
綾鷹
@ayataka
2026年6月30日
嵐が丘(下)
エミリ・ジェーン・ブロンテ,
小野寺健
荒涼としたヨークシャーの荒野を舞台に、孤児ヒースクリフの屋敷の令嬢キャサリンへの狂おしい愛と、裏切りに対する残酷な復讐劇を描いた、世界三大悲劇の一つに数えられる愛憎の物語。
ヒースクリフのキャサリンへの執着心に胸が打たれる。
ヒースクリフはキャサリンの愛を独り占めできず、復讐のために恋敵の屋敷や財産を奪い取る。
ヒースクリフの性格は冷たく歪んでいるが、キャサリンへの想いが切なくて憎めないなぁ。
死ぬことでやっとキャサリンと一緒になれるなんて切ないが、一生をかけて愛し続けた大恋愛に感動した。
・「おれが昨日やったことをはなしてやろう!おれは、エドガ・リントンの墓を掘っていた墓守りをつかまえて、キャスリンの棺のうえの土をのけさせて、自分であけた。その時、おれはそこから動きたくない心になってしまった。そのときあの顔が久しぶりに見えてきてー昔のままの顔だったんだー守りがおれを立ちのかそうとしても、おれはなかなか、いうことをきかなかった。だが、風が吹きとむと、変化してしまうといったものだから、それでおれは、棺の横板をたたいて、すこし開けておいて、それから土をかぶせた。リントンの畜生に向いた側など開けるもんか!あいつなど、鈴ではんだ付けしてぬり込めてやりたいもんだ!おれは墓守りに金をつかませて、おれがそこへ埋められるときには、リントンのやつのを横に除けて、それからおれの棺のふたをすとし開けておかせることにした。おれの棺はそういうふうに作らせておくから、そうすれば、リントンの棺がちて、やつがおれたち二人のところにくるころには、二人はひとつに交ってしまっていて、どっちがどっちだか分りはせぬだろうよ!」
「あなたは何という悪いことをされたんだろう、ヒースクリフさん!」わたしはさけびました。
「死者を起してかき乱すなんて、恥だとは思わないんですか」
「おれはだれもさわがせはしなかったんだ、ネリ」彼はこたえました。「ただ、おれの心が、いくらかしずまっただけだ。もうこれから、おれは、ずいぶんと気持が晴れるだろう。おれが土の底にはいっても、おれが迷い出してくることを恐れなくても、まずよいだろう。キャスリンをかき乱したと?いや、あれこそ、この十八年間、夜となく昼となくー絶え間なしにー情け容赦なしにーゆうべまで、おれの心をかき乱してきたのだ。やっとゆうべ、おれはしずまった。
夢におれは、眠っているあれに寄りそって、おれの、とまった心臓をあれの心臓に、凍った頬をあれの頬にくっつけて、もう覚めることのない眠りにはいっているおれを見た」