
綾鷹
@ayataka
2026年6月30日
OUT 下
桐野夏生
深夜の弁当工場で働くパート主婦が、夫殺しをきっかけに遺体解体の共犯となり、日常(社会のルール)から外れていく姿を描いた犯罪サスペンス。
主人公の雅子(43)は若い頃は信金で働く優秀な人間であったが、会社に楯突いたことで退職に追い込まれる。家庭内別居の夫と高校中退し全く口をきかなくなった息子と息苦しい生活を送っている。
そして、介護と貧乏に疲れ果てているヨシエ(50半ば)、不細工なのに見栄っ張りで借金まみれの邦子(29)、美人で子供もいるのにギャンブルと女に貯金を使い果たした夫を持つ弥生。
夫殺し、遺体解体の共犯となった彼女らは苦しい状況に置かれており、みな現状から抜け出すために犯罪に手を染める。
桐野夏生さんの小説は初めて読んだが、とても面白かった。
特に雅子とヨシエの現状への絶望感と、解放への切実さには心を揺さぶられた。下巻では、この2人はなんとか逃げられますようにと祈りながら読んでいた。
犯罪を犯すまで行かなくても、辛い人生から逃げ出したいという気持ちを持ったことがある人は多いのではないだろうか。
しかもこの物語は井の頭公園バラバラ殺人事件という実際に起こった事件が元ネタとなっているらしい。
ハラハラさせられるストーリーの面白さはもちろん、実際にこんな状況の人がいるのか、こんな事件があったのかとゾクっとする、そこも魅力的な物語だった。