"血か、死か、無か? Is I..." 2026年7月18日

@sotaono
2026年7月18日
血か、死か、無か? Is It Blood, Death or Null?
p9 「大雑把にいえば、僕の夢はリアルだ。おそらく、現実がそれだけ曖昧で抽象的で、しかも夥しく不連続だから、その欠落を補っているのだろう、と想像できる。」 p12 「それは僅か一秒か、その半分くらいの時間の動画で、どろっと溶けたオイルのような黒い液体が、天井から垂れ下がっている光景だった。」 p20 「デボラがその可能性を挙げなかった理由は、きっと僕を不安にさせないためだったのだろう。それが優しさというものかもしれない。そう解釈するのは、僕の彼女への優しさでもある。」 p28 「彼と僕を結びつけたのは、マガタ・シキ博士である。ヴォッシュも僕も、伝説の科学者であるマガタ・シキと会ったことがある。」 p33 「ヴォッシュは、一瞬黙ったが、そのあと、僕の肩を後ろから軽く叩いた。」 p41 「「これは、その武装勢力のメンバの一人が証言した情報だが、ここのコンピュータは、イマンという名で呼ばれていたそうだが、その……、人間を殺した最初の人工知能と呼ばれていたらしい。」」 p46 「「自分たちの立場が危うくならないかぎりは、人は持続を選択するものだ。」」 p53 「「ああ、それは、この地方の古い言語らしい。聖書にも使われていた文字だそうだ。意味は、血か、死か、無か、だよ。」」 p53 「「血か、死か……?」「無だ。ヌルだ。」」 p55 「人間も人工知能も、自己防衛という動機を持っている。歴史が示しているのは、戦争というものがすべてこの動機によって始まるという事実である。」 p57 「「ただ、普通のピラミッドが第一象限として、その上下逆さまのリバース・ピラミッドが第二象限、逆さまで空洞のピラミッドが第三象限ですよね。」」 p60 「「考えが及ぶとしたら、人工知能に指摘されてからだよ。とにかく、最近の人間は、ものを考えなくなってしまった。複雑なこと、難しい問題を避けようとしている。嘆かわしいことだ。」」 p62 「「お二人の演算は、おそらく私と同じ結果と推定されます。辿れなかったことから、浮かび上がる高確率の人物は、マガタ・シキ博士です。」」 p64 「「いや、質問をすることは素晴らしい。興味を持つことも素晴らしい。」」 p67 「「人間っていうのは、うーん、まあ、全員ではないにしても、基本的に自分を責める。被害妄想的な嗜好性を持っているように思う。」」 p67 「まずは、自分の足許を見る。前進するにも、後退するにも、その場に踏みとどまるにしても、自分が立っている地面が確かな強度を持っているのかを最初に確かめる。それが知性というものの基本だろう。」 p69 「むしろ、そういった表現がなされるのは、人工知能に対して、人間性を求めているためだろう。」 p71 「神の存在が、運命を受け入れない一部を過信させ、運命を受け入れる大勢を宥めたのか。」 p71 「それはまるで、人類が技術の粋を尽くし、神を再現するかのようにスーパ・コンピュータを作り上げた行為そのものだ。その知性の生育に人類の未来をかけたことになってはいるけれど、その実は、ただ、反転する世界への恐怖だったのではないか。」 p81 「「使い手の意味、違う。」」 p83 「「ただの機械だ。」ヴォッシュは、彼女の言葉を繰り返したが、そのあと、こう言った。「君は、ただの人間かね?」」 p83 「「血、死、無。」ガミラは答えた。「意味は、そのまま。」」 p84 「「死。」」 p84 「「血。」」 p86 「ガミラがイマンを使っていたのではなく、イマンがガミラを使っていた、ということだ。」 p89 「マガタ・シキが導く共通思考は、その争いのいずれかの指針となっているものだろう。」 p90 「どうすれば、最もエネルギィを使わずに理想が実現できるか、という演算を常にしているはずだ。」 p92 「なるほど、正義の輝かしさを忘れることが、真実を見通す方法なのかもしれない。正義を捨てるとは、どんな選択だろうか?」 p95 「「境遇に対する評価は行いません。目的が設定されて初めて、それを実現するための環境を評価することができます。」」 p97 「「アース、あるいは、共通思考です。」」 p99 「「ガミラは、私を友達だと言いました。」イマンが答える。」 p100 「「無は、存在しないという意味です。」「誰が存在しないの?」「一般には、その言葉で表現される主体です。しかし、この言葉における意味は、すべてが存在しない、という概念だと思われます。」」 p101 「「重要なことを聞き流して、申し訳ない。」僕は謝った。「謝られる必要はありません。人間に謝られたのは初めてです。」「ハギリ博士は、珍しい人間だからね。」ヴォッシュが横から言った。」 p118 「低温施設で発見され、のちに蘇生に成功した個体が、現在行方不明であることが判明した。」 p122 「「なんとなく、南の方へ行く気がしている。」」 p123 「その王子が、行方不明になった。」 p128 「「熟成すれば、どこかが腐り始める。充分な時間はありました。」」 p133 「ウグイは、持っていた小さな端末を僕の方に向けた。そこに書かれていたのは、英語だった。<blood/death/null>と読めた。それだけだ。」 p138 「「オイル?」ウグイが反応した。」 p146 「「何を言っているのか、よくわからんな。じゃあ、ナクチュにいるときから、王子を盗み出そうと計画していたってことか?それが日本に運ばれたから、ちょっと面倒なことになった。生き返ったりしたら困る。ずっと眠っていてほしかった?」」 p150 「「ハギリ博士、私は、すぐにまたお会いできるものと思っておりました。」カンマパは僅かに微笑んだ。」 p152 「「ご覧に入れるつもりで用意いたしました。」カンマパは静かに言った。「これは、通常は人に見せるものではありません。特に、ナクチュの者であれば、目にすれば失われると恐れます。」」 p152 「「すべてです。」カンマパは、そこで口元を緩める。「非科学的なことを、とお思いでしょうね。けれども、私たちには信じるものがあるのです。これを広げても、私はなにも言いません。口にすれば果てるからです。」」 p152 「曼荼羅だ、と僕は思った。しかし、黙っていた。カンマパは、それを見ない。僕の方を見つめている。」 p155 「「私たちは、過去を伝えない。なにも書き残しません。そうすることで、今という時を、確かな強さをもって生きることができます。」」 p155 「「ハギリ博士におききしたいのですが、人工知能には、心があるのでしょうか?」「それは……、なんともいえません。ただ、その問いは、人間に心があるのか、という質問と同じだと考えています。」」 p159 「「ミラッサ、ササブ、ジュラ、シンシラン、ユーヴィス、ゼッサ、クロッサ。」」 p162 「「メグツシュカ。」」 p164 「「メグツシュカの子音は、M、G、T、S、Kです。」」 p165 「「マガタ・シキですか?」」 p168 「「南極で会おう。」」 p172 「もう北極だろうが南極だろうが驚かない。そのうち、人工衛星へ、という指示が出るのではないか、と本気で予想しているくらいだ。」 p177 「「そうみたいだ。しかし、まだ日が浅い。信頼関係はこれから、というところかな。名前は、ジュディという。君に話しかけることはないと思う。控えめなのでね。」」 p183 「「そうか……、クリスティナの本体は、それかもしれない。」ヴォッシュが言った。「多数で並列処理をしている。」」 p191 「ジャン・ルー・モレルは死んでいなかった。」 p193 「「ミチルという名だろう?」」 p194 「「メグツシュカは、ご存知でしょう?」」 p194 「「彼女は……、そう、もちろん、生きているさ。あれは死なない。」」 p196 「「マガタ博士に導かれて、アミラが目覚め、ベルベットへ眠りについた。オーロラが再び皆の前に出てきた。これらの変化で、おそらく、電子空間の形勢は大きく変わったはずだ。デボウがきっと、そうだと証言してくれるだろう。」」 p202 「ゆっくりと思考するのか……、と僕はそこで息を止めた。」 p211 「「どうやら、これが本命。クリスティナだ。」」 p211 「「私のオーナは、マイカ・ジュクです。」」 p211 「「そうです。正しくは、ジャン・ルウ・ドリィ・マイカ・ジュクです。ただし、これは略称です。」」 p213 「「正しさは、多数決ではなく、論理性によって決定されます。」」 p215 「クリスティナは、珍しくそこで黙った。しかし、数秒後に答えた。「わかりません。」」 p219 「時間が経って、ようやく物事がつながって見えてくる。そのときになって、あれはこのためだったのか、とわかる。」 p220 「「人間の欲望というのは、基本的にそういった頂点へ上り詰める最終形態へ向かうものだ。」」 p221 「そう、あの黒いオイルみたいだ、と思い出した。」 p229 「「いや、そうではない。モレル氏が、王子の父親かもしれない。」」 p232 「「いや、そんなことはない。全然ない。君と一緒にいると……。」」 p233 「女性のようでもあり、男性にも見える。髪は黒く、ストレート、肩まで届くほどの長さだ。目の色まではわからない。「これが、ミチルです。」ウグイが言った。「サエバ・ミチル。現在、記録に残っている範囲で、人類初のクローンです。マガタ・シキとの娘である可能性が高いと言われています。」」 p235 「「私も、同じく、まったくわかりません。ただ、この写真を見て下さい。これが、クジ・アキラです。」」 p239 「「サエバ・ミチルが、この島を訪れたことがあります。当時は、ここは、イル・サン・ジャックと呼ばれていたようです。」」 p246 「「キガタが、ミチルと呼ばれたことに関して、アミラが古い情報を見つけました。百年ほどまえに、キョートで起こった殺人事件の被害者がミチルという名でしたが、そのとき、壁に残された血文字が、血か、死か、無か、だったそうです。」」 p247 「その大きな渦は、黒いオイルのように高粘性だった。」 p249 「キガタの目から涙がこぼれ、白い頬を伝っていくのが見えた。泣くようなことではない、と言いかけたが、なにかもう少し強い感情に出会った気がして、言葉が出なかった。」 p249 「彼女の涙は、自分の境遇に対する憤りかもしれない。それは、あるいは正しく、そして純粋な感情だ。」 p266 「人間の男性に似せたロボットだ。」 p267 「「いや……、こいつは知っている。会ったことがあるからな。ほら、このまえの、あの子と一緒だった。」」 p267 「「悪魔妃……。」」 p268 「「メグツシュカに頼まれて、これを取りにきた。街まで運ぶ……。」」 p273 「「今の発言を、逆再生すると、血か死か無か、になります。」デボラが囁いた。」 p273 「「どれかを選ぶことになるぞ。マドモワゼル、銃を仕舞いな……、逆らっちゃいかん……。」モレルの嗄れ声が途切れた。」 p274 「マガタ・シキ博士だ。」 p275 「「はい、長く探しておりました。あれは、クジ・マサヤマ博士が作られたものです。もう、耐用年数を過ぎ、使える状態ではありません。けれど、私には価値のあるものなのです。」」 p276 「「マイカ、お久しぶりね。顔を見せて。」マガタが言った。モレルは、震えながら顔を上げる。マガタは、彼に近づき、睨みつけたあと、ふっと微笑んだ。その瞬間、モレルがぶるっと震える。「お前の顔が見たかったの。ああ、今日はとても愉快。」」 p277 「「あれは、ロボットではありません。ウォーカロンです。」」 p279 「「そう……。あんたは正しい。マドモワゼル。」嗄れ声が言葉を絞り出した。」 p281 「「当然ですが。先生から離れることはできません。」ウグイが言った。」 p282 「「博士、日本に帰りたいですか、それとも、このホテルで一泊されますか?」デボラがきいた。僕にだけ聞こえる声で。」 p283 「王子は生きていた。」 p284 「つまり、クジ・マサヤマは、クジ・アキラのボディにサエバ・ミチルの頭脳を移植し、そのあと、ウォーカロンのボディに、またサエバ・ミチルの頭脳を移植したのだ。」 p285 「そして、それは、サエバ・ミチル、すなわち、マガタ・シキの子供の頭脳だ。」 p288 「「先生が、どうしてもとおっしゃったと聞きました。」」 p288 「「そうじゃないんだ。ウグイが、どうしても一緒に行きたい、と懇願したんだよ。」」 p290 「「ああ……。」ウグイは小さく頷いた。「馬鹿みたい。」」 p292 「「ロイディという名だったそうです。」」
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