舳野
@henomohe
2026年6月29日

萩の雨 (講談社文庫)
連城三紀彦
読み終わった
男と女の情と哀愁とひとひねりするトリッキーなプロットな連城三紀彦ワールド。
その中でこの二篇がよかった。
「みちのくの月」
親の離婚と再婚でごたごたし受験に失敗し、あげくに彼女にフラれた主人公が列車でたまたま出会った老女の初恋の旅に同行する。
人にかまってる余裕などないのだが、処女を奪われた(同意なのでレイプではないがそれっきりだし奪うに近い)初恋の相手に会いに来た未亡人の彼女をほうっておけなかった青年、なんだかんだでつい助けてしまうのが微笑ましい。
彼女に「おばぁさんは綺麗だよ。今は知らないけど昔はきっと綺麗だったよ。そういう顔をしている。」と彼女の心にいるあさはかな夢を見る17歳の少女に、安らぎをくれた夫やときめきをくれた初恋の男が与えなかった花束のような言葉を贈る場面はぐっとくる。
「輪島心中」ちょっと風変わりなシスターフッド。
みちのくの月と同じで電車でたまたま知り合った二人の話。夫に浮気された主婦と腐れ縁の男と心中しにきた元ストリッパー、今はストリップ劇場のオーナー。
心中しようとしてるので止めてほしいと頼まれ結果的に同じ宿に泊まる。
これもひねった終わり方だけど爽やかだった。
叙情的でなおかつミステリーのような楽しみ方ができる恋愛小説。


