
きらた
@kirata
2026年7月15日
猫と罰
宇津木健太郎
読み終わった
ファンタジー
表紙買い的な?作品
帯に“18カ国で翻訳決定。感涙ミステリファンタジー”とあったので、夏川草介の〈本と猫〉シリーズみたいな作品だろうかと思って手に取ったのですが‥
実際読み始めていくと、イメージした雰囲気とは異なった方向に転がっていき、最終的には〈可もあり不可もあり〉
ミステリ要素は一切感じなかったのですが、もしかしてオカルト系のミステリって意味だったのですかね?(でもオカルト系ミステリでもない気が‥)
あの小説のモデルになった猫、それがクロ
名付けてはもらえなかったが、“彼”に飼われて3回目の命を過ごした時が、クロにとって1番幸せな生だった
そんなクロが遂に最後の9回目の生を受ける
“彼”と暮らした生以外で酷い目に遭ってばかりだったクロは、最後となる今回の生では人とも猫とも馴れ合わず生きようとしていた
しかし冬を越そうと向かった街で、クロはとある古書店に辿り着く
それはまるで何かに引き寄せられるかのようで‥
「思ったより、早かったね」
クロの姿を見た女性店主の第一声にクロが固まる
「おチビさん、名前は?」
続けて掛けられたその言葉と、返答を待つその態度で我に返ったクロは慌てて女性店主の前から逃げ出した
北斗堂と呼ばれるその古書店
初めは警戒していたが、やがて“生きるために”と割り切り北斗堂に居を移すクロ
しかし警戒心の強いクロは態度も頑なで、先住猫には呆れられる始末
そんな先住猫たちは、店主の女性を魔女と呼び、彼女にはある呪いがかけられているとも言うが、詳しいことは語らない
ただ、この北斗堂に集まってくる猫にはある特徴があり、それは店主の呪いとも関係があるのだという
猫目線で語られる人の世界の姿、魔女を名乗る店主、掛けられた呪い、クロの過去、猫と人間の絆、創作への思い
クロは自分が生きた様々な時代を反芻する
クロが大事にしてる3回目の生以外はかなりシビアで、今風に言うなら〈猫生ハードモード〉の連続
北斗堂の店主はクロを少し離れた場所から見守るように庇護し、猫たちはクロにやんわりと言葉をかけたり態度で示したりするが、クロの頑なな態度は中々軟化しない
この世界では猫は9つの生を生きる
クロだけでなく他の猫も
しかし9つの命があれども自由に命を扱える訳ではないので、命には限りがある
北斗堂の中でも、猫との別れはやってくるし、それが突然やって来ることもある
そんな猫と北斗堂の話に深く関わりを持ってくる少女がいる
その少女の成長と夢と、それに付随して発生する輝き
しかしそんな少女にやがて挫折が訪れる
世を諦観し、頑なな態度を貫いていたクロが決定的に変わるのはそこからだ
そこにおいて漸く、北斗堂の存在、店主に掛けられた呪いや北斗堂に集まる猫の共通点等の、話の核となるものがひとつに撚り合わさっていく
少女の目を再び夢の方向に向ける
閉ざした蓋を開け、奥に秘めたままの思いを少女に気付かせる
人や猫との距離を取っていたクロが動き出す
そこに至るまで積み重ねた静の話から一転、動の話へと変わり、クロの中にあった思いも熱く迸っていく
感涙とまでは行かなかったが、胸にぐっとくるものは感じた
多分“文筆”の魅力に取り憑かれ、挫折してもなお書かずには居られない性(サガ)を背負ってしまった人なら、より感情を揺さぶられるのではないかと思う
しかしその展開に唐突さを感じたり、話を支える世界観みたいなものが急に薄っぺらく感じるようになったんですよね
‥‥何ていうのかな?
キャラは生き生きと動いてるのだけど、それを支える話/展開?の部分に重厚感がない、とでも言うのか
店主である彼女(或いは彼)に呪い(罰)を与える上位の存在が、話していくうちに矮小に見えてきてしまうさまとか、神道と仏教や中国の伝承の都合のいいとこ取り(言葉が悪くてすいません)をしてるように見えるところとか
‥‥んー
中盤過ぎまでの猫と北斗堂と少女の成長が丁寧に描かれていたのに、後半に明らかになった罪や罰の部分、神話世界の部分?が雑に感じたとでも言うのか、話の世界が急に作りものめいて見えた‥ん、ですよね
上手い表現が出来ないんですけど、結論ありきで肉付けしたのが透けて見える感じ
ファンタジーノベル大賞受賞と書かれていたので期待しすぎたのかも知れませんが‥‥
そんな訳で、私個人としては刺さりが甘くて残念に感じた作品でした
途中までと、猫たちは良かったんだけどな〜‥なんか惜しい感じでした←わたしなにさま?



