
ユメ
@yumeticmode
2025年3月27日

鯨オーケストラ
吉田篤弘
読み終わった
感想
『流星シネマ』、そして『屋根裏のチェリー』に散りばめられていた物語の欠片たちがひとつに繋がり、大きな鯨を浮かび上がらせる。まるで、星と星を繋いで星座が見えてくるように。これぞ吉田篤弘さんの作品の醍醐味、と思う。
〈鯨オーケストラ〉のように、いちど喪われたものがまた違った形で再生することだってあるのだから、日々を生きてゆく——すなわち未来へ旅をするにあたっては、いつも希望を胸に抱いて始まりの「ラ」の音を奏でてゆきたい。
『奇妙な星のおかしな街で』にも記されていた、天国のルール「天国というのは、その人が生きていたときに、じかに触れたり、たしかに経験したことによって、つくられている。認識はしていても、実際に手で触れたことのないものは天国に存在しない」も印象深い。私もカナさんの「詩を書きなさい」——すなわち新しいことに挑戦しなさい、という言葉を心に刻んで、自分の天国を豊かにしてゆきたいと思わされた。

