
amy
@note_1581
2026年7月13日

読み終わった
感想
フェミニズム
「これからわたしが書こうとしているのは、わたしが創作した話ではなく、わたしの身に実際におこった出来事であり、登場する全ての人物、団体はマジで実在する」
40代を目前にした著者、南綾子氏のほぼ実録婚活小説。笑っちゃうぐらいおもしろくて、涙が出るほどつらくてしんどい話だった。
世の中にある”だいたいこういうもん”という規範とそこから外れる人たちへ向けられる嘲笑。かつて自分が嘲笑ってきた立場に自分が迫ると、どうにかして、時には自分をすり減らしてでもそこから逃れようともがいてしまう。
本当に結婚という制度が人にかける呪いはしぶとい。結婚が、誰かからの唯一の承認みたいなものだと思っている人が多く、誰かから欲された、認められたということがこれほど人に揺るぎない何かを与えるのだろうか、と首をかしげるけれど、きっとそういう人が多いのだろうと思う。
特につらいのはこの小説に書かれた呪いに絡め取られて、自尊心をずたずたにしながら、どうあがいても向かっていく”死”というものに孤独がつきまとってくることを恐れながら、こんなんじゃダメだと脅しをかけられながら生きている人がいまだ多いということと、隙あらばその呪いをかけてくる世間という名の社会の空気、職場、友人、はては家族がいるということ。
そんな四方八方から呪詛を浴びせ続けられて、その呪いを受けないほうが難しい。
なぜこれほどまでに呪いが強いのかというと、この国の制度設計が個人をもとにしていないから。一人で生きていくには自然と心許ないようなそんな制度設計になっているからだ。身も蓋もない話だけれど、生きているうちの不安のほとんどは経済的な不安が大きいと思う。
そこがクリアできれば、もう少し肩の力を抜いて、規範に自己を沿わせなくても楽になれる人が増えるのではないか。
もうずっとその呪いにぐるぐる巻きになっている主人公の姿がつらい。だからこそ最後の最後に主人公が母とともにたどり着く場所は風通しも、見晴らしもいいものだった。読んでよかった。

