やん "ヒトごろし(上)" 2023年1月31日

やん
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@grilledyangyang
2023年1月31日
ヒトごろし(上)
殺人衝動を抱える土方歳三の一人称で描かれる物語。新選組のステロタイプをかなぐり捨てた奇抜なキャラ設定。土方は生来「ひとを殺したい」癖をもつ人殺し。土方が合法的に人を斬るための思考を主軸に語られる異色の新選組奇譚。 土方歳三は自分を「人殺しの人外」と定義している。しかし、ただの快楽殺人者ではないところが本作のメイン。人殺しは大罪であり裁かれるべき、人外であり普通に生きてはいけない。故に、人を斬れる立場を手に入れようと、生来の洞察力や思考力で滅茶苦茶考え、人殺しを合法とするため新選組を作る。 武士や忠義に憧れる新選組の仲間に情を感じさせない土方は、身分も役目も刀も己の欲するものを達成するための道具であると冷徹かつ合理的に割り切っている。義とか忠などといった理屈は狡っ辛い、要はお前ら人でなしだろ、言い訳すんな、言い訳するくらいなら斬るな、刀を持つな。 結果として「人外である己は死んでも構わない」という覚悟のキマりっぷりと、美学を突き詰めた「合法的に斬るためにどうするか」という思考過程を読者は「こいつめんどくせーなぁ」と思いながら、いつの間にか土方が気になって気になって仕方なくなる。正直、放っておけないんだなぁ。 反面、沖田は動物でも人でも殺したいように殺し、なかなか実行できない土方をニヤニヤ見ている。沖田が気色悪くてイヤらしいシリアルキラーで、土方とめっちゃ仲悪いのは新鮮な関係性で、マジ沖田ヤバい(笑) また、土方や沖田同様、死生観がバグった人物がおり、下巻以降での関わり方が気になる。 色んな人が土方の本性に勘付きつつ、でも目をかけてしまう。本人はそんな人たちの気持ちを理解しつつも「めんどくせえ」と突っぱねてしまうのが「お前そういうとこだぞ」案件。そんな中、上巻大きな達成感に浸りつつ、最後の最後に現れる土方の真の理解者(笑) さて、下巻どうなる?? 惹き込まれるような土方の一人称、思索がマジ鬼畜ながら魅力的で、スイスイ読み進めていける。めちゃくちゃ読みやすい。「今日はめっちゃ読んだー」と残ページ確認すると、まだまだ分厚い(笑)流石上巻で783ページ、流石は京極夏彦。 土方の人外の結論、下巻も楽しみです!
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