
橘海月
@amaretto319
2026年7月16日
新しい世界で
石持浅海
読み終わった
#ミステリ
ハイジャック事件に巻き込まれた、元乳児と刑事と乗客。彼らは不思議な縁で繋がり、当時一歳だった聖子が二十歳になった時に焼肉屋で祝杯をあげるが…。
連作短編集なのでさくさくと読め、主人公聖子の成長物語でもある。最終話の落ちはとてもわかりやすく、このために呼び名を不自然に固定していたのだろうなと感じた。
飲み会でのふとした雑談から、刑事がある事件とも言えないエピソードを披露し、一応の結末が示された後で、彼(座間味くん)がその結論をひっくり返すというのが本作のセオリーだ。もちろん彼の推論が正しいかは明かされないが、一見ハッピーエンドな話に苦い解釈が入るのがミソで、それをされると万華鏡のように見え方が変わる。読者は水に落とされたインクのように、その解釈を無視できないというのが共通している。そのためやや強引と思われる結末はあるが、そこは物語としての形で有無を言わせぬ力技で捩じ伏せている。


