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@note_1581
悲しみなら忘れられるけど 愛はなかなか消えやしないよ 2025.03.05〜
  • 2025年8月23日
    猫に蹂躙されたい人に贈る25のショートホラー
    猫に蹂躙されたい人に贈る25のショートホラー
    猫たちは怖い目には遭わないけれど、人間の方は少しぞわり。登場する猫たちはどれも個性的で、読んでいて楽しいです。やっぱり猫にはミステリアスで、人智の及ばない力がありそうだなと考えてしまいます。猫好きには嬉しい、静かに楽しめるホラー短編集
  • 2025年8月23日
    令和最恐ホラーセレクション クラガリ (文春文庫)
    令和最恐ホラーセレクション クラガリ (文春文庫)
    『令和最恐ホラーセレクション クラガリ』収録の澤村伊智作品は、日常の隙間にじわりと滲み出す異変を描き、静かな場面のはずなのに背筋が冷える。大仰な怪異ではなく、ほんの少しの違和感が積み重なって「もう戻れない場所」に連れていかれる感覚。余計な残酷さに頼らず恐怖を成立させる筆致に、やはりこの作家の確かさを思い知った
  • 2025年8月23日
    学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖
    学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖
    『学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖』。澤村伊智・内藤了・梨・伴名練・藤ダリオによる豪華書き下ろし短編集。高校生を主人公にした5つの物語は、怪談からデスゲーム、モキュメンタリーまで恐怖のバリエーション豊か。 私は澤村伊智さんを目当てに買ったのだが、期待以上だった。大人ではなく、高校生に向けて書くならこの書き味で読み味になるだろうと思う ホラーは露悪や冷笑と距離が近いジャンルで、それ自体は悪いことではないのだけど、高校生へ向けるというのなら少し風通しのよさというか爽やかさがほしい。大人にあてて書いたものなら削がれてしまうような要素こそほしい そういう期待に華麗に応えてくれていて、ただ怖いや恐怖による絶望とかで終わらないホラーを書いていて、本当にこの作家が好きだなと思った
  • 2025年8月23日
    ゆうずどの結末
    本を媒介にした呪い、マジで本読みとして嫌すぎる設定 勝手に読みすすめられて呪いが進行するの怖い。本を読むことになれているとだいたいあと何ページって言われると全体のどのあたりかというのは想像できると思うのだが、それが想像できてしまうがゆえに、もうすぐそこじゃん!となってしまう 連作式で話が進んでいくけど、ちょくちょく黒い栞のイラストがあってビクついてしまう。ひぃ!ってなった 最後まで結局この呪いの本がどこからきて、どこへゆくのかはわからないのだけど、本であることで自分のもとにもきてしまうのでは…という余地が残されているのがアイテムとしての使い方がうまいなあと思ったんであった 滝川さん、デビュー作まだ読めていないんだよな。読みたいな
  • 2025年8月23日
    慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー
    慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー
    角川ホラー文庫30周年記念アンソロジー第3弾『慄く』。有栖川有栖、恩田陸、貴志祐介ら豪華作家陣が集結し、異なる切り口で「最恐」を描き出す一冊。 北沢陶さんはしっとりとした時代物の趣がありながら、確実に恐怖を刻み込み、恩田陸さんは怪異も人外も出ないのに、言葉の積み重ねだけで背筋を冷やす。 櫛木理宇さんの一篇は真っ向から怖く、しかも霊的ではなく“フィジカルに強すぎる存在”で迫るのが鮮烈。物理的強さがここまで効果的に恐怖になるとは…。 多彩な恐怖の形を堪能できる、満足度の高いアンソロジーでした。
  • 2025年8月23日
    骨を喰む真珠
    デビュー作の「をんごく」がおもしろかったので2作目(のはず?)も読んでみた 「をんごく」のときも思ったんだけど作品のなかに満ちる幻想的というか耽美というか、そういう雰囲気がかなり好みである…。時代や舞台設定も好き 女性記者が怪しげな製薬会社の社長宅に潜り込むという展開がわくわくする。これは主人公が途中で変わるのか、そもそも定めていないということなのかな いわゆる調査ものっぽい内容が私はとても好きなのでぐいぐい読みすすめて、そこから徐々に明らかになる社長宅の秘密やそれに向かっていく展開が楽しく読めた なんかホラーというよりもミステリっぽい楽しみ方をした。ミステリが好きなのでOKです 途中から女性同士のバディっぽい描写が増えてうれしかった~~~。北沢さん、バディものお上手だよな…これからも読ませてください
  • 2025年8月23日
    世界は私たちのために作られていない
    世界は私たちのために作られていない
    ここ1年ぐらいうっすらASDの気があるのかもしれないと思いつつ、ASDに関する本は対処法とか、すでに診断を受けている人向けが多いように思われて、読みたくなる本がなかったので何となくそのまま過ごしてきてしまった 読んでみて、著者の日々の"困りごと"にわかるわかると頷いたのでやっぱり私にはASDの特性が出ている部分があるのだと思う 著者も言っているけれど学校の先生たちや企業の人たちにも読んでほしい。まあ本邦では読んでもらったところで、余計にASDの方たちがめんどくさいものとされ、煙たがられる様子しか想像できないけれど 自分の社会に対する感覚を紐解いていて、身近な人に該当者がいたり、自分自身がそうなのではと考えている人にとっては良い本だと思う
  • 2025年8月23日
    よるのふくらみ
    いまだに女性には性欲があることを認められずにないものにされたりする つるっとしたプラスチックみたいに思われがちだ。そこに生々しさはざらついたものがあると認識されない 窪美澄さんの小説に出てくる女性たちはみんな生でざらついてて、汗ばむ皮膚の下に血がどくどくと流れているのを感じる 自分の性欲に振り回されて、もがいている女たちが愛おしい。性に主体的な女性はいまだに奔放では好意的に受け取られることが少ないと思う だからこそ、こうして自分のなかにある性欲の存在を認めたうえでそこにもがいている女たちの生き様を読めることがうれしい
  • 2025年8月4日
    ババヤガの夜
    ずっと読みたいな、読みたいなと思っていた『ババヤガの夜』 ダガー賞を受賞したこのタイミングでとうとう読みました。お、おもしろすぎる。もっと、もっとこの二人を見せてくれ、終わらないでくれと願ったけれど、最後のシーンが美しくて胸が苦しくなった いわゆる反社会的な組織がでてくるけれど、命よりも大切なメンツ。はたしてそれを守ることは"男らしい”ことで"かっこいい"ことなのだろうか。結局恥をかくのが怖くて怖くて仕方ないだけじゃないか。距離のある場所から眺めているとなんというかバカじゃないの?お言いたくなるくらいに滑稽だ でもこのメンツのために、人をモノとして扱うような人間は、悲しいかな現実にたくさんいるのである。しかもカタギにもたっくさん。 新道と尚子がメンツという錆びた鎖でがんじがらめだったあの場所から二人で逃亡する。これが喜ばずにいられようか 現実だときっとこうはいかない。新道の存在はファンタジーで、まさに『ババヤガ』だ。でもいま読むファンタジーはこういうのもいい。魔法や異世界も好きだけど、確実にいまのこの世界と地続きのなかだからこそ活きるファンタジーがある。ダガー賞を受賞した『ババヤガの夜』だけど私はこの作品はファンタジーだと思う
  • 2025年8月3日
    この国の不寛容の果てに
    この国の不寛容の果てに
    先日は『相模原事件』の日だったので、そういえばちゃんとそれ関係の本を読んだことなかったなと思って読んだ 雨宮処凛氏が編集を務め、精神科医や相模原事件について取材を続けた記者、脳性麻痺当事者で障害者の当事者研究もしている熊谷晋一郎氏も含めた6名と対談した内容をまとめた本である それぞれの角度からなぜ植松被告がああいった犯罪を犯したのか、そうまでさせたのは何が原因なのかをあらゆる方面から語っている 読んでわかるのは、やはり頑張っても報われないという無力感、この社会を生き抜くのはもはやサバイバルで、自分でどうにか生き抜くしかない。老いても、弱っても国は助けてくれないのだから全部自分でどうにかするしかないという空気感だということは雨宮氏をはじめ、他6名の対談者たちのなかにも共通認識があるということだった なかでも腑に落ちたのは、いつか報われると信じて日々労働に励む人たちが、障害者やマイノリティは自分たちの並んでいる報われる順番の列に横入りをしている感覚になってしまっているということだ 終わりの見えない労働や少なすぎる見返り、生まれた時点で決まってしまう格差などがそれを助長させている。それゆえに弱者への攻撃意識、剥奪感などが生まれる 雨宮氏はこれを地盤沈下と呼んでおり、たしかに弱き者は自己責任だからどうなろうが自己責任という空気が蔓延する社会は足元がとても不安定でまさに地盤沈下していると言えると思う 当然のことながら植松被告がしたことは絶対に許されることではないし、障害者をふくめあらゆる差別に反対である しかし犯罪に至った背景がこんなことがあったのではないか、と想像することもまた他者への想像である そういった背景を知らないことには、今後社会がどのような方向に進もうと、また新たな植松被告が生まれるだけだと思う
  • 2025年7月28日
    ミーツ・ザ・ワールド
    『ミーツ・ザ・ワールド』を読んで、「人ってやっぱりわかり合えないんだな」と思った 他人の苦しさや価値観は、どれだけ想像しても本当のところまでは届かないし、自分のつらさだって、うまく伝わるとは限らない。それでも「そばにいたい」「そばにいてほしい」って思う瞬間はあるし、そんな相手がいること自体が、たぶんすごく大切なんだと思う ただ、それが恋愛や性愛の関係じゃなきゃいけないわけじゃないし、恋愛や性愛が不要な人だっている そういう人でも恋愛や性愛以外の関係性を深く求めることだってあるし、求めたっていいし、求めなくたっていい 「わかりあえない、でも一緒にいたい」と思える誰かが現れたとき、その気持ちにどう向き合うかが、この物語の問いなのかもしれない。答えが出なくても、その問いを持って生きていくことが、きっと何かを変えていくのだと思う。 「自分と他人のわかりあえなさ」が愛おしいと思える小説だった
  • 2025年7月25日
    ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる
    ヒロアカが取り上げられているとのことで読んだ 小川公代さん、もちろんお仕事のためもあると思うが映画や文学だけではなくて「鬼滅の刃」や「僕らのヒーローアカデミア」とか少年漫画も論考に入れられるぐらい読み込んでるのすごいな…。射程範囲の広さよ…数巻だけじゃなくてかなりの巻数なんだけどな… そして最後の10章「アンチ・ヒーロー」で「僕らのヒーローアカデミア」からトガヒミコと麗日お茶子の関係性に着目していて、これは二人のことが好きな人にはぜひ読んでほしいと思ってしまった 「僕らのヒーローアカデミア」の内容をすべて肯定するわけではないけれど、トガヒミコの帰結が麗日お茶子との友情からなる対話に帰結したところはとても好きなので、そのことをこうして論考として残してくれることはとてもうれしかったし、読んでいてトガヒミコの今までを考えると泣けてきてしょうがなかった 新書を読んで泣くというのは初めての経験かもしれない。 そして『虎に翼』!放送以降、小川さんのご著書で毎回見る気がするな…。でもそれだけ『ケア』や『ジェンダー』をはじめ、その社会で包摂されるべきマイノリティたちの話が展開できる作品だというわけでもある 私は『虎に翼』でケアの担い手であった花江ちゃんが大好きなので、ここでも取り上げられていてうれしい 主体的にケアを施すこととケアの役割を強いられることはまるで違うし、あたかも女性はケアが得意で好きでやっていることだといまだに思われることがある 様々な作品のなかにある『ケア』はどのように行われてきたか、それにより今を生きる私たちはこの社会を生きていくために不可欠な『ケア』をどう取り扱っていけばいいのか そのヒントがたくさん盛り込まれている本だった
  • 2025年7月23日
    自己肯定感は高くないとダメなのか
    自己肯定感という言葉をもてあそんで、人の不安につけこんで金を稼ぐ自己肯定感ビジネスが流行りまくっていることに腹が立ったので読んだ 内容については概ね同意する。でも日本の文化を協調的であること謙遜すること、そこに馴染むように生きているのだから世界から見て日本の子どもの自己肯定感が数値として低くても機にする必要はないというのは、逆に言えばそこに馴染みにくい子のことを切り捨てているような気がした もっとあらゆる子どもを包摂して、その前提で論じてほしかった とはいえ自己肯定感を高くするためにむやみやたらに褒めたりすることは逆効果だと私も思う。とにかく褒めておけばいい、という教育の仕方は結果を褒めることになりがちで、経過をスルーしてしまうことも多い そもそも自己肯定感とは自己を肯定することだから、褒められて上がるような自己肯定感は自己を肯定するというものではないだろ…と思う 自己肯定感が高くなけれbならないというプレッシャーが強くなるなかで大事なのは自己肯定感は別に高くなくてもいいというメッセージではないか
  • 2025年7月23日
    営繕かるかや怪異譚 その肆(4)
    楽しみに楽しみにしていた『営繕かるかや怪異譚』~~~! 小野不由美はやっぱりホラーが最高だな……。人ならざる突拍子もないものが襲ってくる展開とかじゃなくて、日常にじわじわと染み込んでいく怖さが逃れようがなくて読んでいて絶望すら感じる そして営繕シリーズは本来ならば身体と心と休める場である家で怪異が起きるのが、逃げ場がなくて心身が削られていく感じがひしひしと伝わる。私みたいな自分の家大好きな引きこもり人間は家でこんなことがあったらどうすればいいんだ~などと思ってしまう。現実には営繕屋さんはいないので 怖いのに面白くてあっという間に読んでしまった。早く続刊を……!
  • 2025年7月23日
    黒い雨
    黒い雨
    戦争文学としてあまりにも有名な井伏鱒二の『黒い雨』 戦後80年だしと思ってようやっと手を出したのであった。小学校のころから知っていた作品だけど『黒い雨』というタイトルが禍々しすぎてずっと読まずにいた 『黒い雨』を読み、戦争の終わりが必ずしも平和の始まりではないことを痛感した。原爆投下の惨状は、日記を書き写すという形で再現され、過去の記録と現在の生活が交錯しながら物語が進む。その構成が出来事の記憶とその影響がなおも続いていることを強く印象づける。被爆による病や偏見、婚姻問題など、原爆が奪ったのは命だけでなく、人としての未来そのものである。これからも日本が唯一の被爆国であるべきだと強く思う。同じことを他の国の人たちは経験しないでほしいし、する必要は絶対にない 2024年ノーベル平和賞には日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が受賞した。それほどまでに核兵器は脅威と恐怖の象徴であり、「核兵器のない世界の実現を目指して尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて身をもって示してきた」活動が受賞に値する活動であることを認められた 核兵器は廃止されるべきだし、核兵器禁止条約に署名するべきだと思う。過去の悲劇として片づけず、今も問いかけ続ける一冊である
  • 2025年7月21日
    まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    「BUTTER」を再読したら料理が出てくる話を読みたくなって、買ったままでいた彩瀬まるさんのこちらを読んだ 私は食べることも料理も好きなので、料理によって人が出会ったり、変わったり、別れたりする話が好き これは短編集で、もちろんどれもすごくよかったんだけど最初の「ひと匙のはばたき」という話が……!いや、これどこかで続き書いてくれないかな……。乃嶋さんと清水さんの女女がどうなるかめちゃめちゃ気になりますが……! 「大きな鍋の歌」は男性同士のケアや労りの話でこれもまたよかった。彩瀬さんは女性同士の連帯やケアの話を書くイメージが強かったのだけど、こういう男性同士の慈しみ合う話を書けるのね。こういうのももっと読みたい~ なんかお料理の話というとほっこりするとか、もっとあたたかな結末を予想されると思うけどこちらの短編集は決して登場人物たちのきれいな感情だけだったり、すっきりと割り切れるような展開だったりするわけでもなくて、そういうつらさや苦しさとなんとか折り合いをつけて生きていくこと、そのなかで喜びややすらぎを与えてくれることは自分にとっておいしいものを食べることやそれによって誰かを思うこと、というような帰結でとても生っぽい感触でとても好きだった~ やっぱり彩瀬さんの作品は好きだ
  • 2025年7月3日
    夏日狂想
    夏日狂想
    窪美澄さんの描く女性って、なんでいつも無様で必死で愛おしんだろうなと思うんだけど、それはきっと出てくる女性が自分の意思を持って、自分で選択したという事実を揺るがないものとしているからだろうと思う 選択したことが上手くいってもいかなくても選んだのは自分、それが何より自分の尊厳を守る。モデルは長谷川泰子で中原中也と小林秀雄との関係で知られている 長谷川泰子は二人の男を弄んだ毒婦と言われることが多いが、彼女にも晩年というものがあり、ただ二人の男のあいだにいた女というわけではない。その後の彼女の人生はどんなものだったろうというのを恋愛小説の名手である窪美澄さんが血肉の通った一人の女性として描いてくれた 彼女の懊悩も喜びも、いずれもが鮮明で読んでいておもしろかったし、ラストの場面は想像したら美しくて震えた。最後の最後にああいう場面を持ってこれることの思い切りの良さがかっこいいと思った
  • 2025年6月29日
    わたくし96歳 #戦争反対
    わたくし96歳 #戦争反対
    今年は終戦80年、読まなきゃと思っていた本を読んだ。今も存命中で戦争を経験した人の言葉はもっと広く知られてほしい。 長崎で生まれ育った森田富美子さんと娘の森田京子さんの二人のエッセイ(でいいのか?) 富美子さんの幼少期や戦時中の語りのところは想像しただけで凄惨極まりなく、数ページ読んでは閉じるを繰り返してなかなか読み進めることができなかった 本の一番最初のページに簡単な家系図がある。そのうちの何人が戦争、そして長崎に落ちた原爆で命を落としたのかが読むとわかるのだが、それは実際読んでたしかめてほしいと思う どこがよかったか、とかではなく富美子さんの語りは全編において心に刻むべきで、実際に戦争を経験した人だからこそ抱く感情ややるせなさがある。そして戦争を経験した母について、京子さんからはどう見えているのか、何を感じるのかが書かれている。 富美子さんは街頭演説をした石破茂氏と話したことがあるという。"戦争したがり"な政治家だけは避けなければならないと力強く書かれていた 戦争と原爆を経験した人とその人を間近で見つめ、生活することで戦争と原爆が人間に何をもたらすか。それが克明に綴られていて今、読むべき本だった。そして読んでいるなかで伊兼源太郎による第二次世界大戦を扱った社会派ミステリーの 『戦火のバタフライ』の書評を富美子さんが依頼されていたと知った。私はすでに読んでいる小説だったが、たしかにこの人以上に適した書評者はいないだろうと思う ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるガザの虐殺、それを傍観する欧米。この本を読みすすめている最中にイスラエルはイランへの攻撃も行った。日々ニュースを見ていると本当にすぐそこに戦争が迫っていて、私は落ち着かない。怖い 7月には参院選がある。富美子さんが本のなかで言っている"戦争したがり"な政治家が当選しないように私は選挙に行く
  • 2025年6月29日
    エビデンスを嫌う人たち
    エビデンスを嫌う人たち
    読んだ。いや~~~~~~~よかった。読んでよかった。これは保守的な人たちや右派に腹立ててるリベラル左派の人こそ読むべき 陰謀論や科学否定論者に対して正しさは通じない。彼らにとって支持している陰謀論や科学を否定する言説はその人自身のアイデンティティと密接に結びついてるという。今まで生きてきた環境、生育歴、受けてきた教育、人間関係、職場の状況などなど。その人の人生と生活に根ざしたアイデンティティに関わる部分であるから、"正しさ”で説得しようとしても意味がなく、むしろ態度を硬化させてしまうという。こういった人たちにはどういう手立てを講じるべきかというと、何よりも大事なのは信頼関係である。その人の考えや言葉に敬意を払うこと、抱いた感情を尊重すること、そうして対面で会話を重ねて、信頼関係を築くことでしか、その人の主張や信じている説を変えられない 知識がないなんて馬鹿にするのは持ってのほかだという。本書からの引用だが"信念を理由に相手を侮辱したり、恥をかかせたりするのは、あきらかな間違いだ。"と書かれているのだ 都知事選のころなどから一部の左派リベラルの人たちが自分たちとは異なる主義主張の人を揶揄する様子を見てきた 私個人としても人間には感情があり、正しさだけで世の中の差別や偏見が解決できるなら、とっくに世の中は穏やかなものになっているだろと思う そして陰謀論や科学否定に走るのは保守派や右派だけではないともこの本には書かれている。この本を読んでいて気分が悪くなったり、耳に痛いと思うリベラル左派もいるだろうけど、まさにそういうリアクションを催し、自分の支持しない説を差し出されると突っぱねるのは左右や保守やリベラルは関係ない ちょうど先日某SNSで正しい情報だけでは相手の主義主張に変化を起こせない、態度が大切であるという研究結果を見たリベラル左派の人は『こういうファクトベースの話ではなく~』などと言っていたので、まさに『エビデンスを嫌う人たち』だなあと私は思ったんであった
  • 2025年6月22日
    男性学入門
    男性学入門
    おもしろかった。今まで読んだことがある男性学の書籍からの引用が複数あり、あれのことだ!となったので、それだけ有名どころは読んできたのだと思う なかでもおもしろかったのは3つほどある。ひとつは日本が働き方を変えられなかったのは、石油ショックを例外的に持ちこたえてしまったという指摘だった。欧米では石油ショックを機に男性主体の家計モデルを見直すことになったが、まだ脱工業化をできていなかったために長時間労働を頑張れば生産性を保ててしまい、結果として働き方の見直しにつながらなかったという点だった。これは別に日本優れているわけではなく、ただ欧米よりも産業構造の変化などが遅れたためだということがおもしろかった。タイミングの問題なんかい! 2つめは『剥奪感の男性化』だった。社会的な認知がないままで既得権益として無自覚に思い込んでいたものが失われつつあるように思えてくる。漠然とした不安や不調、『奪われている』と感じる剥奪の種類はいくつかある。この『剥奪感』は例えば韓国では20~30代男性が保守的な支持が多いということにも関わっていたり、この『剥奪感』はバックラッシュのひとつの要因ではないかと思う。とはいえアプローチがわからんのだよなー…どうすればいいんや… 3つめは現代日本の教育には『児童中心主義』が定着しており、子どもの主体性や個性を尊重するある意味進歩的なスタイルである。しかし保育者が子どもたちの管理を避けることで、一部の男子に権力が偏るという事象が発生してしまい、それがヘゲモニックな男性性につながるという 今まで男性学の本を何冊か読んでいたが、以上の3点については初めて見た指摘だった。な、なるほど…!と目からうろこだった 男性学の本はすでにいくつも出ているがボリュームがあるものが多いので、まずはこちらの新書から読んでみてもいいと思う 男性学の本を読むたびに思うのだが、女の私から見ても非常に抑圧が男性にもあり、『それ、つらくない?イヤじゃない?やめよう?』と言いたくなる
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