@sotaono
2026年7月15日
p16
「自分が人間だから、人間という存在を客観的に捉えにくい。」
p17
「若い男性だという。その人物が、ナクチュのリーダであるカンマパの先祖であることが、遺伝子から判明したものの、記録は残っていない。」
p21
「「そうねぇ……、だいぶまえに、オーロラが見たいと話したことはある。それかな?」」
p24
「不思議なことに、デボラは美しい女性の姿だった。」
p31
「「意味のないことをしないわけではありません。最適な選択がメリットを生まないこともあります。」」
p35
「「私を制御しているのはオーロラです。私は自律型ですが、自由行きはありません。」」
p40
「白いドレスで、黒髪が長い。」
p41
「「マガタ博士?マガタ・シキのことですか?」」
p41
「「マガタ・シキです。」彼女は頷く。「本人か?とおききになりたいでしょう?」」
p42
「「どうして、そんなに長く生きていられるのか、とおききになりたい。」」
p42
「「ええ、博士が思いつかれたことの最初の証明が、私の今の肉体です。」」
p43
「「スカーレットです。いえ、アミラでけっこうですよ。」マガタは、そこで微笑んだ。」
p68
「だが、あるとき発想ができたからといって、次も同じようにタイミング良く発想できるとは思えない。それが人間の発想、思いつきというものの傾向だ。コンスタントにそれが出せるなんて考えること自体が、人工知能らしい思考といえる。」
p73
「「たとえば、友人です。」」
p82
「「王子だったの?」「ああ、そうそう。リーダの一族だからね。」」
p86
「「いや、見たよ。赤いライトが光っているやつだよね。あれは、五十年もまえの映像だ。」」
p89
「彼女は今も学んでいるのだろうか、それとも眠っているのだろうか。」
p89
「この潜水艦は、<青月>というのが、正式の艦名であるが、一般にはブルームーンと呼ばれていたそうだ。」
p91
「「アマテラスオオミカミのことでしょうか?」」
p95
「デボラに尋ねると、<星潮>というらしい。呼び名はスタータイドである。」
p101
「「世界中の知識を参照できる。歴史を遡ってすべて調べることができる。それでも、自分で試してみたいと思うことがあるかもしれない。」」
p103
「「世の中には、多くの矛盾があります。人間のことを学ぶほど、矛盾を許容するようになります。」」
p107
「そちらのモニタに、青い光が認められた。」
p113
「「では、あの青い光の潜水艦は、フーリのお姉さんが乗っていたものなんだね?」」
p116
「「私は、まだ若かったから、そのことを知ったとき、感情的に受け止めてしまったのだと思います。両親からは、むしろ逆で、フィアンセの幸せを望んでいた、良かったという言葉を聞きました。」」
p117
「予想どおり、それはフランスの潜水艦で、<ラグランジュ>が艦名である。」
p119
「「先生の相手ができるのは、デボラだけだと思います。」」
p122
「「誰もいない。」」
p131
「「アミラが語った人類の共通思考というのも、マガタ博士のプロジェクトだったのでしょうね。スーパ・コンピュータをリンクさせたもので、良い言葉を思いつきませんが、オーガニゼーションですか。」「組織、あるいは生命体、でしょうか。ええ、つまり、人類、ウォーカロン、そして人工知能、これらをすべてまとめてしまおうという発想です。一つになる、とマガタ博士は予測していたはずです。」」
p133
「「そうか、人類は長寿という餌に釣られて、罠にかかったのか。」」
p141
「シモンが連絡をしてくるのは、異例のことだったらしい。シモンはロボットだ。その制御はオーロラが行っている。つまり、オーロラが連絡きてきたと受け取って良い事態である。」
p147
「<再び青い月が見られるだろうか?>」
p156
「「そうか……。シモン、君は、赤い魔法を知っている?」」
p166
「「あの方は、常に心配をされるのです。」オーロラは、抑揚のないゆったりとした口調である。「優しすぎる。思い遣りが強すぎる。それで、つい反発をしてしまい、耳を塞いでおりました。あの方の前では素直になれないのは不思議なことです。」」
p167
「信じられないような言葉だった。これが人工知能の言うことか、と僕は思った。まるで、母娘の喧嘩ではないか。」
p172
「「アマテラスオオミカミ。」」
p181
「月は穏やかな白さで、赤くはない。どちらかというと青みがかかっている。もう少し低ければ、赤くなるのだろうか。」
p184
「無限ともいえる知性、あるいは思考は、どこへ行き着くのか。」
p185
「生きているものを無数に集めれは、そこには死の静寂がある。」
p185
「何故だ……。何故そんなふうに考える。今考えているのは、誰だ。」
p187
「月が見たくなった。あの、青白い月を見たくなった。」
p189
「「そうじゃないよ。オーロラに手紙を書こうと思う。」」
p189
「「彼女は、聞いていないわけじゃない。見ていないわけじゃない。ただ、興味がないだけなんだ。」」
p190
「「落ち着いているように見えるのは、氷山の一角なんだ。」」
p194
「「教えても、君にはわからない。いや、誰にもわからない。わかるのは、オーロラだけだと思う。」」
p195
「「そう、そうなんだ。まちがいない。彼女は、研究者なんだ。世界で一番低いところにいる研究者だ。籠っているんだよ、没頭しているんだよ。」」
p195
「「ほんのときどき、ほんの短い時間だけのことだろう?そんな一部から全体を決めつけてはいけない。これが、氷山の一角の意味だ。」」
p198
「「そこなんだ、まさに、そこなんだ。オーロラは、ポエムを理解するんだ。」」
p210
「「そうじゃないよ。好奇心はあると思う。自分の中に、興味の対象がすべて取り込まれてしまった状態なんだ。外界には既に彼女を惹きつけるものが存在しない。すべてが自分の中で生まれる。それが新しい知識であって、知的好奇心は完全に閉じている。内側へ向かって広がるんだ。ブラックホールと同じだよ。強力な重力であらゆるものを引き寄せた。そして、さらに重くなる。知識や知恵を集めすぎて、自身の重力から抜け出せなくなったみたいなものかな。」」
p212
「昨日とは反対の方向に満月があった。やはり、白い月だった。」
p224
「<せいげつ>の四文字が読めた。」
p231
「「そう、私たちは、お友達でした。二人だけで、ずっと海の底で生きてきたのです。」」
p234
「「私は異常ではありません。ただ、そうですね、意地かしら。」」
p236
「「あ、私の手紙を読んでいただけたのですね!」」
p237
「「まだ、その奇跡が、本当の奇跡であって、しかも有意義なものであることを確かめている段階ですが、そうですね、もしそれが再現できるならば、ウォーカロンという言葉がなくなるでしょう。人工知能も、ごく普通に、賢者と呼ばれることになります。」」
p238
「「ありがとう。そのような言葉は、私にとって一つの生き甲斐です。」」
p241
「「北極海にいるうちに、浮上したかったのは、フーリさんに月を見せたかったからです。でも、生憎の天候でしたね。」」
p241
「つまり、進化も成長も、それはただ老いることなのかもしれない。」
p243
「今は、運転手は自分になった。どこへ向かうこともできる。どこへ向かっているのだろう?」
p244
「そちらを向くと、明るい月がある。眩しいほどだった。」
p248
「「人に教えること、教えられると思い上がることが、賢者にはできないからだよ。そういう自分が許せないんだ。」」
p249
「「恋は盲目と言います。だから、他のデータを遮断するわけですね。」」
p251
「「それは、うーん、単なる勘です。マガタ博士が私を指名したのは、これしかないのではないか、と。」」
p255
「僕が、デボラを庇ったことを、デボラは知っている。」
p255
「「先生の識別システムを、オーロラに適用したら、どうなるでしょうか?」」
p258
「ただ、本のタイトルは、<月が見たかった>だった。ここだけは、彼女らしい。」
p260
「「私は、オーロラです。」」
p263
「「大歓迎ですよ。そのときも、貴女は今と同じ姿なのですか?」「その予定です。先生のお好みかと思いましたが、間違っていたでしょうか?」」
p265
「つまり、セイゲツ・オーロラがフルネームになった。」
p266
「おそらくそれは、マガタ博士が目指している共通思考だろう。」
p266
「「わからないからです。」」
p268
「成長と老化は、科学的に同じ現象だ。」
p269
「子どもに言い聞かせるように、毎日自分にそう語りかける。「大丈夫だから、好きなことをしなさい。」「あなたがやりたいことを一番に考えなさい。」と。」
p271
「「マガタ博士は、何をしようとしているのか、とときどき考えてしまうのです。でも、きっとそれは間違っている。博士は、なにもしようとしていない。ただ、考えているだけ。考えて、見とどけているだけ。きっと、そうなんだろうと想像しています。」」
p272
「「いえ、なにも、考えていません。花束くらい渡しましょうか?」「花束?」オーロラはそこでくすっと笑った。」
p276
「僕はまたソファに座り、溜息をついた。明日、花屋へ行こうと思った。」