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ユメ
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@yumeticmode
紙の本と本屋さんを愛してやまない人間です。 吉田篤弘さん、辻村深月さん、三浦しをんさん、森見登美彦さん、今村翔吾さんが特に好きです。
  • 2025年9月15日
    恋敵と虹彩
    恋敵と虹彩
    なっちゃんが、自分の元で学ぶことになった小太郎を叱ったり諭したりする言葉の真っ直ぐさが胸に響く。「放送を見くびるやつが放送局で働くな!」という力強い台詞や、「皆川と関係なく、この仕事を好きになってくれ——すくなくとも、好きになろうとしてくれ」という誠実な約束、それらがきちんと小太郎の糧になっていると分かる描写がとてもよかった。一穂ミチさんの作品は、人と人との関わりによる心の動きが繊細に描かれているところも好きだ。 「秘密と虹彩」は、先に『OFF AIR3』に収録されている「c/w」で潮と計視点を読んでいたので、今度は竜起となっちゃん視点から物語を読むことができて、二重に楽しめた。潮と竜起が良好な関係を築いているところが、私はとても好き。かつて計に手を出そうとした竜起に対し、「でも、俺の心の面積は別に関係なくて、お前と交流してんのは、お前が面白くていいやつだからだよ。そんだけ」とさらっと言える潮は本当に素敵な人だし、彼にそう言わせる竜起もすごい。なっちゃんに計の仕事ぶりを聞いた潮が、心をこめて「ありがとうな」と伝えるシーンもぐっときた。
  • 2025年9月11日
    横顔と虹彩
    横顔と虹彩
    『イエスかノーか半分か』本編や『OFF AIR』を読んだ時点でも好きだったが、この『横顔と虹彩』を読んだら皆川竜起というひとへの好感度がいっそう増した。 「お世辞に対しては、言うよ。『いやーそんなまだまだっすよー』とか。でもなっちゃんは今、俺に嘘言ったわけじゃないでしょ、俺に実況が似合うって、本心から思ってくれたんじゃん?だから俺もつまんない嘘で濁さない」とか、「ひとりでふんばらなきゃいけない時に支えてくれんのは、誰かが助けてくれた思い出じゃないの?手ぇ貸したら甘えるとか勘違いするって、それこそ本人の問題だし」とか、竜起の台詞にはハッとさせられる言葉も多く、こういうことを何のてらいもなく言える性格だからこそ潮や計ともうまくやれているのだろうなと思う。 かつて計に手を出そうとして潮に叱り飛ばされたときの台詞が、ちゃんと竜起の心にも響いていたのだと分かったのもすごくよかった。あの言葉をきちんと反芻していた竜起が、なっちゃんと出会って新たな恋を始められたことがとても嬉しい。二人が惹かれ合ってゆく過程が双方の視点から描かれており、キュンとした。竜起の告白の手段も、それに対するなっちゃんの返事の仕方も好きだ。 私もどちらかというとなっちゃんのように人付き合いに対して臆病になってしまう方だから、「引き算のない、自分だけで完結した気持ちが大切だった。マイナスにはならないけれど、ゼロからの先もないはずの場所に竜起が飛び込んできて、足したり掛けたりが生まれた。その幸福を、これからも何度だって思うだろう」という文章には胸を掴まれた。こんなふうに心奪われる言葉に何度でも出会えるから、一穂ミチさんの作品を読むのはやめられない。
  • 2025年9月9日
    BUTTER
    BUTTER
    序盤に出てくる「どんな女だって自分を許していいし、大切にされることを要求して構わないはずなのに、たったそれだけのことが、本当に難しい世の中だ」という一文に深々と頷く。例えば本書において、主人公の里佳は取材のために食事を重ねることで体重が増加するのだが、体型の変化を恋人や同僚にだらしないと否定される(「男のデブと女のデブは違うでしょ?」という直球の差別発言すらされる)。健康に問題がなければ体型なんて極めてプライベートなことであるはずなのに、この社会におけるルッキズムは年々加速しているように思われ、時折怖くなる。 また、男性は自分で自分のケアをすることが少ないという文脈における「ちゃんと暮らしてくれないのって、暴力だと思うんですよね」という台詞も印象深い(男性にとって、自身のケアをすることは「男らしくない」という目で見られるのかもしれず、女性とはまた違った生きづらさがありそうだとも考えさせられた。とはいえ、ケアをしないか女性に押し付けるかの二極化しているのは問題だと思う)。 その台詞に対するひとつの答えのようにも思われたのが、「ロックだよね、掃除とか料理ってさ。愛情や優しさじゃなくて、一番必要なのは、パワーっていうかさ……。なまくらな日常にのみこまれないような、闘志っていうかさ……」という里佳の言葉だ。この生きづらい世の中に抗ってゆくいちばんの手段は、私たちひとりひとりが自分を大切にしてゆくことなのかもしれない、そう思わされた。
  • 2025年9月7日
    図書室のはこぶね
    クラスメイトに図書当番の代理を頼まれた主人公・百瀬花音が、図書室で10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』と、その本に挟まれた不思議なメッセージの記されたメモを発見したことから広がってゆく物語。図書室に突如現れた謎の真相には苦いものも混じっていたが、伝統をよりよい方向に変えたいという現役高校生とOBたちの想いが響き合い、体育祭当日に結実するのがよかった。 『飛ぶ教室』を筆頭に、実在する本が何冊も登場するので、知っている本は再読したくなるし、知らなかった本はこれを機に手に取ってみたくなる。花音たち高校生の心の揺れ動きが瑞々しく描かれており、自分が同じ年頃の日々に読んだ本の数々も懐かしくなった。野亜高校図書室の蔵書検索機に搭載されている、三択の質問に答えてゆくとおすすめの本を教えてくれる「本ソムリエ」の機能は羨ましい。
  • 2025年9月4日
    宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ
    前作『天使のアクアマリン』の終わり方が衝撃的で、万が一にもあのまま正義とリチャードの日常が失われてしまったらあまりに惜しいと思っていたため、今作の結末に胸を撫でおろしている。途中の展開には本当にハラハラドキドキしたが、エトランジェでの日々が守られてゆくことになって本当によかった。 リチャードの行方を追うべきか迷う正義の背中を谷本さんが優しく押す、その台詞にしみじみした。この二人のあいだに結ばれている柔らかな信頼関係が好きだ。正義のリチャードに対する「好き」という気持ちを、谷本さんが恋であるともそうでないとも断定しなかったのもよかった。「好き」という想いはそれぞれに尊くて、一様にラベルを貼って分類しなくてもよいはずなのだ。
  • 2025年9月2日
    OFF AIR(3)イエスかノーか半分か
    ハッピーエンドのそのあとも続いてゆく日々が丁寧に紡がれていて、その愛おしさに胸を締めつけられた。潮も計もありふれた日々が失われる怖さを知っているからこそ、日常をかけがえのないものとして大切にしていることが伝わってくる。そんな二人の在り方が好きだ。 私は時を越えて人の想いが受け継がれてゆく物語に美しさと人間らしさを感じるので、潮と計それぞれの両親のエピソードが語られる「Ribbon」と「Flag」がすごく刺さった。計の父親が就職祝いに贈った腕時計が、彼の予想に反して計の窮地できちんと力になっていることに泣きそうになる。計の父が祈った通り、今の計の隣には潮がいて、そのことにも幸せの重みを感じた。 また、『イエスかノーか半分か』を潮視点で、彼がいかにして計に惹かれていったかを繊細に綴った「星から降る金」も好きだ。かつて星座をうまく結べなかったという潮が、計との出会いを経て、「はつなつの星座」では自由に星を繋いでいたことに胸が熱くなった。 本編に引き続き、『OFF AIR』三冊も何度でも読み返すであろう宝物になった。
  • 2025年8月30日
    OFF AIR(2)
    OFF AIR(2)
    一穂ミチさんの文章は、決して特別な単語が使われているわけではないのに、きらきらと特別な輝きを放っている。胸を掴まれる台詞や地の文に次々と出会い、読み終えてから書き写そうとブックダーツでしるしをつけていったら、その数がおびただしいことになった。例えば、「変わらない、でもリピートじゃない夜が、こうしてきょうも回っている」という一文。潮と計の二人にとって今の日々がどれほど愛おしいものなのか、その幸福感がギュッと詰まっている。 どの短編もそんな二人の日常が感じられて大好きなのだが、「愛の夢」「オアシス」が特によかった。 「愛の夢」は「デイドリームビリーバー」の潮視点のお話。あの歌の歌詞が潮にとってはそんな風に聞こえているんだ、と知れて、すごくぐっときた。 「オアシス」は潮がふたたび計の実家を訪問するお話。潮の気がかりを計の母に「バカねー……」と言ってもらえて、何だか私の心まで軽くなったような気がしたし、改めて計の両親が好きだなと思った。
  • 2025年8月28日
    OFF AIR~イエスかノーか半分か~
    『イエスかノーか半分か』シリーズの購入特典ペーパーや、一穂さん自身による同人誌などをまとめた総集編。刊行から遅れてシリーズにはまった身としては、こうして読める形にしてくれていることがとても嬉しく、ありがたい。 一穂さんは日常のワンシーンを切り取るのが本当に巧みで、登場人物が生きているという手触りがある。ページを捲るたび、そこに潮と計がいる、という圧倒的な幸福感。どの短編も本当に好きなのだが、「オールユーニード」「ねないこだれだ」「はつなつの星座」「デイドリームビリーバー」がとりわけ刺さった。 「オールユーニード」は潮が計の実家を訪問するお話。計の両親の人柄が私もすっかり好きになったし、ラスト二ページで押し寄せる幸福の重みに目頭が熱くなった。 「ねないこだれだ」は潮が計のアクセント辞典に絵を描いたときのお話。潮があのときこんな想いでいたのか、と知れてぐっときた。 「はつなつの星座」は二人が新しいおうちに引っ越す際のお話。潮にすべてを委ねきっている計と、そんな計を愛おしく思う潮、という二人の関係性が好きだ。夜空を見上げてものづくりを想う潮の、繊細な感情表現が胸に迫った。 「デイドリームビリーバー」は潮が宇宙人のPVの続きを作るお話。日本語版「デイドリームビリーバー」の歌詞を改めて調べ、泣きそうになった。きっとこの先私は、この曲を耳にするたびに『OFF AIR』のことを思い出して胸を締めつけられるのだろう。それだけ影響を受ける物語に出会えたことを、幸運に思う。
  • 2025年8月26日
    奇妙な星のおかしな街で
    吉田篤弘さんの文章は、読んでいてとても心地よい。小説でもエッセイでも、いつまでもその世界に身を浸していたくなる。 「どうして小説を書くのか」という問いに対する篤弘さんの答えは、「自分を楽しませるためです」「いつでも自分が読んでみたい小説を書きたいのです」だという。この言葉は心に留めておきたい。私も趣味で文章を書くけれど(本の感想もそのうちのひとつ)、それはいつでも自分を楽しませるもの、自分が読みたいものでありたいなと思ったのだ。 文庫化にあたって再読して、未来の自分を楽しませることの大切さを改めて教わったし、そのために工夫を凝らすことを「幸福な時限爆弾」と呼ぶ、篤弘さんの名付けのセンスがやはり好きだ。
  • 2025年8月24日
    おうちのありか イエスかノーか半分か 3
    公私共に順風満帆だった潮と計だが、仕事にも交際にも思わぬ横槍が入る。この窮地をいったいどうやって乗り切るのだろうかとハラハラしたが、『イエスかノーか半分か』『世界のまんなか』において潮に助けてもらったことで強くなった計が、今度は潮を救うのにぐっときた。 初めて明かされた潮の家族関係には、彼がそれを何事もなければ計に知られたくなかったであろうことも含め、胸が痛んだ。愛し合っているからといって簡単にすべてを曝け出せるわけではない、でもひとりで抱えているものがあるということを察したうえでそこもひっくるめて愛し合っている、そんな二人の関係が好きだ。それでもこの『おうちのありか』を経て二人の絆は更に強固なものになったし、お互いの中で相手から離れるという選択肢が一切なくなったように思う。 計にとっても大切な場所だった潮のおうちが失われてしまったことも辛かったが、二人が新居で迎えた朝の美しさには胸が熱くなった。潮にとっても計にとっても、相手のいるところこそが帰る場所、おうちなのだと思う。 読み終えて幸せな気持ちでいっぱいになり、急いで総集編である『OFF AIR』を三冊まとめ買いした。本当に、この夏、このシリーズに出会えてよかった。
  • 2025年8月23日
    世界のまんなか イエスかノーか半分か 2
    一巻の時点でとても好きな物語だったのだが、この『世界のまんなか』を読んだらますます潮と計への愛着が湧き、好きという気持ちがいっそう増した。この夏、このシリーズに出会えてよかったと心底思う。 前作を読み終えて今作のあらすじを読んだときには、計が仕事で不調に陥る姿がいまいち想像しきれなかったのだけれど、さすが一穂さん、計の心理が丁寧に深掘りされていた。好きでアナウンサーになったわけではないことにどこか負い目を感じながらも、絶対に人前では見せない努力ですべてをはねのけてゆく計の仕事に対する姿勢は尊敬に値するし、このシリーズがこんなに読みごたえがあるのは、ラブコメとしてだけでなくお仕事小説としてもすぐれているからだと思う。 知り合って一年経った潮と計が彼らのやり方で愛を深めてゆく様には胸を掴まれっぱなしだった。自分が先に死んだら棺桶にアクセント辞典を入れてくれという潮の台詞、温泉まで計がこっそり潮を追いかけてゆくくだり、計の公共の電波越しの壁ドン台詞……好きなシーンや台詞を挙げていったらきりがない。自分の気持ちが重いと自覚しつつも潮に受け入れてもらえると確信している計と、そんな計の安全地帯(この表現がすごく好き)でありたいという潮、お互いがお互いにとっての「世界のまんなか」である二人の関係性が本当に愛おしい。
  • 2025年8月22日
    ただいま装幀中
    ただいま装幀中
    クラフト・エヴィング商會のお二人が、装幀の仕事についてや、ちくまプリマー新書について語った「紙上トークショウ」。ずっと、篤弘さんと浩美さんがどのようにしてお二人で装幀の仕事をされているのか気になっていたので、軽妙な語り口で明かされるその仕事ぶりを非常に興味深く読んだ。 クラフト・エヴィング商會が手がけたプリマー新書のカバーデザインのうち、128点がフルカラーで収録されているのは圧巻。この本のデザインはどんな風にしてアイデアが浮かんだか、といった裏話が聞けるのも楽しい(最近刊行された三島邦弘さんの『出版という仕事』も購入したので、そちらのカバーデザインについてお話しされているのが読めたのも嬉しかった)。 一般的な新書カバーがレーベル毎に同じデザインで揃えられているなか、プリマー新書の一冊ずつデザインが異なり、しかもすべてを同じデザイナーが装幀しているという点は大きな特色だと思うが、そこに「子供たちにリボンをかけた小箱をプレゼントするようにつくりたいと思ったんです。で、その小箱の色とか形とかリボンの長さや柄といったものは、みな違っている方がいい」という想いが込められていたことは初めて知り、その真心に深く感銘を受けた。 また、お二人は「本を手にとることが『喜び』や『救い』であってほしいですね」「それしか考えてないですよ、装幀をするときって」ともお話しされている。これまでも私にとって読書は喜びであり救いであったが、この本を読んだことで、ますます読書が素晴らしいものになる気がした。
  • 2025年8月21日
    結 妹背山婦女庭訓 波模様
    前作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』では、操浄瑠璃の魅力に取り憑かれた人々の熱狂の坩堝が、浄瑠璃の演目中で描かれる登場人物たちの心情と結びついてさらなる興奮を生む、人間の感情の渦に圧倒された。今作でもその渦は見事に描かれつつ、浄瑠璃に魅了された者同士の縁が絡まり合ってゆく様が活写されている。「この世のからくりておもろいな」「この世のからくりの糸、いうのんは、縁の糸でできてんのかもしれへんな」という台詞が印象深い。人の世の怖さと面白さを存分に感じさせてくれる作品で、くらくらと酔いしれた。
  • 2025年8月19日
    出版という仕事
    京都の出版社ミシマ社の代表・三島邦弘さんの本。出版社のお仕事に関するお話は、私にとっていつも興味深い。クラフト・エヴィング商會による装幀も素敵。
  • 2025年8月19日
    ただいま装幀中
    ただいま装幀中
    久々にクラフト・エヴィング商會の本が刊行されてとても嬉しい!篤弘さんと浩美さんが装幀についてお二人で語った本、本当に読むのが楽しみ。
  • 2025年8月19日
    奇妙な星のおかしな街で
    単行本も持っているのだが、文庫化にあたってエッセイが二篇追加されていると知っては買わずにいられなかった。本文のデザインが愛らしくて、自分の本棚にあることが嬉しくなる。
    奇妙な星のおかしな街で
  • 2025年8月19日
    世界なんて、まだ終わらないというのに
    インク三部作を読み終えて『電球交換士の憂鬱』を再読したいと思っていたタイミングで、改題・加筆修正された本書が刊行されたため喜び勇んで購入。
  • 2025年8月19日
    江戸の二十四時間
    新装復刊したと出版社のBlueskyアカウントの投稿で知り、購入。歴史・時代小説を読むのが好きなので、江戸の暮らしぶりへの理解を深めたい。
  • 2025年8月19日
    本売る日々
    本売る日々
    先日読んだ『貸本屋おせん』がとても面白かったので、同じく江戸時代を舞台にした「本売る」人の物語を読みたくなった。
  • 2025年8月19日
    なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない
    「読むセラピー」という惹句が気になって購入。同じ著者の『居るのはつらいよ』も積読になっているので、早めに読みたい。
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