
DN/HP
@DN_HP
2026年7月18日

楽園の不運な紳士たち
ロバート・アプトン,
高橋豊
河村要助さんによるカバーアートが素敵な探偵小説を読んだ。河村要助さんがカバーを描いている本は見つけ次第「ジャケ買い」しているから、内容を確認しないこともよくあるけれど、それでも眠れない平日の夜なんかに開いて、そのまま翌日の移動中にも読み進めてみれば、ああ、これは読みたかった小説だった、と思えたりもして。そこで改めてカバーを眺めながら、河村さんやっぱり流石っすね、とか思ってしまうのも「ジャケ買い」の妙だろうか。
そんな感じでこの小説もなかなか良かった。平日の夜というよりは、日曜午後にテレビで適当に観始めたい映画的なちょうど良さが、今ちょうど良かった。
不審死の調査のためにリゾート島の名門ゴルフクラブを訪れる探偵。賭けゴルフに入れ込んだりブードゥーの儀式に慄いたり麻薬取引を目撃したり島の女性と海中でセックスしそうになったり盛り沢山の体験をしながらする彼の推理は、ゴルフで言えば完全にアウト・オブ・バウンズであらぬ方向に勢いよく飛んでいく。
それでも小説、物語は、探偵以外の人間と偶然の力も使って事件を解決に導いていく、というか探偵自身がその場にいること自体も偶然なひとつの要因として事件は色々なものを取りこぼしながら「意外な事実」を掠め解決という決められた物語の終わりへと向かっていく。
こういうのは、まあご都合主義と言えばそうだろうけれど、物語はすべてを提示して、名探偵はすべてを明らかにした上で完璧な推理で事件を解決する、みたいなやつよりもこういうのがちょうど良い。というか、やっぱり完璧な推理よりも偶然による不完全な解決の方に断然リアリティを感じる。世界も人生も完璧じゃないし解決もしないし、人生における偶然も信じているからね。こういうのが読みたかった「探偵小説」ぽい。
そんな読みたかったちょうど良い小説を車中で読めば移動も俄然楽しくなるし、本を閉じればカバーには大好きなイラストレーターの作品があるし、それは気分も上向くわけだ。ということで、「ジャケ買い」した好きなカバーアートの本も、部屋で眺めるだけじゃなくどんどん外に持ち出して読んでいきたい。これからも「ジャケ買い」はどんどんしていきたい。
河村要助さんのカバーアートはいつだって探している。

