたい」と思ってしまうものですね。作中の言葉を借りると「もはやこの世のどこにも存在しないもの」だから、少し輝かしく見えるのでしょうか。 全章で特に感動したのは、「二〇〇〇年初冬」の年老いた人間の描写です。ままならない身体の描き方に、落涙を止められませんでした。でも、そこに至るまでの「家族の物語」がすっかり沁み込んでいるから、余計にその章が沁みるのだと思います。この章でこの家最大の秘密?も明かされるので、そこに関しては「あなたもでしたか…」という気持ちになりましたが(ネタバレになるので伏せます)。 一家族を通して味わう「時の流れの切なさ」。 そして「今ある幸福を堪能する豊かさ」。 「家が持つ記憶」の残酷で暖かなもの。 それらを噛み締めながら、書き残してみました。 感想全文はnoteにあります。 https://note.com/skryuh_/n/n6b8d0d80b4aa
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