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@note_1581
悲しみなら忘れられるけど 愛はなかなか消えやしないよ 2025.03.05〜
  • 2025年11月24日
    男性解放批評序説 フェミニズム・トランスジェンダー・メンズリブ
    杉田さんの新著を読んだ。 けっこう難しく、歯ごたえがあった。全部理解できている気がしない…。 杉田さんの著作は何冊かすでに読んでいるけれど、それらをひとつに集め、タイトルにもあるように男性を解放する道を作りつつ、男性を批評していくにはどうしたらいいかという苦悩が見て取れた きっとシスジェンダーヘテロセクシュアルの男性の立場から、批評をしていくことやフェミニズムやトランスジェンダーに連帯をしていくことはきっと容易ではない それでも連帯し、男性たちを解放するということを諦めたくないという志が感じられる1冊だったように思う もう少し時間が経ってから再読したい
  • 2025年11月24日
    虚弱に生きる
    虚弱に生きる
    絶対に終電を逃さない女さん(以下、終電さん)の『虚弱に生きる』を読んだ。 「虚弱エッセイ」という、今までにないジャンルのエッセイである。 いや、まったくなかったわけではないのかもしれない。私はいろんな人のエッセイをちょこちょこ読むが、中年以上の文筆家の人などは、一冊のなかに何度かは体調不良に関するエピソードが出てくる。 ただそれはあくまで、デフォルトで平均的な健康さを有している人が、時たま自分の身に起こる体調不良を綴っている、という文脈だ。 終電さんのように、デフォルトで「虚弱」が搭載されてしまっている人が、日々のあれこれをどう乗りこなしているのか、というのとは確実に文脈が異なっている。 この本が革命だと思うのは世の中に当然のように蔓延しているエイブリズムへの抗いだと思うからだ。 エイブリズムの根底には「健康=完全な状態」という見方があり、疾患や障がいを「不健康」や「欠陥」とみなし、障がい者がその状態のままでも幸福や充実した生活を送る権利を否定したり、軽視したりすることにつながる。 虚弱であることでこれだけ食事や運動や通院をして自分の体調に気を配らねばならないのかといえば、それは社会のデザインがそもそも健康である人向けだからだ。 公共交通機関、自家用車、徒歩、自転車などで出勤ができる人、衆人環視に耐えうる人、1日8時間、週5日働けて、週の休みはだいたい2日ほどで気分転換も含めた気力と体力の回復ができる人などなど。 求められることが多いし、それができる人以外は普通ではない、欠陥があり、賃金や福利厚生も充分にする必要がないと判断される。 だからそうしなくても済むような方法で生きるためのお金を稼がねばならない、がそれも簡単なことではない。 終電さんのように金銭に換えられるほど価値がある文章や絵やモノを創造できる人ばかりではない。 これが、たとえば勤務が週5日でも1日の勤務時間は6時間だとか、出勤や登校の時間を1時間ずらせるとか、1日8時間、週5日勤務だとしても1日のどこかで15分ほど好きなタイミングで横になっていい時間があるとか、週に1日はリモートでいいとか、オフィスに仕切りをつけるとか。 そういうちょっとしたゆとりで、終電さんのような働き方ではなくとも、今よりも楽に働ける人はいるのではないか。 すべてが改善した、健康になったとはいかなくとも日々の苦痛が少し和らぐのではないか。 『虚弱に生きる』の感想をディグっていてもそう思わずにはいられない。 この社会が、あまりにも一本調子な働き方しか想定していないから、特定の人たちのためにしかデザインされていないから、そこにどうにか自分を合わせなきゃいけない、そうじゃないと生きられない人ががんばって、がんばって、がんばりまくっているのではないか。 終電さんのように健康になりたいと努力する人たちのことを否定したいのではなく、終電さんも書いていたように、少ない可処分時間と可処分所得を注ぎ込んでまで健康を目指すためにあれこれとしなくても、何となく生きていける、働けるほうが、それこそ健康になれそうではないかと思うのだ。
  • 2025年11月8日
    ナイルパーチの女子会
    柚木麻子さんの『ナイルパーチの女子会』を読んだ。もともとはドラマ化されたものを見て、正直想像していたストーリーと違っていたので驚いたし、同時にすごくおもしろかったので原作の方を読んで、もっと登場人物が何を考えているのか知りたくなった イメージとしては『あまからカルテット』などの柚木麻子さんお得意の女性同士の連帯の話かと思いきや、どちらかといえば『BUTTER』寄りの作品だ 人間の内部に深く潜り込んだような、ゆらめく情動が文章にみっちり詰まっている。SNSなどの台頭で世はまさに大共感時代である 共感がビジネスになる。それだけ共感を人は求めている。わかりあうことに重きが置かれると、わかりあえないことが罪深く思えくるし、わかりあえなさが社会てに適合できないことの証左になってしまう 共感によってつながりが生まれることはあるが、共感だけがすべてではないし、人間関係に共感のみを持ち込んでしまうとどこまでいっても自分の物差しを持ってきて、逐一他者を測るしかなくなる そのことを柚木麻子が鋭利に書いている。女性同士の連帯や力強い友情を描くことに定評のある柚木麻子だからこそ、同時に友情とは何か、女性同士の人間関係とは何をもって構築されるのかを時に冷酷にも思えるほど、たしかな筆致で書いてくれた 人間は決してわかりあえるわけではなく、またわかりあえなくても生きていける。大切なことはいかに自分をわかってもらうか、相手をわかるかではなくて、尊重するかということだ 金原ひとみの『ミーツ・ザ・ワールド』でも人とのわかりあえなさがテーマだった。『ナイルパーチの女子会』では女友達に焦点を絞ったことで、より共感を重視することの功罪が濃厚になっている。 わかってくれた!に縋ってしまいたくなるときがあるからこそ、そこに価値があると見なされる今だからこそ、読むべき小説だった
  • 2025年11月4日
    ユリイカ(2025 10(第57巻第12)
    ユリイカ(2025 10(第57巻第12)
    ユリイカの澤村伊智特集読んだ!マジで1冊まるまる澤村伊智特集だった。 私は澤村伊智が大好きなのだが、もちろん作品がめちゃめちゃおもしろいという点がある。澤村伊智の作品はミステリ色もあり、怪異をどうしていくか何が原因なのかを探りながら物語が進んでいく。それがたまらなく好き。小野不由美のホラーも似た感じがある。 それも理由のひとつなのだが、もうひとつがホラー、つまり何かを怖いと思うことを原点とした創作をするにあたり、作り手側に有してほしい倫理観を持っているからというのがある。 何かを怖いと思う感情は偏見や差別の温床となりやすい。また田舎をイメージだけでおどろおどろしい因習があるものとしたり、自分たちとは違うものをむやみやたらに怖がり排除する排外主義にもつながりやすい。 人間が何かを恐れる、怖がることを作り出しそれを楽しむような創作物を世に送り出す人としては、そのあたりに無頓着でいてほしくないと思っているので、作品からも本人のインタビューなどからもそういった姿勢が感じられる澤村伊智の作品は、まさにフィクションとして思いきり楽しめる。 ユリイカでは私がそう思っていた澤村伊智作品のよいところを同じように批評している方々の文章がたくさん読めて、うんうんと頷きながら読んでいたし、たぶん絶対にニヤニヤしていたと思う。ユリイカがなぜ澤村伊智を特集してくれたのかはわからないけど、本当に感謝している。ありがとう!
  • 2025年11月4日
    みちゆくひと
    みちゆくひと
    彩瀬まるの家族の話…!彩瀬まるは女性同士や夫婦の話も多けれど、同時に家族の話も多い 今回の話もそうだけど、明確に問題がある親子関係の話(虐待やネグレクトなど)は少なくて、ある程度家族としての活動は滞りなく進んでいるのだけど、でもどこかしらに屈託があったり、ぎこちなさがあったりして、それとの向き合いやままならなさを細やかに描いている 別に家族を構成する誰かが、誰かのことを明確に憎んでいるわけでもない。むしろ家族のために、家族を構成する一員として果たさなければいけない役割に身を浸しすぎた結果として、微妙に家族のなかでズレが生じて、そのズレが居心地の悪さにつながる。 じゃあ、あのときどうするのが一番よかったんだよ!と言いたくなるんだけど、かといってやり直すことはできない。そのもうどうにもできない、けれど自分のなかずっとわだかまっているこの気持ちを無視することはできない。どうしていこうか、どう向き合えばいいのか。悩みながらもがきながら、痛みを伴うけれど誠実に自分を通して家族を見つめ直す作品だった。それでいて読後感に爽やかさやあたたかさが残っており、その読後感の炭酸水を飲んだあとのような心地が彩瀬まるの作品の良さだと思う
  • 2025年10月30日
    ようやくカナダに行きまして
    三浦さんがカナダに行かれたときのことを書いたエッセイ。ずっと読みたかったやつ ちょうどコロナ禍の一番きついタイミングだったせいか、渡航するだけで大変そうな様子が書かれていて、こういう記録が残っているのはあとになって振り返るうえでは貴重だなあと思うと同時に、言葉が通じない環境下での行政的な手続きのあれこれ、大変そうすぎる…!それをやるだけでもう帰りたくなってしまいそうなほど、手続きはめんどくさく、ちゃんとやっても受理までが大変そう アジア人へのレイシズムに怯えたりしながらも、色んな人の手を借りて七転八倒でカナダで生活する三浦さん、ガッツがあるし、いきいきしてて大変そうなんだけど楽しそう ちょうどカレッジに入学したときのエッセイも発売されたらしいので、そっちも読みたい~
  • 2025年10月30日
    パジャマあるよと言われても
    大久保さんのPodcastを聞くことにハマっており、その流れからエッセイを読んだ Podcastで言っていたようなエピソードがより細やかに文字に落とし込まれていたし、やっぱりおもしろい 芸人さんは文章を書いてもおもしろいからすごいな 愛犬との日々や女性芸人さんとのエピソードなどなど。また恋愛に絡めた話なんかも出てきてさくさく読めるのがよかったし、体調崩したタイミングだったのでこれくらいの読み口がちょうどよかった 大久保さん、またエッセイ本出すかな~?
  • 2025年10月27日
    幽霊の脳科学
    幽霊の脳科学
    幽霊を見たという現象を脳科学的に分析し、それを解説している本 決して幽霊なんていねーよ、などというスタンスではなくこういった脳の事象や病気などからこういったものを見たり、体感したりしますよというもの 私自身も体験したことが書かれており、怖がりなので非常に安心したのであった… どうやら人ならざるものが見える人がいるというのは一体なぜ?というのをまじめに解説してくれる知的好奇心を満たす1冊
  • 2025年10月27日
    きれいなシワの作り方 淑女の思春期病
    このエッセイを読んでいて、電車を降り過ごした 村田沙耶香、著書もめちゃめちゃおもしろいがエッセイもおもしろすぎる。作品がその作家の人間性を表しているとはまったく思わないものの、このエッセイのなかであまりにも村田沙耶香がいろんなことにうろうろ、おろおろしていて、そういうおかしみとわかる、私も全然わからないということがわかると頷きながら読んだりしていた そしてエピソードにつけるタイトルが秀逸すぎる、さすが『コンビニ人間』を書いた作家である… ヒヤシンス用のフラワーベースを大人買いしてしまい、適切な水位もわからかった結果ヒヤシンスを斬新な咲き方をさせたとか、美容院の浮気のセーフアウトラインとか、ストッキングを透けさせられないとか、なんだその着眼点と思うものが多くて本当に飽きなかった。作家のおもしろエッセイの仲間入りである
  • 2025年10月19日
    ネット右翼とは何か
    ネット右翼とは何か
    リベラル左派の人たちはしばしば「ネット右翼はきっとこんな人間だろう」と語るが、それは多くの場合、色眼鏡を通した思い込みにすぎない。 また、ネット右翼とオンライン排外主義は混同されがちだが、実際には両者の間に微妙な違いがあり、その区別を曖昧にしたままでは現状を正確に把握することはできない。 本書は、平成以降の政治や社会の動きを背景に、ネット右翼がどのように生まれ、どのような人々が共鳴し、どのように影響力を増してきたのかを丁寧にまとめている。 私自身、これまでネット右翼の人々についてぼんやりとした印象しか持っていなかったが、この本を読むことで、彼らがどのような理屈や背景から右翼的な思想へ傾いていくのかを知ることができた。 日頃から偏見で人を判断しないように意識している者として、この本は読む価値のある一冊だったと思う。 ネット右翼の主張に賛同するわけではないし、立場としては相容れないものも多い。 それでも、彼らを少しでも理解しようとすることで、以前よりもフラットな視点を持てるようになったと感じている。 なお、本書は2019年に刊行されたものである。 それから6年が経った2025年の現在、世界各地で極右的な動きが強まり、日本でも参政党がTikTokを活用し、排外主義的な言説を入り口として幅広い世代を取り込みつつある。 もはや、2019年当時とは状況が大きく変化していると言ってよい。 だからこそ今、TikTokと参政党の登場が世論形成にどのような影響を及ぼしたのかを、改めて1冊の本としてまとめてほしいと感じる。
  • 2025年10月19日
    響野怪談
    響野怪談
    短い怪談が連作となっている短編集?怪談集?だった。2~3ページしかない話もあるのに、どれもしっかり怖く、日常でも起こりそうでいい意味でいや~な気分になる。怪談やホラーの醍醐味であるきょうやさんの怖さが好みだったので他の作品も読みたい
  • 2025年10月19日
    トラットリア・ラファーノ
    町の小さなイタリア料理店が舞台の話、ブルスカでおいしそうな小説を教えて!って言ったら教えていただいたやつ 料理の描写が良すぎてイタリア料理が食べたくなった。あとワインもたくさん出てくるので、ワインが飲める人はより身体的においしさがわかるあろうなとうらやましくなった。私はお酒が全然飲めない…! この作者の方は初めて知ったのだけど、人間のきっきりしなさ、時間の流れのどうしようもなさを取り上げるのが好きだったから他のも読みたい
  • 2025年10月19日
    となりの脳世界
    となりの脳世界
    村田沙耶香さんのエッセイを読んだ。この人の作品は何をどうしたrこの角度から話を書けるのか、と思うけどエッセイを読むと少しだけ彼女の世界への眼差しがわかる気がする。 そんなことを考えたこともなかった、ということもあれば、大変おこがましいけど共感したり、私もそう思ってた!ということもあったり。 当然のことながらエッセイを読むということはその人の価値観をわずかに垣間見ることでもあり、一杯のコーヒーやコンビニのレジ袋にさえ、人それぞれの眼差しを知ることができる。私にはない眼差しを知ることはヒリヒリして心地がいいし、自分の尺度がすべてではないことをわからせてくれるから好き
  • 2025年10月13日
    パリの砂漠、東京の蜃気楼
    金原ひとみさんのエッセイ読んだ。当然なのだが、女性が母親になったからとて何かとても強くなったり万能になったりしないし、子どもによって救われるみたいなこともないのである。もちろん救われる人もいるだろうが、あまり自己と子どもを一体化させず、しっかりとへその緒が切れているのだろうなという子どもへの眼差しが私は安心した 育児エッセイとかは好きだが、本邦はあまりに家庭のあれこれを母親に押し付けて、子どもと母親が歪な鎖でつながれてしまっているようにも思う。閉塞感がすごい 金原ひとみさんのエッセイ、常にあまり機嫌も体調もよろしくなく、クサクサした気持ちの文章なのだがこういう文章でしか癒やされないものがあり、なんというか漢方みたいに苦いけれど特定のことにめっちゃ効くみたいなエッセイだった でも世の中のことをこういう、斜めでも真正面でもない角度から見ているから、そういう感覚を持っているから彼女の小説には世の中と上手く付き合っていけない人がたくさん出てくるし、それらを欲する人も多いのだと思う
  • 2025年10月12日
    あぁ、だから一人はいやなんだ。2
    いとうあさこさんのエッセイを続けて読んだ 相変わらず巧妙で笑える自虐があさこさんのしゃべりで再生されておもしろかったー 私はマジでアルコールが飲めないのだが(ほろよいでガチ酔いする)おいしそうにお酒を楽しんでいる人の様子は見るのが好き あさこさんのエッセイ本はエッセイのエピソードのあとにそのときに飲んだお酒とおつまみや料理のことを書いてくれるのだが、それがいつもおいしそう エッセイ本のなかでもお酒は酔うために飲むのではなく、味が好きだから飲んでいると言っているだけのことはある 肩ひじ張らずに中年女性の大変さやおもしろさが楽しめるので、とにかく楽しい気分で読めるやつとなったら手に取りたい
  • 2025年10月12日
    あぁ、だから一人はいやなんだ。
    女性芸人さんのエッセイはおもしろいイメージがあり、読んでみたくなった。いとうあさこさん、どうやら長いことエッセイの連載をしているらしく、このシリーズがすでに何冊か出ているらしい。まじか、全然知らなかった いとうさんのエッセイ、やはりとてもおもしろかった。というかさすが芸人さんだなあと思う 自虐がうますぎる。私は自虐というものは非常に高度なテクニックを要するものだと思っている。技術がなければ自虐のつもりが他虐になり、自分と同じ属性を持つ人たちのことも踏みつけてしまうからだ いとうあさこさんのエッセイには自虐ネタもとても多いのだが、それが本当に自虐の範囲で留まっている そのことが徹底されていて。やはりプロの芸人さんんってすごいなと思ったんであった おもいしろかったので、これ以降のシリーズも読みたい
  • 2025年10月12日
    悪いものが、来ませんように
    うひ~。おもしろかった……・大どんでん返しとかの謳い文句がついている作品はあまり楽しめないことが多いのだけど、これはおもしろかった。終始ずっといや~~~~な空地感が満ちてて、登場人物たちがどこかおかしくて。誰の言い分を信じていいのかわからなくて、ぐいぐい読んでしまった 巧妙なトリックを使っているわけではないけど、読み手側の思い込みを利用した仕掛けがうますぎる。引っかからない自信がない。芦沢さんの作品はこれで2作目だけれど、やっぱりおもしろいし、こういう仕掛け方は好きだ
  • 2025年9月24日
    給水塔から見た虹は
    窪美澄さんの新作小説を読んだ。 いま、このときに、こういう小説を書いてくれる作家の存在が本当にうれしい。 この物語は、白か黒か、善か悪か、という単純な線引きを拒む。 そもそも世界には、ひとりの人間の中にも、どちらの要素も共存している。 環境や経済状況、心身の健康によって、その人が見せる顔はいかようにも変わっていく。 「知ること」は恐ろしい。知ってしまえば、知らなかったころには戻れないからだ。 けれど、知らないままでは生きていけない世界に、私たちはもう立っている。 物語の中で、差別的な視座を無意識に抱え込んでしまっていた主人公は、自分がかつて感じた心細さを思い起こし、体調を崩したベトナムルーツのクラスメイトに手を差し伸べる。 その瞬間、人と人との間にある硬い殻を破るには、想像力や共感、そして「もし自分だったら」と考えることが欠かせないのだと気づかされる。 主人公も、彼女を取り巻く人々も、少しずつ変わっていく。もちろん現実の厳しさが一気に好転するわけではない。 それでも勇気をもって手を差し出すこと、差し伸べられた手を受け取ること。 その誠実さに満ちた物語だった。
  • 2025年9月22日
    カラダは私の何なんだ? (河出文庫)
    『ババヤガの夜』の王谷晶さんのエッセイ! おもしろすぎて1時間もしないで読み切ってしまった。内容が「そうだそうだー!」とか「もっと言ったれー!」というような内容で、本当に自分も含め世の女性はなんちゅー無理難題を強いられているんだとうんざりもした うんざりした瞬間に王谷さんのエッジの効いたパワーワードがそれを蹴っ飛ばしてくれる 病院の待合室で読んだのだが、笑いをこらえるのに必死でわざと咳払いをしたり、頬の内側を噛んだりした 人間の、とりわけ女性の身体の持ち主はもちろんその女性自身なわけでどうであろうが他者や社会にジャッジされる必要はないわけであって、すごくパワーをもらえるエッセイだった 文章がおもしろすぎる⋯
  • 2025年9月22日
    教室の怖い噂
    教室の怖い噂
    辻村深月、近藤史恵、澤村伊智という私が好きな作家しかいないアンソロジー 辻村深月、ホラーでもありサスペンスでおもしろくてビビる。この人なんでこんなになんでも書けるんだ???? 学校をテーマにした作品たちだけど、あの学校特有の閉鎖的な感じ、人間関係が限定的な感じを上手く活かした話ばかりで、私のころも小学生や中学生向けのホラー小説はあったけど、いまの子たちはこういう感じなんだなと思いながら読んだ 同じシリーズでいろいろテーマごとにあるみたいなのでそちらも読みたい
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