
704h
@704h
2026年7月24日
エレンディラ 新版
ガブリエル・ガルシア=マルケス,
木村榮一,
鼓直
読み終わった
読み終えた。最高でした。
『百年の孤独』を読んでファンになり、本書は期待していた以上にガルシア=マルケスの持ち味が凝縮されていて幸せな読書体験だった。
ガルシア=マルケスの文章は、迷信が迷信と呼ばれる以前、嘘と本当が科学によって分けられる前の時代に物語が持っていた「魔力」を現代に伝えてくれる。あらゆるものが細かく分類されていく現代において、枠を壊すのでも、はみ出すのでもない、本来のシームレスな関係を取り戻すこの試みは、ますます魔術的な魅力を持ってその輝きを増しているように思う。
本書と同時並行してウェイリー版の『源氏物語』を読んでいるのだが、こちらは実際に魔術が生きている時代の物語であり、祈祷や占星術が生活の一部として機能しながら、高度な学問として扱われている。読んでいて思うのは、昔の人々は呪い(まじない)によって理由のないことに理由を持たせることで、心に溜まる不満を発散していたのだ。星の位置を見て帰る方角を占うことで、安心を得ていたのだと思う。
日常的に占うことのない現代では、理由のないことは心の中で溜まり続けて不安を増長させる。例えば人間関係に答えは無いので現代ではただ我慢するしか無いが、占いがあれば我慢するにせよ悩む必要がなくなる。文明が発展してある程度の生活の安全が保証されれば、余計な不安は精神に悪影響を及ぼすので、生活に占いを用いることは理にかなっているのだ。
なんだか『源氏物語』の感想になってしまったが、本書の語り口は理屈抜きで精神に直接訴えかける力を持っていると思う。あと、マルケスは話が抜群に面白い。魔術抜きで普通に書いても悪魔的に面白い小説を書く人だと思う。めちゃくちゃ笑いました。次はいよいよ『族長の秋』を読もうと思います。

