
酸菜魚
@suancaiyu
2026年7月17日

見ること
ジョゼ・サラマーゴ
読み終わった
@ 自宅
『白の闇』の4年後を舞台にしたスピンオフ的作品。
白の闇を読んでいなくても話は成立するが、読んでおくことを強く推奨。あまり説明なく「あの4年前の悪夢」的に引き合いに出されるし、あの絶望感を味わった人々の4年後だとわかって読むと、感じることも変わってくるはず。
視界が真っ白になる謎の伝染病からの回復から4年、議員選挙の投票で80%以上が白票で投じられるという異常自体に対し、政府が決して正義とはいえないやり方で事態の収集にあたる。
白の闇は市民の目線だったが、本作は政府側の目線で物事が進んでいく。
白票を投じること自体は何の違法性もないにも関わらず、80%を超え民主主義が揺らぐような状態になると、白票が罪に起き変わりはじめる。市民は皆「白」ということばを避ける。政治家の間では、慇懃無礼なほどに回りくどい言葉遣いで相手の懐を探り合い、良心のあるものは去っていく。
サラマーゴによる、現代政治・民主主義に対する紛れもない反論・揶揄だと感じた。
ラストは救いのない終わり方。白の闇では出口が見えただけに、より暗く感じる。
サラマーゴの鉤括弧の使われない文体は相変わらず。見開きでスペースや改行が一切ないようなページもあり、読み応えはかなりあるので時間のあるときにどうぞ。


