
RIYO BOOKS
@riyo_books
2022年10月22日

読み終わった
顧れば、私は詩の國へ旅立ちのそもそもから一人ぼつちで、道連れといつては誰一人ありませんでした。道中も全く一人ぼつちでした。詩歌の國の仕事は、自分ひとりでなくてはいけないと思つたからです。
私はこの間、自分で自分の魂をのみ見つめて暮しました。それがためには、仕事と名聞と生活とに便宜の多い帝都の生活から離れて、京都や、大阪や、また郷里やで、今日まで暮して來ました。お蔭で寂しくはあるが、自分自身の生活をたどることが出來たやうです。
──『泣菫詩集』