
ユメ
@yume_bookworm
2026年6月29日
読み終わった
感想
『ファイア・ドーム』に辻村作品への熱を改めて掻き立てられ、ずっと読むのを楽しみにしていた本書に、今こそ、と手を伸ばした。全作品解説インタビューに、各界で活躍するクリエイターたちとの対談、作家仲間からの100問100答など、ファンにはたまらない充実した内容のガイドブック。辻村さんのことをますます好きになる、そんな一冊だった。
辻村さんは本当に、愛と情熱のひとだ。いつも高らかに真心を込めてエンターテインメントへの愛を語ってくれるその姿勢に、私は全幅の信頼を寄せている。エンターテインメントはひとを救うし、ひとを生かす。辻村さんはそのことをよく知っている。
本書には豪華な作家陣によるエッセイも収録されている。中でも一穂ミチさんのエッセイがとてもよかった。私は一穂さんのはっとさせられるような文章表現の虜でもあるのだが、一穂さんが辻村さんの作品を「夜空のてっぺんで輝く大満月」「鋭い爪痕のような三日月」「淡い傘をまとってぼうっと明るむ幻想的な朧月」「明け方、薄い水色の空にうっすら浮かぶ透明な月」「膨らんでいく未来にわくわくするレモン型の月」「水面にきらめく幻の月」に分類した比喩の美しさに感動した。天体になぞらえられる辻村作品の魅力に、きっと私はこの先もずっと夢中なのだろう。



