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糸太
@itota-tboyt5
  • 2025年10月10日
    カウンセリングとは何か 変化するということ
    生きていくうえで必要なこと。これまで沢山学んできたはずなのに、こと心の扱いについて、すっぽり抜け落ちていることに気がつかされた。 必要なかったと言えばそうなのかもしれない。でも、だから知らなくても良い、というわけでは決してない。むしろ知っていればよかったなと、それこそ心から思った。 何が変わったわけでもないだろう。でも「自分」って思ってるほど絶対的ではないよ、と気づけているだけでも、すこし楽な気持ちになる。 正しく向き合うためには他人が必要不可欠。それもカウンセラーのような赤の他人の方が適しているのも納得。 とくに今、私に「破局」の予感があるわけでもない。でも、なにかの折に立ち止まれる場所があり、「変化」を促せる多くの専門知が揃っていると知っておくことは、生きていくうえで何より心強い。
  • 2025年10月5日
    よくわからないまま輝き続ける世界と
    よくヨガなんかで、頭に浮かんできたことを判断を加えずにそのまま感じてみてください、とか言われる。これ、相当むずかしい。できた試しがない。 古賀さんの文章を読みながら、そんなことを思い出した。たぶん違うけど、似ている部分も大いにあるように思う。 例えば、美味しいと感じたことを美味しいと言う。すごいと思ったことをすごいと言う。まず受け入れるという、こんな当たり前の態度が、実は私も含めてほとんどの人に足りていないのではないか。だからこそ、備忘録的に書かれた日記が、こんなにも魅力的に感じられるように思える。 言うほど簡単ではない。古賀さんだからできる、かなりの高等スキルなのは分かる。でも…できることなら私もそんな風に世の中を見てみたい。 見たことや聞いたことに対して、反射的に距離を取ってしまうのは、私の悪い癖だ。まずは心からの素直さを持って、その事象を捉え直してみたらどうか。例えば「鼻につく」を「憧れる」に言い換えてみるとか。 悪くない気がする。やっぱり、かなりの難易度ではあるけれど。
  • 2025年9月29日
    呪文の言語学
    言葉の誕生は遠くの他人を動かせるという点で画期的だった、という話を聞いたことがある。その不可思議な力を活用し続けられるよう体系づけてきたのが、現代に残る「呪文」なのだろう。では普通の言葉と呪文の境目はどこにあるのか。そんな筆者の問いは、簡単に馬鹿にできない、とても魅力的なものに思える。最後に披露された挑戦的な実践も含めて。 巻末インタビューのエリーザさんの語る、「胸」と「頭」の話も印象的。割り切れないものの中にこそ、本当があるような気がする。
  • 2025年9月19日
    世界自炊紀行
    世界自炊紀行
    ユリイカの自炊特集は何か月前だったろうか。自炊はいま、皆が語りたくなるテーマなのかもしれない。そのくらい自炊の形が変わろうとしているタイミングだとも言えるだろう。 これが世界的であることを本書は教えてくれる。つまり日々のご飯について、どこの国の人たちも似たような悩みを抱えていて、解決をしようともがいている。それぞれの打開策や発想の転換には目を開かされたりもするが、やはり印象に残ったのは世界的な流れだ。 悲観的に捉えることは容易い。でも抗いようのない大きな流れの中で、世界中の人々が似た気持ちで料理をしていることを知るだけで、なんか心強い気持ちになったりもした。
  • 2025年9月19日
    会話の0.2秒を言語学する
    どの章も興味深い。でもページ数が少なすぎやしないか。もっと読みたい。巻末に言語学の先生方の文献も紹介されていたが、いや、そうじゃない。水野さんの文章で、さらに詳しく紐解いてほしいのだ。 と、勝手なことをお願いしたくなるくらい、素敵な書き手だと思った。やはり次回作を期待してしまう。
  • 2025年9月19日
    「風の谷」という希望
    「総論賛成、各論反対」という言葉はよく聞く。反対とまではいかなくても、それぞれの立場から個々の正しさを主張して、全体としては結局すこしも前に進めていない、なんてケースは飽きるほど目にする。 それでも諦めたりせず、目標に向かってどう歩みを進めていけるか。そのヒントがこの本には詰まっている。緻密で地道。でも実際に取り組んでいる実例であるのだから説得力は強い。 すこしずつ読み進め、ようやく2/3くらい来ただろうか。残りもちょっとずつ楽しもう。
  • 2025年9月19日
    美術の物語
    美術の物語
    たとえば写真がなかった時代、人々にとって絵画のインパクトはいかほどだっただろう。 紀元前に描かれた作品から、すこしずつ時代を追いながら美術の歴史を辿っていく。もちろん擬似的にではあるが、それでも現代から遡って鑑賞するのとでは、まったく異なる体験の連続であった。 とくにモナ・リザ。見飽きるほど出会ってきたはずなのに、こんなに心が動いたのは初めて。正直に言えば、気味悪いくらいゾワっとした。 私が読んだのはポケット版。こんな小さな図録でこれなんだから、その当時に本物に対峙したらどうなってしまうことやら。
  • 2025年8月11日
    作文
    作文
    人はそもそも聞きたいことしか聞かない。記憶もそう。覚えたいことだけ覚え、その中から誰かに話したいことだけを話す。 さて、語り継ぐと言ったときに、その対象はどこまで本当と言い切れるだろうか。直接の体験者であろうとなかろうと、語られるということは、それ自体に意味があるのであって、もしかしたら内容は二の次のような気もしてくる。 広島への原爆投下を語り継ぐとき、この「作文」という小説が取った方法は、類まれなる有効打であるように感じた。疾しさが疼くという、その点において。
  • 2025年8月8日
    「イスラエル人」の世界観
    テルアビブ大学のダニエル・バルタル氏の言葉として、紛争など惨状のなかにある人々に共通する3つの心理的要素が語られている。 「道徳からの乖離」と「道徳的な権利」と「道徳的な沈黙」。 自然な感情として、どれも当たり前に頷けるものばかりだ。でもこうした気持ちを一度棚置きし、冷静に捉え直す態度こそが、負のループを断ち切る可能性を秘めているのだろう。ヒントは「対話」であり、「物語」でもある。 今年は戦後80年である。単に過去を振り返るだけではなく、ガザの現状と地続きに考える視点を失わずにいたい。
  • 2025年7月28日
    数と音楽
    数と音楽
    音の中に規則性を見出し、音階をつくりだす。ピタゴラスにも遡るこれらの試みは、長い歴史のなかで数多くなされたが、一長一短があって未だ完全なものはない。そうか。この不完全さこそが、音楽が生み出され続ける原動力なのかもしれない、と思った。音楽家たちはこの余白のなかを存分に遊ぶ。 1オクターブを均等に割れる6ではなく7で区切ったこと、また、半音でドに至るシを「導音」と呼ぶことも非常に興味深い。音楽の喜びを体はもともと知っている。ジェイコブ・コリアーに皆が熱狂するのは、きっと自然なことなのだろう。
  • 2025年7月24日
    建築を見る技術
    好きな建築に出会ったときの感動を、誰かに伝えることは難しい。たしかに心は震えているのに、それがどうしてかが、自分でもよく分からないからだろう。この本には、数々の「見立て」が登場する。建築とは違う世界の語彙により、建築がより豊かに見えてくる。ようやく頭が追いついたとき、心はさらに新しいことを感じるだろうか。建築との出会いがずいぶんと楽しみになった。
  • 2025年7月24日
    縄文 革命とナショナリズム
    ストーリーで理解することの分かりやすさと強さ、そしてその怖さをまざまざと感じる。日本人にとって縄文は、アイデンティティに直接関わってくる問題だけに、その傾向はより強いのかもしれない。これだけ人間力がある面々にすぐ隣で熱弁されれば、簡単に染め抜かれてしまいそう。この感染力も軽く見てはいけない。昨今の空気感を読み解くための、大きな補助線を得られた気がする。
  • 2025年7月7日
    雨・赤毛
    雨・赤毛
    またまたモームを読む。やっぱりいい。たった何行かで、ぐんぐん物語に引き寄せられていく。読んでいて頭にひっかかる疑問が、ちょうど良く気持ちいいのだ。ラストも好き。とくに「雨」。短編集ⅠとあるからⅡもあるのかな。
  • 2025年7月7日
    新版 〈賄賂〉のある暮らし
    賄賂や腐敗というイメージと社会主義体制を、いかに簡単に結びつけて思考停止していたかを思い知らされた。市場経済化後に広がって定着した賄賂の実態。その場にいたらそりゃそうなるよな、という実感が、これまでの常識をぐらぐらと揺さぶってくる。賄賂のグラデーションを考えれば、私の身の周りにだって…。善悪さえ曖昧にしてくれる興味深い一冊。
  • 2025年6月29日
    シシになる。
    新しいことへの警戒心が人一倍強い私は、郷土芸能に自分なりの解釈をするすると加えていく著者の姿に、違和感を覚えつつ読み進めていた。しかし板澤しし踊りが登場したあたりから、突然、私の考え方がぐるっと変わったのを感じた。思えば、著者である富川さんに「戦慄せしめ」られたのだろう。ドキュメンタリー短編『Birth by Sleep』も観る。なるほどなあ。深く頷いてしまった。
  • 2025年6月27日
    月と六ペンス
    月と六ペンス
    ストーリー展開のリズムが心地よく、ページをめくるスピードがどんどん上がっていく。ストリックランドの狂気じみたキャラクターにハラハラさせられながらも、その人間性にはより強く惹かれていく。小説のなかの小説。ど真んなか。楽しかったー。
  • 2025年6月22日
    怠惰の美徳
    怠惰の美徳
    なんだ、このタイムスリップ感は。梅崎さんのことは、恥ずかしながら全然知らなかったのだが、感覚があまりにも時代とずれている。早すぎる。いや、それは私の単なる偏見か。梅崎さんを通して描かれる戦時中の空気は、今でこそ読み返される意味があるのでは。
  • 2025年6月15日
    遠い声 遠い部屋
    遠い声 遠い部屋
    ページが進むにつれて支離滅裂さは増していくのに、徐々に真に迫ってくるものがある。分かるなんてとても言えないけれど、なんか知っているという感じは、確かにあるのだ。ひとつの作品が読む人それぞれの心を描写していく。きっと誰もがそう思えてしまうからこそ、世紀を超えても名作であり続けるのだろう。
  • 2025年6月8日
    浄土真宗「道場」の四季
    ありがたい。読みながら何度もそう思った。知らなかったことばかりだったけれど、本を通じてでも「道場」のある世界に触れられたことで、こんな私にも歴史の声が届くような気持ちになった。あまりに面白くて、ここ一週間で二回も電車を乗り過ごしてしまった。
  • 2025年6月1日
    人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学 (日経プレミアシリーズ)
    誰かと雑談をしていて、急にどこかで読んだ本を思い出すことがある。なんとなく知っていた知識が、ぐっと地に足をつけて拡がっていく感じがする。この喜びってきっと「記号設置」のたまものなのだろう。認知の仕組みを自覚すること。それだけで、たしかに生き方もすこし変わるかも。
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