長山 "夜市" 2026年7月8日

長山
長山
@Naga_book
2026年7月8日
夜市
夜市
恒川光太郎
素晴らしい作品だった。若い時にも、大人になった時にも読みたいホラー小説。ただし、怖くはない。 ある種の怖さはあるが、それは幻想的で、夢のような期待と興奮に近い。石売りや人攫い、買える才能といった夜市の品々が、怪しくて魅力的だった。 幻のような描写の中で、主人公たちが突きつけられる選択だけは現実感があって、残酷で物悲しい。特に、主人公がいずみに言った「ぼくはどちらでもいいんだぜ」がすごく印象的だった。 物語はそれだけでは終わらない。そこから解決編のように視点が変わり、もうひとつの物語が始まる。全てが語られた時の、物語の終わりと始まりがとても良い。 続く「風の古道」もすごく面白い。 12歳の少年が、理の外れた道で少しの冒険に出る。摩訶不思議な光景や、そこで暮らす放浪者の人生。旅の結末と、緩やかに流れながらも起伏のある展開に、主人公たちの生を感じる。 最後のレンが誘う言葉、その後に続く道。爽やかとは違う、風が吹くような涼やかな終わり方で、良い結末だった。
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