
いちのべ
@ichinobe3
2026年7月27日
微笑む人
貫井徳郎
読み終わった
終盤に進むにつれ全ての謎がスッキリと解き明かされるミステリではなく、不可解な動機を語る容疑者の周辺を、過去を掘り下げるほど分からなくなっていく。最終章はまるで狐に化かされたような心地にもなる。こんなミステリ小説は、生まれて初めて読んだかもしれない。
分かりやすいストーリーは敢えて用意されず、「他者の心の中など、容易に知ることはできない」という本来なら当然のことが突きつけられる。
そんなこと、普段なら当然分かっているはずなのに、凶悪犯罪が起こると犯人の内心を知りたい、そこに至る背景を理解したいと思ってしまう。「分からない」は怖いから。怖いからこそ、現実には存在しない分かりやすいストーリーを求めて、自分はミステリを読んでいるのかもしれない……と思うなどした。

