
本箱
@POPUP7days
2026年7月31日

レンタル家族
松本健太郎
読み終わった
帰りの電車で読む本ほしさに手に取った一冊
●印象に残った文章
流行りの家族レンタルサービスに採用される人間でもない
●感想
この世界は実現しなかったらいいなと思った。レンタルサービスの、そのレンタルされる人の成り立ちがえぐい。
かなり序盤に説明があるが、この世に未練がなく自殺を望む人に、整形や記憶の除去を施し、亡くなった人として希望の家族へ送るというものだ。
成りかわりものと言えばいいのだろうか。
亡くなった方の情報を集め、データで全て取り込んで再現する。昨今のAI技術の上位版と思えばいいだろうか、再現は完璧だという。
2人亡くして1人を生む、錬金術のような設定だ。魂(人工)と体(加工)。うーん。
なお、物語としてはそのサービスの是非というより、亡くした方が戻ってくるというサービスを受けての遺族の立ち直りをテーマにしている。そもそもこのサービスもそういった立ち直りのサポートとして始まった設定のようだ。
そのストーリー性自体は楽しめたのだけど、この世界観の肝になるフィクション部分をつい真剣に考えてしまった。本人として現れる別人は、それでも別人であることを自覚している。血の通った体のいいアンドロイドのよう。もしくはスワンプマン。どうしても、そのサービスに参加すると言った側の人のことが頭をよぎってしまう。
整形と言ってもさすがに背格好は変わらんだろう。ということは小中高生やまだ若い方たちが、働き盛りの方たちが、いなくなることを選んだのだということになる。
人のためになりたいと願ったのか、人のためになることで許されたいと思ったのか分からないけど悲しくなった。
全ての話がレンタルサービスが終わって返却する流れになる。レンタルサービスに参加した人をレンタルしたいという人は現れるのだろうか。きっと戸籍や人権はそのままだというのは救いだろうか。
たとえばふと私が死んで皆が私のデータを寄せ集めて再現100%スワンプマンができて
そしたらその私はなんて言うんだろ。
そんなドッペルゲンガースワンプマンに会えるなら、会ってみたい気もする。
関係性や故人とのやり取りで好きだったのは第三章。好きであるからこそしょぼんともした。生きていてほしかったね。でも、そのルートでは出てくることのないやり取りの数々でもあった。人生すぎる。