りら "レディ・ムラサキのティーパー..." 2026年8月5日

りら
りら
@AnneLilas
2026年8月5日
レディ・ムラサキのティーパーティ らせん訳「源氏物語」
ウェイリーのらせん訳はもちろん、源氏自体をどの現代語訳ですら通読したことがないのだけど、それでもすこぶる面白かった。 語学の天才によって戦間期の英国で訳出されたことで、『源氏物語』は世界文学として生まれ変わる。そのトランスクリエーションの過程では、いくつもの文学作品が11世紀のレディ・ムラサキの声と響き合っていく。 ウェイリーの翻訳作業と同時期に英訳が進行しつつあったプルースト『失われた時を求めて』を手始めに、ウェイリーと交友関係のあったヴァージニア・ウルフの書評やエズラ・パウンドの詩、はたまた白居易『長恨歌』とブロンテ姉妹、三島由紀夫に折口信夫、果ては旧約聖書にシェイクスピアと、恐ろしく読書家であるらしい著者姉妹の博覧強記振りと無尽蔵の想像力に脱帽。 訳文と同様にこの論考全体も個々の署名記事ではなく姉妹としての書き物らしいのだけど、たまに挟まれる翻訳作業に交わされたお茶目なメールのやりとりにはやはり水村美苗の『私小説』が思い起こされた。 読みたくて一度借りたけど、単行本ということでちゃんと目を通すことができなかった本で、姉妹による源氏の和歌についての新刊予定をきっかけにこちらがオーディブル化されていることを知って聴き始めたら、思いのほかあっさり聴き終えてしまった。 らせん訳も読んでみたいし、何なら原文より英訳の方がさらっと読めそうな気もしてくるし、このエッセイも版元が講談社なら文庫化されないかなとも考えてしまう。でももしらせん訳を手に入れるのであれば、同じクリムトで装幀を揃えたこの本も単行本で欲しい気もする。 ゲラを7校とか8校まで取ったというくだりには仕事柄悲鳴を上げそうになった。 オーディブル1.7→1.8→2.0倍速。
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