mari "地図のない道" 2026年5月15日

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@mari
2026年5月15日
地図のない道
地図のない道
須賀敦子
「本なら売るほど3」に、彼女の文章が引用されていたことから、父の本棚に須賀敦子本が沢山あったのを思い出し、引っ張り出してきました。 須賀氏の文章はとても美しい。言葉の選択やその組み合わせ方、順序が意外で新鮮、読んでいてハッとするような文が度々現れます。 裕福な生い立ち、海外生活を含む様々な経験、多読の人生、、多くの要素が相まって、彼女の文が何か一辺倒でない不思議さを作り出しているのでしょう。 川上弘美氏が「精選女流随筆集須賀敦子」の中で、「須賀さんの文章は何らかの黄金律を実現している」と書いていましたが、まさに言い得て妙だと思います。 尖っているようで優しく、それでいて単に感覚的ではない。論理的に組み立てられた文章。 ヴェネツィアに旅した歴史を描く本作ですが、所謂観光案内では全くなく、街の持つ特異性、因縁の歴史を彼女の強い思いと共に綴っています。ドイツ侵攻時イタリア主要部から逃げてきたユダヤ人が隠れた街ゲット地区、数々の取り巻く島の過去、役割、ペストはじめ疫病の歴史、教会、病院の役割、、延いてはコルティジャーネというい高級娼婦の暗い歴史まで、ヴェネツィアの華やかなイメージや旅の仕方の概念が根本から覆されるような本です。 久しぶりに須賀氏の作品を読んで、文章の力強さを改めて感じました。
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