
きらた
@kirata
2026年7月23日

をんごく
北沢陶
読み終わった
ホラー
怪我をした妻を連れ、女中と共にかつては店であった実家で暮らし始めた壮一郎だったが、怪我が悪化した妻は間もなく他界した
妻を亡くしてひと月、壮一郎は口寄せ巫女の元を訪ね、妻の降霊を頼む
「ただ、心残りがあんまり大きいですよって」
「去んでもうたのが、よう受け入れられへん。そういうことでっか」
そうして巫女は降霊をはじめ、壮一郎は妻との日々に思いを巡らす
やがて巫女は口を開く
そこから聞こえてくる言葉は確かに倭子の声
だが、漏れ出る言葉は聞き覚えのない歌──のような何かだった
はじめは小さな現象だった
女中の悪戯か何かか、気のせいか
家の中に亡き妻の気配が漂い、やがて妻の霊が形をなす
そんな時、死んだはずの知人を見たとの噂が壮一郎の耳に届き、その噂を探っていると、エリマキと呼ばれる存在と遭遇する
「俺はお前の嫁さんを喰いたい」
そう言って闇の中から進み出た相手を見て壮一郎は仰天した
地味な着物に鱗状のものに覆われた襟巻、癖のある髪
しかしその下にある顔には目も鼻も口もなく、ただぼんやりと影が薄くついているだけの──
何もない顔、だった
現れる霊は何故この世に留まってしまったのか、との話が軸にありつつつも、エリマキと言う怪異が自分の存在理由(かな?)を見出す(理解する)との面も描かれた作品で、驚かす/怖がらせる内容ではなく、切々と訴えてくる内容、だろうか
人間って怖くて哀しくて弱くて愛おしいけど、愚かだよね
この原因となった人物も、話が終わって振り返ってみれば“被害者”でもあったのかなぁと‥
長男には継がせないってこと、結果を知ると深読みしそうになりますね
なんか色々うわぁ!となるなぁ
あ、終わり方は良かったです
変にぐしゃぐしゃさせずにスパッと切るように終わらせた潔さは好きです
思いを馳せる余韻がある作品って意味での“うわぁ!”で御座います
視覚や聴覚に訴えるような表現で、話の世界に引き込む力が強い感じ
しっとりと忍び寄る怖さと哀しさが胸を打つ、切ない余韻を漂わせた作品でした
静かな場所でゆっくり咀嚼するように味わうのがよろしいかと思います
こう言うホラーなら私でも楽しめるぞ‥!(ガチホラー苦手民)




