
本箱
@POPUP7days
- 2026年8月14日
読み終わった知ってるアーティストさんのエッセイ出てたんだ、とふと手に取った一冊 ●感想 エッセイだからそれはそうなのだけど、生活感に溢れている文章。人間味がにじみ出てて、この本の前に読んだのが『コンビニ人間』だったので対局の味わいにほっとした。 星野源さんは、音楽いくつかと逃げ恥の印象しかない。ファンだというYouTuberさんが推しがたりしているのは見た。 そのレベルの認識でエッセイを読んだので、イメージとの違いで少し驚く部分もあった。実在を感じるというか。 歌や作品を好むことはあっても、その作者の方をあまり追うことがないのでなんだか新鮮。 マイケルジャクソンさんがお好きらしいと知った。 同時に、マイケルジャクソンさんが亡くなったのは普通に自分が生きている間のニュースだったんだとも知った。 映画をこの前見たけれど、偉人という印象が強く、昭和あたりの出来事と捉えていた。 同じ時代を生きている人の思い出話で、自身の体内時計や時系列が整う部分もあるんだな - 2026年8月4日
コンビニ人間村田沙耶香読み終わった『地球星人』を読んで独特の読み口が気になったので同著者のものを読んでみようと手に取った一冊 ●印象に残った文章 ねえ、指示をくれれば私はどうだっていいんだよ。ちゃんと的確に教えてよ。 ●感想 村田沙耶香さんの作品はこの『コンビニ人間』と『地球星人』しか読んだことがないが、どちらも生々しさが際立つ。 星新一にも似た無機質なテンポ感で、他に対する情緒的な要求があまり出てこない。生存の危機を刺激された時だけ暴れている。 ある意味生きるということに愚直で、ただしそこに『活き活きとして』とか『楽しんで』とかが乗ってこない。社会で生きるという部分が薄い。 『コンビニ人間』の主人公は、基本的な行動が入出力のみで、その入力はだいたい実利に出力される。 鳥が死んだら焼き鳥にできる、止めろと言われたら殴れば止まる。文脈が読めない…というか、外から得たものを自身に結びつけずに外にそのまま出している。 印象に残った文章として書いた台詞も、作品を読まずに目を通すと「自分を分かってくれないことへの悲鳴かな」と思ってしまうが、実際読むとそうではない。1+1の答えを聞くのと同じレベルの質問。 正しい人間があるなら、その正しい人間を入力してくれれば完璧にやる。それを、「静かにさせるならナイフをちらつかせれば静かになるのに、社会の静かにさせるって難しいんだな」とナチュラルに思考する相手が言うのだ。こわいよ。 人と違う時、大体は「そうする理由がこの人にはあるんだな」として置くが、その理由が自分がどうしたいかではなく「社会がそう言うから」とされる時、そしてそれが仕方なくとかでもない時、異物感が発生するのかもしれない。捨て身すぎて。 - 2026年7月31日
レンタル家族松本健太郎読み終わった帰りの電車で読む本ほしさに手に取った一冊 ●印象に残った文章 流行りの家族レンタルサービスに採用される人間でもない ●感想 この世界は実現しなかったらいいなと思った。レンタルサービスの、そのレンタルされる人の成り立ちがえぐい。 かなり序盤に説明があるが、この世に未練がなく自殺を望む人に、整形や記憶の除去を施し、亡くなった人として希望の家族へ送るというものだ。 成りかわりものと言えばいいのだろうか。 亡くなった方の情報を集め、データで全て取り込んで再現する。昨今のAI技術の上位版と思えばいいだろうか、再現は完璧だという。 2人亡くして1人を生む、錬金術のような設定だ。魂(人工)と体(加工)。うーん。 なお、物語としてはそのサービスの是非というより、亡くした方が戻ってくるというサービスを受けての遺族の立ち直りをテーマにしている。そもそもこのサービスもそういった立ち直りのサポートとして始まった設定のようだ。 そのストーリー性自体は楽しめたのだけど、この世界観の肝になるフィクション部分をつい真剣に考えてしまった。本人として現れる別人は、それでも別人であることを自覚している。血の通った体のいいアンドロイドのよう。もしくはスワンプマン。どうしても、そのサービスに参加すると言った側の人のことが頭をよぎってしまう。 整形と言ってもさすがに背格好は変わらんだろう。ということは小中高生やまだ若い方たちが、働き盛りの方たちが、いなくなることを選んだのだということになる。 人のためになりたいと願ったのか、人のためになることで許されたいと思ったのか分からないけど悲しくなった。 全ての話がレンタルサービスが終わって返却する流れになる。レンタルサービスに参加した人をレンタルしたいという人は現れるのだろうか。きっと戸籍や人権はそのままだというのは救いだろうか。 たとえばふと私が死んで皆が私のデータを寄せ集めて再現100%スワンプマンができて そしたらその私はなんて言うんだろ。 そんなドッペルゲンガースワンプマンに会えるなら、会ってみたい気もする。 関係性や故人とのやり取りで好きだったのは第三章。好きであるからこそしょぼんともした。生きていてほしかったね。でも、そのルートでは出てくることのないやり取りの数々でもあった。人生すぎる。 - 2026年7月26日
どうせ死ぬのになぜ生きるのか名越康文読み終わった買ったお名前を知っている先生だったことと、仏教由来の言葉にふんわり興味があって手に取った一冊 ●印象に残った文章 『「愛」を知らない日本人は「慈悲」に生きればいい』 『「人には計り知れない可能性がある」と信じることが「敬意」』 ●感想 仏教の触りに触れたり、考えをまとめたりするきっかけにいい本だった。 仏教では、心(感情)=自分ではなくて、各人に仏性というのが備わっていて、そちらが本来の自分らしい。 厳密にはたぶん違うんだろうけど、心が人間性、仏が善性として解釈すると、ちょっと考え方をまとめやすい気がした。 よく聞く「本当の自分でいい、心のままでいいのだ」というフレーズが、免罪符にされてるのを見かけるのと自分でもなんだか身勝手な気がして素直になれないのだけど、仏性の方にフォーカスするなら未熟さも含めて修行中の身として飲み込める。 因縁という言葉も仏教用語で、因が自分由来のもの、縁が自分の外側が原因のもの、合わせて因縁で癖や習慣に対しても使うそう。 仏教の怒りとは、カッとなる怒りだけでなく不安や妬みも含むのだとか。 へえ、と思うことが多く興味深かった。仏教について詳しく書いてあるわけではないから、学びたければもっときちんと仏教を調べたほうがいいんだろうけど、ちょっと自分でこの感覚を捏ねてからにしよう - 2026年7月18日
あなたはここにいなくとも町田そのこ読み終わった選書サービスで送られてきた一冊 ●感想 のめり込む、という体感はあまりなかった。 タイトル表紙からなんとなく日常系のほんわかしたものを想像していたからか、出てくる不倫だとかリセット症候群だとかのワードを素直に飲み込めなかった。知っている場所の地名が出てくるなじみ深さとのミスマッチな感覚故かもしれない。 喪失や別れを要素に取り入れた短編集だが、腹の底が重くなるような重たさはいずれもない。どこかにわだかまりやしこりを抱えたまま、歩き出すような話が多い。ちょっとだけ目線を前に向けたような前向きさで終わる。その点は読みやすかった。 一番最後の、『先を行く人』は比較的明るく楽しめた。少年少女の恋の要素が強かったからだろうか。 - 2026年6月23日
命売ります三島由紀夫読み終わった選書サービスで送られてきた一冊 ●印象的だった文章 『すべてを無意味ではじめて、その上で、意味づけの自由に生きる』 ●感想 三島由紀夫は初めて読んだけど、スルスル読めた。想定よりずっと読みやすい。 読んでいて「人は自分のなかで合わさったパズルを本当だと思い込んでしまう」という性質があるなあと思った。私も含めだし、たぶんそれが感情とか自我とか主観というものだろうけど。 主人公の羽仁男は、「命売ります」という看板を掲げた結果、思いもよらない見方をされて困惑する。 そんなつもりはないのに、こうだと思われて話がとんとん進んでいく。 随所の表現を見て、本当に久しぶりに日本文学を読んでるなあと実感した。日本文学というか、近代文学かな。言葉選びに風情を感じる。三人称で、心情描写がしつこくない。 じししようとした理由も、なんとなく想像しやすい。拭いきれない不快や無意味さが全てにおいてある、のかな。 知っている地名が出てくるのも不思議な心地がする。主人公の動線を脳内で負いやすい。どうも最近、ファンタジーな世界観の本に身を置いていたせいかも。もちろんこれもフィクションではあるけど。 自分が人生を左右できるうちはあくせくしないのに、振り回されているとなるとしがみつきたくなる。矛盾がよく表れていた。 作中に出てきた『すべてを無意味ではじめて、その上で、意味づけの自由に生きる』という部分には感じ入った。 前提が石ころであったとして、そこにどんな光・色・価値を乗せるかは自由ということ。 だとすると『まず意味ある行動からはじめて、挫折したり、絶望したりして、無意味に直面するという人間は、ただのセンチメンタリストだ』というのは、光・色・価値がもう固着しているか強すぎたか。大仰な話ではなく、当たり前になってしまっている部分なのかな。 作中でも、羽仁男のセンチメンタルは点滅してる。後半は特に。 他の三島由紀夫の作品や、夏目漱石などをまた読もうかな。 - 2026年6月17日
ムーミン全集[新版]7 ムーミンパパ海へいくトーベ・ヤンソン,小野寺百合子読み終わった買った昨年ムーミンのかわいさに惹かれてから読み進めているムーミンシリーズ。 新版で登録してしまったけど、実際はムーミンパパがタイトルのやつは旧版で読みたいという謎のこだわりから旧版(小野寺百合子訳)を買った。 ●感想 ムーミンシリーズ読了。 ムーミントロールと大きな洪水→ムーミン谷の彗星→たのしいムーミン一家→ムーミンパパの思い出→→ムーミン谷の夏祭りムーミン谷の仲間たち→ムーミン谷の冬→ムーミン谷の十一月→ムーミンパパ海へ行く の順で読んできた。 途中おそらく順番が前後してる。 でも、最初の「大きな洪水」ではひとりでどこかに行ってしまったパパを探しに行くお話だったから、家族皆でムーミン谷を離れる「海へ行く」で読了できたのは、対比も感じることができて良かった。 シリーズ通しで読んで、お話として好きなのは、ムーミンパパの思い出とムーミン谷の彗星、ムーミン谷の十一月に収録されている『春の調べ』かも。 いや、『世界の終わりに怯えるフィリフヨンカ』も、ムーミン谷の冬も好きだな…。 ムーミンパパ海へ行くでも、ムーミントロールと大きな洪水でも、共通して好きなのがムーミントロールのムーミンママに対する声かけ。ちょっと気分が落ちていそうなママをそっと慰めたりこっちだよと手を引いてあげるムーミンの姿がまぶしい。思いやりにあふれた男の子。 ムーミンママも、いつも悠然として穏やかなママだけど、この2作では泥臭い部分も見かけることができて身近に感じる。 ムーミンパパは、もはやどうしようもない冒険心が可愛くさえ思えてきた。何者かでありたいパパは、つい呆れてしまうけど、こういう暴走に身に覚えもある。さすがにわたしは海を渡ったりはできないけど、それをやってのけるパパなのだ。 これを踏まえて、ムーミン谷の十一月をもう一度読んでみようかな。 - 2026年6月16日
ムーミン全集[新版]8 ムーミン谷の十一月トーベ・ヤンソン,鈴木徹郎読み終わった買った2025年ムーミンのかわいさに惹かれてから読み進めているムーミンシリーズ ●感想 ムーミン一家がいないムーミン谷のお話。 不在がムーミンたちの温かさをむしろ強めているような不思議な感覚。 不在の家で好きに暮らし始める面々に「えっいいの?」と思っちゃうけど「まあムーミンたちは怒らないし、笑って『そうなんだね』って言うだけかも」とも考えたりする。 去ってしまったのか、出かけただけなのか、会ったらムーミンたちが何かをもたらしてくれるのではないか。ヘムレンさんはムーミンパパに、フィリフヨンカはムーミンママに投影し、スタルックおじさんはご先祖さまに自身との共感を求め、ホムサは申し分ないママとしてムーミンママを求める。 しかしそういった幻影は、一家に会う前に皆目が覚めて家に帰っていく。 スナフキンが「ムーミン一家とだったら一緒にいても孤独でいられる」と作中でこぼしていたが、ムーミンたちは共感を他に多く求めず、それぞれであることを許してくれる。パパは冒険 それが、不在であってなお機能しているんだなあと思った。 - 1900年1月1日
一次元の挿し木松下龍之介読み終わった話題になっていたので気になって手に取った ●感想 壮大で設定の面白さはあるが、その分どこかファンタジックに感じられて、もしかしたら私はこれをドラマの脚本として見たほうがすんなり楽しめるのかもしれないと感じた。小説がだめとかではなくて、視覚的に得るとよりうまみの強そうな要素が多い。 主人公の美形さや、出てくる団体・人物の設定、存在の不気味さが浮世離れしていて、ミステリーよりもファンタジーといったほうが自分の感覚としてはしっくり来た。
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