糸太 "クリエイティブのための判断力..." 2026年7月10日

糸太
@itota-tboyt5
2026年7月10日
クリエイティブのための判断力 --つくる人が考えるべきこと
AIの登場によって、人々の仕事が奪われるのではと危惧されている。ひと昔前までは、機械に労働させて人間は指示を与えるだけ、といったイメージが共有されていたように思う。しかし昨今の議論は逆である。クリエイティブな労働をAIが担い、出された答えに人間は従う。信じたくはないが、技術の進歩を見るにつけ、そんな未来は現実味を帯びつつあるようにも思える。 最新のテクノロジーを使った表現の分野で第一線を走る橋本さんは、人間にしか担えない役割としての「判断力」に注目している。 本書はべつにAI社会に対する未来図を描こうとしているわけではない。橋本さんのこれまでの歩みをたどりながら、事業を進める上での「判断」という機能を解きほぐし、その大切さを共有しようとしている。 よく考えれば、判断が正しかったかどうかは、やってみた後でなければ分からない。だとすれば「判断力」は、後出しジャンケンではないけれど、鍛えれば成功の確率が上がるものではなく、成功したのは優れた「判断力」のおかげだった、と振り返ることしかできないスキルなのかもしれない。 いや、果たしてそうだろうか?橋本さんは、この本は一つの答えを示そうとするものではない、と何度も釘を刺す。 判断力があろうとなかろうと、人間は色んな場面で判断を繰り返して生きている。そしていざ振り返ってみれば、失敗とまでは言わなくても、「ちょっと間違ったかも」と反省することの方が多いのではないだろうか。 本を読み終えて思った。もしかしたら「判断」というのは、間違えることの方が肝なのかもしれない。 なんらかの判断をすれば、人間は結構な確率で間違う。それを、あってはならなかったミスと捉えるのではなく、次にどこへ向かうかの道標と考える。つまり「判断力」とは、判断をするその瞬間だけでなく、反省も含めたすこし長いスパンで捉えるべき、歩みを進めていくための実用的なスキルなのかもしれない。 「判断力」と似た言葉に「決断力」がある。誰かのスキルとして評価する場合には、「決断力」を使う方が一般的だろう。にも関わらず、橋本さんが「判断力」の方を重視しているのは、この時間的な射程の違いこそではないだろうか。 間違うのは人間ゆえである。AIには担えない役割を考えるとき、未来の成功も失敗も関係なく、ただ「判断」することを楽しもうとする態度は、これからの社会を描く大きなヒントになるのかもしれない。
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