蛸足配線
@nekoai30
2026年7月14日

聖少女
倉橋由美子
読み終わった
重層的に入り組んだストーリーをスムーズに読ませる語りの手腕はまったく見事という他ない。小説内の出来事を現代的な感覚で捉えると、性暴力の被害者あるいは加害者が自傷的な結婚に身を投じる話とも読めてしまうが、そういう単純で道徳的な図式に押し込めた途端見えなくなるところにおそらくこの小説の主眼がある。社会的倫理とは別に存在する聖性と、それに限りなく近しい獣性の物語。少女時代を終え社会的に成熟した大人となるために、「不可能な愛」は破棄されなければならない。

