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糸太
@itota-tboyt5
  • 2025年8月11日
    作文
    作文
    人はそもそも聞きたいことしか聞かない。記憶もそう。覚えたいことだけ覚え、その中から誰かに話したいことだけを話す。 さて、語り継ぐと言ったときに、その対象はどこまで本当と言い切れるだろうか。直接の体験者であろうとなかろうと、語られるということは、それ自体に意味があるのであって、もしかしたら内容は二の次のような気もしてくる。 広島への原爆投下を語り継ぐとき、この「作文」という小説が取った方法は、類まれなる有効打であるように感じた。疾しさが疼くという、その点において。
  • 2025年8月8日
    「イスラエル人」の世界観
    テルアビブ大学のダニエル・バルタル氏の言葉として、紛争など惨状のなかにある人々に共通する3つの心理的要素が語られている。 「道徳からの乖離」と「道徳的な権利」と「道徳的な沈黙」。 自然な感情として、どれも当たり前に頷けるものばかりだ。でもこうした気持ちを一度棚置きし、冷静に捉え直す態度こそが、負のループを断ち切る可能性を秘めているのだろう。ヒントは「対話」であり、「物語」でもある。 今年は戦後80年である。単に過去を振り返るだけではなく、ガザの現状と地続きに考える視点を失わずにいたい。
  • 2025年7月28日
    数と音楽
    数と音楽
    音の中に規則性を見出し、音階をつくりだす。ピタゴラスにも遡るこれらの試みは、長い歴史のなかで数多くなされたが、一長一短があって未だ完全なものはない。そうか。この不完全さこそが、音楽が生み出され続ける原動力なのかもしれない、と思った。音楽家たちはこの余白のなかを存分に遊ぶ。 1オクターブを均等に割れる6ではなく7で区切ったこと、また、半音でドに至るシを「導音」と呼ぶことも非常に興味深い。音楽の喜びを体はもともと知っている。ジェイコブ・コリアーに皆が熱狂するのは、きっと自然なことなのだろう。
  • 2025年7月24日
    建築を見る技術
    好きな建築に出会ったときの感動を、誰かに伝えることは難しい。たしかに心は震えているのに、それがどうしてかが、自分でもよく分からないからだろう。この本には、数々の「見立て」が登場する。建築とは違う世界の語彙により、建築がより豊かに見えてくる。ようやく頭が追いついたとき、心はさらに新しいことを感じるだろうか。建築との出会いがずいぶんと楽しみになった。
  • 2025年7月24日
    縄文 革命とナショナリズム
    ストーリーで理解することの分かりやすさと強さ、そしてその怖さをまざまざと感じる。日本人にとって縄文は、アイデンティティに直接関わってくる問題だけに、その傾向はより強いのかもしれない。これだけ人間力がある面々にすぐ隣で熱弁されれば、簡単に染め抜かれてしまいそう。この感染力も軽く見てはいけない。昨今の空気感を読み解くための、大きな補助線を得られた気がする。
  • 2025年7月7日
    雨・赤毛
    雨・赤毛
    またまたモームを読む。やっぱりいい。たった何行かで、ぐんぐん物語に引き寄せられていく。読んでいて頭にひっかかる疑問が、ちょうど良く気持ちいいのだ。ラストも好き。とくに「雨」。短編集ⅠとあるからⅡもあるのかな。
  • 2025年7月7日
    新版 〈賄賂〉のある暮らし
    賄賂や腐敗というイメージと社会主義体制を、いかに簡単に結びつけて思考停止していたかを思い知らされた。市場経済化後に広がって定着した賄賂の実態。その場にいたらそりゃそうなるよな、という実感が、これまでの常識をぐらぐらと揺さぶってくる。賄賂のグラデーションを考えれば、私の身の周りにだって…。善悪さえ曖昧にしてくれる興味深い一冊。
  • 2025年6月29日
    シシになる。
    新しいことへの警戒心が人一倍強い私は、郷土芸能に自分なりの解釈をするすると加えていく著者の姿に、違和感を覚えつつ読み進めていた。しかし板澤しし踊りが登場したあたりから、突然、私の考え方がぐるっと変わったのを感じた。思えば、著者である富川さんに「戦慄せしめ」られたのだろう。ドキュメンタリー短編『Birth by Sleep』も観る。なるほどなあ。深く頷いてしまった。
  • 2025年6月27日
    月と六ペンス
    月と六ペンス
    ストーリー展開のリズムが心地よく、ページをめくるスピードがどんどん上がっていく。ストリックランドの狂気じみたキャラクターにハラハラさせられながらも、その人間性にはより強く惹かれていく。小説のなかの小説。ど真んなか。楽しかったー。
  • 2025年6月22日
    怠惰の美徳
    怠惰の美徳
    なんだ、このタイムスリップ感は。梅崎さんのことは、恥ずかしながら全然知らなかったのだが、感覚があまりにも時代とずれている。早すぎる。いや、それは私の単なる偏見か。梅崎さんを通して描かれる戦時中の空気は、今でこそ読み返される意味があるのでは。
  • 2025年6月15日
    遠い声 遠い部屋
    遠い声 遠い部屋
    ページが進むにつれて支離滅裂さは増していくのに、徐々に真に迫ってくるものがある。分かるなんてとても言えないけれど、なんか知っているという感じは、確かにあるのだ。ひとつの作品が読む人それぞれの心を描写していく。きっと誰もがそう思えてしまうからこそ、世紀を超えても名作であり続けるのだろう。
  • 2025年6月8日
    浄土真宗「道場」の四季
    ありがたい。読みながら何度もそう思った。知らなかったことばかりだったけれど、本を通じてでも「道場」のある世界に触れられたことで、こんな私にも歴史の声が届くような気持ちになった。あまりに面白くて、ここ一週間で二回も電車を乗り過ごしてしまった。
  • 2025年6月1日
    人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学
    誰かと雑談をしていて、急にどこかで読んだ本を思い出すことがある。なんとなく知っていた知識が、ぐっと地に足をつけて拡がっていく感じがする。この喜びってきっと「記号設置」のたまものなのだろう。認知の仕組みを自覚すること。それだけで、たしかに生き方もすこし変わるかも。
  • 2025年5月30日
    波〔新訳版〕
    波〔新訳版〕
    仏僧が「縁起」を説くとき、波の比喩を用いていたのを思い出す。あなたがいるから私がいる。その逆も然り。V.ウルフの描き出す6つもしくは7つの波紋にもどこか通じる。かつ、それぞれに混ざり合いながらも、一つの景色を生み出す見事さよ。またいつか読み返そう。
  • 2025年5月30日
    建築と利他
    建築と利他
    先日の「Trail learning」のそうだが、最近、"道"という言葉とよく出会う。宇野常寛さんも次回作のテーマに"道"を挙げていた。そしてこの本、堀辺さんは「architectureは〜道だ」という。武士道とかの"道"だが、色んな点と点が繋がってきて、少し興奮する。世界の見え方を変えてくれる中島さんには、いつも感謝だ。
  • 2025年5月19日
    世界は誰かの正義でできている アフリカで学んだ二元論に囚われない生き方
    ブルンジで難民支援に携わっている知人がいる。FBで活動の一端に触れることがあり、自分の感覚を改めて問い直すきっかけを与えてくれる。この本もまさにそう。これからの著者の活動にも関心を持っていたいと思う。
  • 2025年5月19日
    みえないもの
    みえないもの
    イリナさんの語り口は、心の奥の方にすっと届く。言葉未満のなにかをそのままあげるから、あなたが自分で言葉にしてみて、と言われてる気分。備忘録がわりに印象に残った一文を。 『他者は身近にいる生命だとわかった瞬間に、内側で生じる』
  • 2025年5月5日
    TRAIL LEARNINGー未知を拓く冒険「歩く」
    思考と身体をバランス良く賦活させるため、「歩く」ことは有効なアプローチなのだろう。この状態をつくり出したまま、Trailを通じて土地に接続されると、より面白い飛躍を体験できるのかもしれない。
  • 2025年5月3日
    心眼
    心眼
    狙ったわけじゃないけど、二冊連続で似たテーマを扱う本を読んだ。おかげでゲシュタルトについて少しだけ深く理解できた気がする。あえて異なるゲシュタルトを踏み越えていくこと。その心構えを教えてもらえた気がしている。
  • 2025年4月24日
    僕たちは言葉について何も知らない
    言葉は自らの内にはなく、クラウドからその都度持ってくるもの、というイメージは新鮮だった。そして使われる「意味の塊」を「センシティブ」に扱い、範囲を限定せず拡張していくこと。この堂々巡りのような先にこそ、「個」の輪郭が浮かび上がるのかもしれない。
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