ごうき
@IAMGK
2026年7月26日
愛の試み
福永武彦
読み終わった
「しかし理想的な愛の状態に於ては、相手の孤独は自己が癒し、自己の孤独は相手が癒してくれることも、即ち同時に能動的かつ受動的であることも、不可能ではないだろう。その時に、これら二つの魂は、互いに相手の燃す焔によって暖められ、美しい調和の中に相手の孤独をやさしく愛撫し合うだろう」
本書は『愛の試み』という題だが、どちらかというと孤独の書である。福永が愛を孤独と相対的な状態と捉えていることがよく分かる。本書は『草の花』の解説書ではないかと見紛うほどに、福永の愛と孤独のエッセンスが詰まっている(しかし、実際そう捉えても良いはずである)。素晴らしい。
私は今まで愛というものを「他者」と「信頼」という要素から考えていたが、「他者」と「信頼」が異なるレイヤーに属すからこそ、そこから生まれる省察は愛の本質というより、むしろ愛の条件である。しかし福永は「他者」と「自己」という正当な配置から考えることで、愛の本質とはいかないまでも、その様相を深いところまで露わにしている。それを可能にしているのは、愛の生まれる状態からそれを失うまで描くという本書の形式にもある。しかもその洞察も鋭いものであるから、現代、いや、この先ずっと通用するものだと思う。恋愛について悩める文学徒は、ぜひ読むべきである。これを読んで文学から解放されるべきである。一体、なぜ福永武彦という名はあまり世間に知れ渡っていないのだろうか。甚だ疑問である。これも読み返すリストに入れることを決定。
話は変わるけど、『命の後で咲いた花』を読み終えた7月中旬、ずっと柄谷行人の『日本近代文学の起源』に向かい合っていたが、三分の一程度読んだ時点で挫折してしまった。ああいう本を読み、吸収するためには、どうすれば良いか…。チャレンジあるのみか…?
