次元爆弾 "夏の滴" 2026年8月4日

次元爆弾
次元爆弾
@wakenai
2026年8月4日
夏の滴
夏の滴
桐生祐狩
凄いものを読んでしまった。『悪の教典』もそうだけど子供たちの日常が知らず知らずのうちに包囲されてしまう、あの閉塞感が苦手で苦手で。たぶんこれも読む人によっては笑ってしまうような展開であるとは思うんだけど、個人的にはやっぱり凹んでしまうタイプ。『でぃすぺる』は光の『夏の滴』だったんだなと思う。 とはいえ本作は狙われる子供たちの日常生活そのものがかなり異常であり、それゆえにどの程度のリアリティを持った作品なのか判断しかねるという序盤の奇妙な感覚は忘れがたい。しかしその設定も含め、さまざまな人間関係を浮き彫りにし、人間不信について問いかける終盤は、本作を単なるトンデモで終わらせず、一層深みのある作品へと格上げしていると思う。 少年少女の一夏の思い出を描いた作品にしては、ぶっ飛んでるしあまり爽やかでもないので「ジュブナイルホラー」という心ときめく語感が似つかわしくない気もするが、しかし自分の限界に気づき、時には気づかされながらも、子供でしかいられないもどかしさ、苦しさ、そして少しの安心感を織り交ぜて作られた主人公の心情描写は、たしかに子供という存在について一つの切り口をもって迫ることに成功していると感じる。
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