きらた "吉原面番所手控" 2026年7月3日

きらた
きらた
@kirata
2026年7月3日
吉原面番所手控
吉原面番所を長年勤め上げた同心·木島が、見舞いに来た知人を相手に語った、かつて自死した花魁の手を借りて解決した事件の数々 遊女の悲哀が浮かび上がる時代ミステリの連作短編集 以前読んだ『雪旅籠』や『恋牡丹』の雰囲気が興味深く感じられたので、似たような作品は無いかな?と探していたら見つけた作品 読んでみたら〈似たような〉ではなく、同一世界軸 『雪旅籠』『恋牡丹』の同心が同じ職場に居たみたいです(名前が出るだけ) ただ、こちらの作品では《終わり行く江戸時代》《時代や立場の変遷に対応しようと藻掻く人々の姿》の描写はなく、《吉原の遊女の手を借りて事件を解決した同心》との設定が同じで、こちらの方がより吉原の内情を描写しているって感じでした そんな訳で、本作は江戸時代後期の吉原を舞台にしたミステリ連作集 吉原で起きた事件を同心が解決して行く話なのだけれど、実は事件を解決に導く推理(ヒント)を同心に告げていたのは、吉原で生きた1人の遊女だった そんな彼女が禿から花魁になり‥命を絶つまでに、彼女が関わったいくつかの事件を、病身の同心が語る 男を手玉に取り、強かに生きるようにみえても内心はどうなのか 身請けされずに年期奉公があけたらどうなるのか 中には、金子が足りなかった男はどんな目にあったのかも書かれていたりする 吉原を舞台に描かれる本作は、単なる連作ミステリではなく、吉原に売られた1人の女性の一生を描いた作品でもあった 自死した花魁との思い出を語る同心 出会いの事件から最後の事件まで しかし── ──彼女は最期まで誰にも心を開きはしなかった 彼女は何故自死を選んだのか そして、決して語られなかった彼女の罪と過去とは? 語られる事件が密室系ばかりなのは偶々か狙ったか 雪や格子窓等の和テイスト溢れた密室が、吉原の色艶に物悲しさを添えている気がする 各々の事件も哀しみが漂っていたように感じたが、序章にて“影ながら事件解決への助力をしていた花魁の自死”が語られるので、作品としての結末も悲しく終わるのだろうとは予想出来ていた しかし《付記》として添えられた彼女の過去はあまりにも‥ (二の控を読んだ時にちらっと想像はしたけれど、“いや まさか そんな事はいくら何でも‥”と打ち消したその想像が正解だと知った時のあの絶望感たるや‥) あなたは罪など抱えていない その言葉を彼女に伝えてあげたかったなー‥ 続編が出ているらしいのですが、花魁が死ぬ前の時間軸で語られるのかな? そちらの方も入手してみたいと思ってます
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