無重力くらげ "楽園" 2026年7月28日

楽園
楽園
夕木春央
『方舟』、『十戒』を文庫で読み、三部作の最終巻となる『楽園』は待ちきれず単行本で読んだ。一作目ほどの衝撃はないものの、それはあくまで三部作内での話で、どんでん返しミステリーとしてはさすがの完成度だった。帯の「誰かを殺さないと脱出できない」とはどういうことかと思ったら、なるほどこういうことなのね。おもしろい舞台設定に、個性的な登場人物たち。特異な状況におかれた主人公がどんどん疑心暗鬼になっていく描写がおもしろかった。特に恋人の“沙織”に対して徐々に疑念を膨らませていくものの完全に離れるという選択はできず、微妙に距離を取ったり不機嫌にさせないために口をつぐんだりするのがよかった。1、2作を読んだ読者は例の人物が誰なのか(そして大抵の殺人の犯人はその人であることも)早々に分かってしまうだろうし、私もそうだったが、それでも結末までしっかりおもしろかったし驚かされた。個人的には例の人が幸せを掴めたようで嬉しかった。いい三部作だった......。 読み終わった後に書店へ行ったらサイン本にも出会えて感激!
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