chidori "生殖記" 2026年7月21日

chidori
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@NightMirage302
2026年7月21日
生殖記
生殖記
朝井リョウ
娯楽として十分に楽しめた。 最初は傲慢で博識な語り部の蘊蓄に対し半分苛立ちながら読んでいたが、核心に触れるにつれ、徐々に本題が明らかになる。 多かれ少なかれ人は擬態する生き物で、多数派に化けている人はごまんといるのだろう。 異性と付き合う同性愛者や両性愛者が居るように。 無理やり話を合わせ、興味がある素振りをするように。 私からすれば「自分に噓をつき続けるのは、辛いうえに虚しくないか?相手も自分も可哀想だろう。」と言いたくなるが、そうは言っていられないのが、昨今の排他的な問題発言の数々だ。擬態しないと共同体から排除され孤立してしまう。ますますマイノリティへの配慮が遅れるのだ。 対策が取られつつあるとはいえ、現代の日本でマイノリティへの理解が行き届いているとは到底思えない。 誰だってマイノリティになりうるし、時と時代の経過で少数派が多数派に変化することも起こり得る。 生物学を齧っていれば解釈が深まるであろう発言や、頭ごなしに頷けない台詞もあり、読みやすい文体の割に頭を使う。 尚成の異性愛者に対する怨念と憎悪に辟易しながら読み切った。空虚で無意味とはいえ、何とか自分らしい生き方を(歪んだ形で)実現してゆけそうで、こちらとしては良かった……のだろうか? 読後感はコンビニ人間に近い。 自分を追い詰めた世界への復讐だろうか。 自傷行為でもあるが深く考えてはいけない。 「自分だけ苦労しているなんて狡い!周りも同じぐらいの目に遭うか、同レベルまで特権を剥奪してほしい」と願うのは、生い立ちを考慮しても、性根が歪んでいるとしか……。気持ちは分からなくはないが。 最後まで「苦しんでいるのは自分だけでなく、他人もそうかもしれない」という想像力が欠落したままだった。自分勝手か、病的な無関心なのか。 作中の執着からすると、自分の意見を補完するためだけに本を読んでそうな気がする。 タイトルで躊躇っている方は、勇気を出して手に取ってもらいたい。センシティブな表現もあるが後悔はさせない。
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