綾鷹
@ayataka
- 2025年7月11日しろいろの街の、その骨の体温の村田沙耶香・私は「嫌い」という言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする。 ・見返すなんてばかみたいだな、と私は思った。見返すということは、相手と同じ価値観を共有するということだ。ピラミッドの存在を肯定することだ。 ・私は「観察する私」になりきることで、いかにも教室を冷静に見つめているかのように、こっそりと、皆より少し高いところにいるような気分に浸っている。そして、実際には値段の低い自分のボロボロの自尊心を慰めている。 ・教室の中で、皆が、それぞれ自分を守るためや喜ばせるために、精神的な自慰行為に没頭しているのかもしれない。
- 2025年7月11日夜と霧ヴィクトル・エミール・フランクル,ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子・私たちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ ・このひとりひとりの人間にそなわっているかけがえのなさは、意識されたとたん、人間が生きるということ、生きつづけるということにたいして担っている責任の重さを、そっくりと、まざまざと気づかせる。自分を待っている仕事や愛する人間にたいする責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。まさに、自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられるのだ。
- 2025年7月9日授乳 (講談社文庫)村田沙耶香・道徳の教科書でも、のけものにされた女の子はこうやってじいっと下を向いていた気がする。それが普通の対応なのかなとあたしは思ったのだった。 ・あたしの人生のすべての人間関係は、ホシオ一人によって完成された。完璧に、理想の形で、美しく。 ・こうやって細かいことを誤魔化しあうことが、幸福を維持する秘訣なのだろうと、そのときあたしは思った。 ・要二は誰かの欲望を嗅ぎ取ってそれを満たしてあげることでしか存在できないのに、要二に要二自身であることしか求めないなんて、ケンのそんな無邪気な残酷さが、あたしには目障りだった。 ・ここがとても不出来な理想郷だったと気付いていたが、今さらわかってもしがみつく以外にどうしようもないのだ。あたしはもう空想の世界の住人になってしまったから外には行かない。
- 2025年7月7日星が吸う水村田沙耶香・確かに、何も考えずに自分を既存のものにはめこんで、それで支障がないのなら、それが一番便利かもしれない。でも、たとえば梓は、あんなに大変そうじゃないか、と鶴子は思った。だったら、作ったほうがずっと合理的なような気がするのだ。 ・鶴子のはさ、理想論なんだよ。現実は厳しいんだよ。あたしたちは、それと戦わないといけないんだよ、あたしには、鶴子がそこから目を背けて、夢みたいなこといってるように見える。あたしは、鶴子のそこが一番、イヤなんだよ ・獲物ではなく恋の相手を自分の基準で選ぶ人間はいくらでもいるのだから、商品価値など気にすることはない、と理屈ではわかっているのに、自尊心を傷つけられてしまうのだ
- 2025年7月6日・ネットで文章を読むとき、私たちは「読者」ではなく、「消費者」 ・読書は「体験」であり、人生観、人間観を深め、想像力を豊かにし、人格を大きくしていくことができる ◾️読書をする人だけがたどり着ける「深さ」 ・教養とは、雑学や豆知識のようなものではなく、自分の中に取り込んで統合し、地肉となるような幅広い知識 ・単なる物知りでなく、教養が人格や人生にまで生きている人が「深い人」 ・文学を読むことで、複雑な感情を感じ取ったり言語化したりする能力を身に付けることができる ・「知的」とは、知識が豊富で、言語的な認識力が高い人 ◾️深くなる読書 何をどう読むか ・「深さ」を手に入れるには、深くその物事を捉える力、「認識力」が必要 ・読書は大きく分けて、情報としての読書と、人格としての読書の二つある ・情報としての読書であっても、情報と人間の営みとを一緒に理解しようとすれば、おのずと深まっていく ・読書は自分と異なる視点を手に入れるのに役立つ(自分と違う見方だと思っても、一旦は著者の目になったつもりで本を読む) ・海外の文学、思想書や歴史書を読むと、人類の普遍性を感じると共に、異なる視点と感じる ・「著者月間」を作って、広く深く読むことで、点が繋がって面ができていく ◾️思考力を深める本の読み方 ・文章を読んで意味を理解(読解)して終わらせるのではなく、「自分だったらどうだろう?」等と自分に引き付けて考える ・感情を乗せて読む ・読みながらメモする ・本を読んだら人に話す(思考を深めるには対話が一番。語る相手がいなければネット上のレビューを読む。) ・読んだ本のポップ、キャッチフレーズを書いてみる ・読んだ本の中から好きな文章を3つ選ぶ ・ツッコミを入れながら読む ・先を予測しながら読む ◾️知識を深める本の読み方 ・知識と認識はセット(知識が増えると認識力も高まる) ・驚くべきことに驚けるのは教養があるから ・知識の増え方は細胞分裂のように、倍、倍で増えていく感じ ・あるテーマについて知りたい場合、続けて5冊ほど読むとかなり知識が得られる ・知識を上手に取り出せるようになるには、「つながり」を意識して読むとよい ・ベストセラーや話題の本は、その流行っているときに読むことが大事(その時代の空気感にマッチしているから) ・本屋に行って、たまたま出会った本を読むことで知識を広げる ・人に勧められた本を素直に読む ・図鑑や百科事典で全体像を把握する ◾️人格を深める本の読み方 ・知識、思考、感情、性格など統合した個人のあり方が人格 ・名著と言われるような作品を残した著者の偉大な作品を読むことで、偉大な人の器に触れる ・長く愛され、世界中で読まれている文学から、「時代を超えた普遍性」を読み解く ・自分だけの名言を見つけるつもりで本を読む ◾️人生を深める本の読み方 ・文学とは経済的成功や勝ち負けとは違う次元で成立している。「生きる」ことの意味の深さを何とかつかまえようとしている、そういう営み ・生きる意味を捉えようとする力を読書によって育むと、色々なものの深さがわかるようになる ・インドや中国も含めた4000年もの歴史に流れる東洋の精神文化とつながることができると、強くなれる ・本を通じて他人の人生を追体験する ◾️難しい本の読み方 ・本だけでなく映画、漫画、映画、音楽などそれぞれに名作と言われる、時の流れの試練に耐えて残ってきたものには、それだけのパワーがある ・集中力を鍛えるには、まずレベルの高い本から ・名作だけれどもとっつきにくい作品は、本・ドラマ・映画・コミックを回す ・読書は「わからない」ところがあっていい
- 2025年7月3日
- 2025年7月3日コンビニ人間村田沙耶香自分自身も相手が同じ感覚を持っているという前提で無意識に過ごしていることを怖く感じた 主人公が「普通」になるために周りに同調していく様子は、自分の周りでも思い当たることがあった 排除される恐怖から周りに同調するのだが、自分がいなくなったとしても、その場は強制的に正常化される 社会で生活する限り、波風を立てない上手く立ち回ることも大切だが、もっと自分がやりたいように過ごしてもいいと思えた
- 2025年6月27日情報分析力小泉悠・溢れる生情報を分析する方法(いくらでも手に入るようになった情報について、それらが何を意味しているのかを知る方法)はインターネットでも中々手に入らない ・インターネット上の情報はフェイクが混ざりやすい ・情報を処理して意思決定の判断材料になるよう仕立て直したものをインテリジェンスと呼ぶ ◾️1章 ・「能力」を分析の出発点にすることで、起こりうる事態の上限を把握する ・情報を取るだけでなく、背景を知っているかどうかで解釈が異なる ・戦略レベルでは意図を把握できても、戦術レベル(現場の動き)ではまた別かもしれない ・信頼できる隣接分野の専門家を頼る ◾️2章 情報分析で大事なスタンス ・情報は何らかの形で役にたつ何かに変換する必要がある ・書き手は「読み手(お客さん)」を意識して書かねばならない(要約したり、用語を置き直したり、まとめ直す) ・情報資料作りは自分の頭の中を可視化して、第三者目線で再検討すること(「何となくわかった」にならないようにアウトプットして矛盾点に気付く) ・背景情報(広く浅く)、コア情報(深く)、足で稼ぐ情報(文献だけでは把握できない、より体験的) ・必要な情報には身銭を切る ・頭の中で分析対象を模倣できるようにしておく(彼らなりの合理性を理解し、きっとこう考えるだろうと推測する) ◾️3章 情報を取る ・何を目的に情報を集めるのかが大事(「私たちは何をわかっているべきなのか」という提案力が求められる) ・情報収集をするときは、問い=情報要求のレベルに合わせて解像度(情報の細かさ)を調整する必要がある ・情報資料作りでは「書く」より優れた方法はない ・文章を書くことで追加収集すべき情報が見えてくる ◾️4章 集めた情報を分析する ・「背景情報」取り方のポイント ①分析対象について書かれた母国語の書籍を読む ②分析対象を「広い構図」(政治・経済・歴史等)で捉える ③分析対象が「今の姿」にどのように辿り着いたかを知る 論文1本、あるいは研究書の1章分をノルマとして毎日読むと1年後には相当の知見が集まる ・「コア情報」情報処理装置作りのコツ ①文献が参照している資料を芋蔓式に読む ②専門家の論文からデータ解釈の知見を得る ③体系化する(「この問題にはこれとこれを読めばいい」とすぐ分かるようにタグ付け。「読み方」の参考になる資料は「考察」「分析」といったタグを追加) ④人に聞く(分析方法、オタク的に詳しい分野等) ⑤経験値を貯める(足で稼ぐ、定点観測等) ・一般論の後に、具体的な各論を語れるかどうかが情報分析の優劣を分ける ◾️5章 情報をまとめる ・とりあえず現時点で手元にある、あるいはすぐ集められる情報を図表やグラフにしてみる ・図表やグラフを基に仮説を立てる(文章にする。情報収集の指針ができる) ・アウトプットができないときはインプットを増やす ・作成した文章に納得できないときは、「文章を組み替える(配置を工夫)」「時間を置いてから文章を見直す」「やり直す(一から書き直す)」 ・情報資料の体裁を整える(忙しい人がさっと見てわかるようにする) ①冒頭に要約をつける ②重要なキーワードに下線を引く ③文章の中に見出しをつける ④グラフをつける ⑤わかりやすい言葉を使う ◾️6章 情報分析で陥りやすい罠 ・情報分析者の慢心 ・情報需要者が「こうに決まっている」という予断のもとに情報要求を出してくる →自分の分析結果を相対化する必要がある ・分析対象の言い分に同調してしまう →自分の偏りを認識する ・情報通で終わってしまう →継続的にアウトプット(文章化)する ・「ヘンな専門家」の見分け方 ①「偏な専門家」情報分析が予断に満ちていて、やたら断定調 ②「変な専門家」分析結果自体がおかしい。やたら細かい話ばかりしていて結論がない情報通タイプ。分析対象のエミュレーターのスイッチが切れず、陰謀論に陥っている可能性がある専門家 ・AI等の新テクノロジーがどれ程のものか見極めるには、自分が情報分析に精通していないと振り回されてしまう ・情報分析には人間についての理解が求められ、その人間が1番厄介なファクター。文学を読むことでこの世界に様々な事情で存在する無数の人間性を疑似体験することができる
- 2025年6月26日1Q84 BOOK3村上春樹壮大で不思議な世界観だったが、一気に読み進めることができた 宗教・SF感が強いスタートだが、最終的に愛というテーマの色が強くなることは意外だった ほとんどの登場人物に共感できないが、牛河だけは例外 彼の過去や彼に対する周りからの目から哀愁や孤独感を感じるが、自分の能力に自負を持ち執念深く仕事に取り組む姿は、唯一共感できる ◾️印象に残った言葉 ・物語の役目は ひとつの問題をべつのかたちに置き換えること ・説明しなければわからないということは、説明してもわからないということだ
- 2025年6月20日1Q84 BOOK2村上春樹
- 2025年6月13日1Q84 BOOK1村上春樹
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