"キャサリンはどのように子供を..." 2026年7月23日

@sotaono
2026年7月23日
キャサリンはどのように子供を産んだのか? How Did Catherine Cooper Have a Child ?
p9 「キャサリン・クーパという人が忽然と消えた、というのが事件のあらましである。」 p17 「「デミアン?」」 p32 「研究から離れたこともあるし、大切な人ができたこともある。失うものを得てしまった、ともいえるだろう。」 p33 「もしかして、この不安こそが、人間の生と言うもの、生きることと同値なのかもしれない、と解釈することができる。」 p37 「「キャサリン・クーパ博士は、このドームの中で生活していました。」フェッセルが片手でそちらを示した。「この研究所に来られたのは、三十年ほどまえのことですが、以来一度も、この無菌ドームから出たことはありませんでしたし、また、彼女以外に誰一人、この中に入った者はいませんでした。」」 p38 「「ただ、日本のある科学者を呼んでほしい、というメッセージを発しました。ハギリ・ソーイ博士です。グアトさん。あなたのよくご存知の方ではないでしょうか。」」 p43 「「奥ゆかしいんだね。」「このようにするようにと、クーパ博士から教育を受けました。」」 p47 「「奥様ですか?」ゾフィが尋ねた。」 p48 「オーロラも、一人の女性との対話から、人間に対する情緒のようなものを学習した。共通点がある。なにか、理由が見出せそうな気もしたが、今はそれを考えることはできない。」 p50 「「クーパ博士が出産したというのは、ちょっと信じがたい。」僕は感想を正直に述べた。「母体だけで出産できる方法を発見した、という意味なの?」」 p54 「しかし、世の中というか、人間というのはすべて、利益のために行動するものだ。」 p72 「けれども、本当に博士の子供だろうか。」 p74 「「オーロラが会いたいそうですよ。」」 p74 「まるで、ロジがオーロラに嫉妬しているような感じに聞こえたのではないか。」 p75 「「こんばんは。」オーロラはいつもの笑顔で、小さく優雅に頭を下げた。」 p92 「「こんにちは」同じ声だ。僕は彼女の顔を知っていた。キャサリン・クーパ博士である。」 p93 「「言葉には、それを発する者それぞれの真実が含まれております。人は人を信じるか、あるいは、信じないか、その識別ののちに、言葉を解釈いたします。私は、グアトさんに真実をお話ししたいと考えます。」」 p95 「真実というものは、常に真実の一部なのだ。」 p100 「そこで一つ思いついたのだが、ゾフィをシャットダウンさせて、また復帰させるときに、時計を狂わせる手があるだろう。ゾフィは、眠っていた時間から、クーパ母娘二人がドームから出るのに必要な時間はなかった、と判断したかもしれない。」 p101 「「ドイツ情報局が探しているのは、アイビスという名のチップです。」ゾフィが突然話した。」 p105 「「アイビスというのは、コウノトリのことですね。」セリンが言った。」 p110 「「キャサリンは、そう……、面白い人物だったね。」ヴォッシュは話した。「いや、過去形で言ったのは、昔は面白かったというだけの意味だ。今も、生きていることを信じている。最近の、そう……、この十年ほどの彼女は、うん、あまり面白くなかったんだ。」」 p121 「中から現れたのは、キャサリン・クーパ博士だった。」 p125 「「あのロボットを思い出したんだね?」僕はセリンにきいた。「えっと、何という名だったけ?」「ラビーナです。」セリンは即答した。」 p136 「「君は、マガタ博士が、自分の研究所から逃げ出した事件を知っているかね?」」 p137 「「キャサリンのお嬢さんの名前を知っているかね?」ヴォッシュが言った。「いいえ。」僕は首をふる。確かに、これまで誰からもそれを聞いていなかった。「ミチルさんだ。」ヴォッシュは言った。」 p140 「家鴨みたいに可愛いな。と思ったが、絶対に言葉にしないことを自分に誓った。」 p145 「「楽しい?何が?」「考えることがです。」オーロラは微笑んだ。」 p175 「「ドクタ・マガタです。」クーパは答える。」 p181 「クーパ博士の娘、ミチルがロボットを操っっていたのだろうか?」 p186 「「子供っぽいというのはね、なんというのか、視界が狭いような、見ているところ、考えているところが、局所的なんだ。総合的な判断ができない。あちらこちらの状況を考慮できない。すぐ目の前にあるものに没頭している感じだね。」」 p189 「「まあ……、あまり想像を深めても意味はないだろう。現象だけを見よう。」」 p196 「「いいえ、人工知能はそのようには考えません。争いを避けたい、自分の勢力が有利になる方を望むというのは、ある意味で短絡的な思考です。将来的な観点から、必ずしも有利になる選択とはいえないからです。」」 p196 「「私たちは、可能性を評価し、いずれの場合に対しても、最善の対策を講じるだけです。どちらが望ましいか、とは考えません。」「マガタ博士も、そうだろうか?」「まちがいなく、そうお考えになるはずです。」」 p198 「そうだ、忘れていたことがあった。ヴォッシュが話していたこと。マガタ博士が若い頃に起こした事件について、オーロラと話すべきだった。マガタ博士にも、ミチルという名の子供がいた。同じように、閉じ込められた環境から外界へ脱出したという。クーパ博士は、マガタ博士の生き方をトレースしたのだろうか?」 p199 「本来、謎とは、偶然の重なりでは起こりえない現象のことだ。そうだとしたら、今現在、謎というものはないのかもしれない。」 p202 「現実というものが、いかに複雑化し、人間の感覚が真実を捉えられない時代になっているかを実感するだけだ。」 p204 「まるで、宇宙の真理のような美しい式化ではないか。パズルのように、それぞれが嵌り込む様は、おもちゃのブロックを連想させた。まちがいなく、これがクーパ博士のアイビス・チップのコアだろう、と直感した。」 p208 「「もっと私を安心させてくれる人がいいな。」」 p209 「路地を安心させる人になろうと思ったのかもしれない。」 p211 「「グアトが適任なのでは?」」 p215 「僕はテーブルを飛び出した。彼女の前に出る。」 p215 「その男は、長い刀を持っていたが、滑らかな動作で、それを鞘に収めた。暴走した店員を背後から斬ったようだ。」 p216 「髪型は変わっていてが、金髪で彫りの深い顔を、僕はよく覚えていた。「デミアン。」」 p217 「「いえ、そういう意味ではありません。助けていただいたのは嬉しく思います。」」 p221 「「デミアンは。エースなのですか?」」 p222 「「もっと突き詰めると、現実に存在することに、どれほどの価値があるのかも、ものすごく曖昧になっている。存在しても存在しなくても、その影響は変わらない。だったらほとんど同じだと言っても良い。」」 p223 「「グアトの手を、私は握ることができます。」」 p224 「「バックアップでは、駄目だと私は思います。そういうのは、嫌です。死んでも良いから。生きていられるんです。そうじゃありませんか?」」 p224 「「クーパ博士の研究を見て思ったんだけれど、結局、生きているものも、単なる信号なんだよね。うん、虚しいかもしれないけれど、その虚しさに、美しさを感じるわけで……。何だろう、いや、同じかな……。生きていても、本当は生きていない。存在していても、実はぞんざいしていない。ああ、何だか、刹那的になってきたね、話が。」」 p224 「「そういうお話を聞くと、涙が出ます。」ロジが言った。言葉だけではなかった。彼女は、目を潤ませている。」 p224 「「悲しいけれど、綺麗だからかな。」」 p225 「「誤解が生じていることを認識しています、とおっしゃっていました。」オーロラはこう表現した。」 p228 「「自然とは、シンプルです。そういうものを人間は美しいと感じます。たとえば、どんなところにも明確な境界というものが存在しません。細かく見ていけば、分布と密度の連続的な変化があるだけです。それらを、人間が捉えて、ゼロか一か特別します。すると形という概念が現れ、姿という幻想が見えてきます。そうしたものに、理屈と均整を求めるのが人間です。」」 p231 「「どこにいるのかは、大きな問題ではありません。そうではありませんか?」」 p232 「「そう思うことは、誰でも簡単にできます。自分を人間だと思えば、人間になれますか?それが人間の条件でしょうか?」」 p233 「白い手が伸びて、帽子を少し持ち上げる。反対側から白い脚が向こう側へ移動し、上半身が同時に持ち上がった。白いドレスの背中。大きな帽子の下から黒髪が伸びていた。マガタ博士が、ハンモックを迂回して、僕たちの前に現れる。「お久しぶりです。」軽く頭を下げ、僅かに口許を緩める。」 p234 「「理論に矛盾はない。非常に均整の取れたモデルです。」マガタ博士は話す。「あれを思いつかれたのは、たしかに彼女の才能というもの。それは認められる。けれども、モデルは現実から乖離しています。それでは、サイエンスではなくアート。」」 p235 「「そうです。彼女の感性が導いた、彼女の願望の形なのでしょう。」マガタ博士はそこで優しく微笑んだ。」 p236 「「私がツェリン博士と親しかったら、やめるように助言したでしょう。自分の親しい人の時間が無駄になることを、私は残念に感じるからです。これ、感情的な問題であり、私の願望です。もし、貴方が実証して見せるとおっしゃるのなら、私は貴方を止めましょう。クーパ博士のモデルが、彼女の願望であるように、私が止めるのも願望が為せること。」」 p237 「「希望に満ちた目で、冒険をしたいという人に、無駄なことだと言えますか?私はその冒険に失敗しました、と話せば、ますます彼女はのめり込むことでしょう。彼女の立場になれば、私もけっして諦めません。これが人間の習性、科学者の習性というもの。」」 p237 「「研究者ならば、この虚しさが理解できると思います。」マガタ博士は語った。「いえ、理解する必要もないかもしれない。私は、何もすることができない、と思い、クーパ博士からは離れました。見守ることも避けました。私はただ、それは単なる理想であって、実証はできないと思います、と申し上げただけです。彼女がどう受け取るのかはわかっていましたが、どんなふうに言葉を選んでも、結果は同じなのです。人の心は、そんなに簡単にコントロールできるものではありません。」」 p238 「「無価値とはいえません。」マガタ博士は首を横にふった。「クーパ博士ほどの頭脳ならば、おそらく、違った方面へ、そのアイデアを展開されているはずです。あの美しさは本物なのです。お感じになったでしょう?研究者ならば、誰もが身震いするはずです。私は、十五年もその美しさに取り憑かれました。」」 p238 「マガタ博士は立ち止まり、僕をじっと見据えて、また微笑んだ。「面白いわ。」白い歯を見せるほど、彼女は笑った。「どうして、こんなに面白い方がいらっしゃるのかしら。」」 p239 「「この説明は、非常に難しいの。あえて簡単に言えば、その展開の結果が、今のこのヴァーチャル世界の生きものたちです。何故ならば、私はその理想を方時も忘れず、あらゆるコードのデザインに取り入れてきましたから。そう、まるで、若き日の恋の思い出みたい。」」 p239 「「それは、私が考えたことであって、真実とは言えません。貴方も、まもなく考えつくはず。それも正解ではなく、貴方が考えたこと。」」 p239 「「近いけれど、それはきっと違います。そう言ったリアルの問題には活かせません。もっと、抽象的な、コードの美しさなのです。思いついたときに、貴方は納得するはず。正解とは、自身が納得できる仮説のことですから。」」 p240 「マガタ博士は僕の顔をじっと見据えた。圧倒される一瞬の視線だった。その青い瞳は、下を向いた。「では、ここでお別れしましょう。とても楽しかった。またお会いしましょうね。」」 p241 「「博士、デミアンに会われましたか?」マガタ博士は振り返り、微笑んだまま、頷いた。」 p241 「「すいません、もう一つ。」僕は叫んだ。彼女が振り返る。「ロイディは。元気ですか?」マガタ博士は、さらに微笑んで頷き、片手を少し持ち上げた。」 p241 「「全然分かりませんでした、何の話をされていたのですか?」「うん、つまりね……、話をしたんだ。」「何の話を?」「それは、本質ではない。」」 p248 「あの相似形を重ねた人形のように、これまでは、殻を開けて中身を覗く方向へ進んできた。もし、同じように進むとするなら、同じ相似形を求め続けるのなら、いずれ到達してしまう。その後は、外側の容器を作り、今までのものすべてを取り込んでいく方向しか残されていない。それができたら、さらに大きな容器を作る。この繰り返ししか、進む方向はない。つまり、電子の生命が生きる道は、拡大の方向にしか存在しないということだ。そのことに、誰よりも早く気づいたのが、マガタ・シキ博士だった。すべての存在の外側に、新しい存在を作るしかない。博士の共通思考とは、つまりは、存在というものの原点への思考の転換を図ったものだ。」 p248 「なんとなく、そう信じていた。それは、僕が生きているからだ。たまたま生きているからにすぎない、そうではなかった。生命ではなく、存在なのだ。存在こそが、最も重要な、この世界を形成するユニットであり、基本だ。」 p249 「僕は、ようやく本質に辿り着き、真の疑問、真の課題に身震いした。そうか、そういう問題だったのだ、と……。」 p252 「「そうね……、まだ、言葉にできるかどうか、自信がないし、それに、これは私の考えた結果であって、真実ではない。マガタ博士は、また別の結論を出したかもしれない。それぞれが、それぞれに納得して、自分の正解を手に入れる、というだけなんだ。展開というのは、開き方が自由なんだ。」」 p253 「「展開する人ぞれぞれに、その人の現実がある。その人のリアルの世界があって、自分の周囲の環境条件に合わせて、理想の形を具現化するんだ。」」 p267 「「ミチルとロイディが乗っていました。」」 p269 「ロジが僕の顔を見たので、僕は片手を出した。ときには、先輩に見習うのも、悪くはないだろう。」
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